【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)

高瀬ユキカズ

文字の大きさ
486 / 552
ロケット発射計画

第486話 タブさんに相談する

しおりを挟む
 家に帰って机に座り、ノートとにらめっこをする。椅子の後ろではブベが走り回っている。ミリアはそれを追いかけ回していた。バタバタとやかましい中で、私は頭を捻っていた。ロケットの打ち上げにまだいくつか課題があった。

 まず燃料に関しては、保留とする。少なくとも打ち上げの1回分はあるのだから。

 次に場所だ。
 それから発射台。
 それと、ロケットの制御と監視を行うシステムが必要だった。

 私はタブレットを起動してタブさんに話しかける。

「場所以外はロケットの改造でなんとかなるよね? タブさん?」

 すぐにタブレットから合成音声が流れてきた。

『なんとかなるであろうが、問題は場所だけでなく、発射場所の土台だ。平らで頑丈に作る必要がある』

「たとえば無人島で広い場所を見つけて、そこにコンクリートで平らな土台を作ればそれで打ち上げられるかな?」

『その二つの条件がクリアされたなら打ち上げることができる。姿勢制御の調整はわれが担当しよう』

「ありがとう。タブさん。頼りにしてるよ」

 いつもは言葉が足りなかったり厳しいことを言ってくるタブさんだが、私のことをわかっている。こうして、ちゃんと役に立ってくれる。タブさんには感謝しないといけないと思った。

 次の発言を耳にするまでは……。

『タブレットを操縦室に持ち込む必要があることはわかってるな? あるじよ』

「…………」

 無意識にタブレットを振り上げていた。

『ん? 主?』

 私は振り上げた手を机に下ろした。あやうく机に叩きつけてしまうところだった。タブさんに感謝をするのはとりあえず保留となった。

「もしかしてだけど、私もいっしょに乗れってこと?」

『主がもっとも望ましいのだが……。タブレットを操作できれば誰でもよいぞ。誰かは乗る必要がある』

「私が乗ると思う?」

『主が望ましいのだが。主こそが、このタブレットの所有者ではないか。われが手元にいないと不安なのではないか? さみしいのではないか? 離れてしまって心配ではないのか?』

「それはまあ、大丈夫なんだけどね。ダンジョン・タブレットが手元にないのはいいことじゃないね。いざというときに困るから」

『ならば、主が乗ればよかろう。最善の選択肢だ』

「タブさんは私のことをわかってくれると思っていたけど、そうじゃなかったみたいね」

『いや、わかっておるぞ。主は飛行機と同じようにロケットに乗ることが怖いと思っているようだ。だが、乗ってみないとわからない。案外、いけるやもしれぬぞ』

「でも、ロケットだよ? すごいGがかかるって聞いたことがある。私に耐えられるかな?」

『主なら大丈夫だ。問題がない。いや、むしろ、主だからこそ大丈夫なのだ。フレイムドラゴン・ロードで初めて飛んだときのことを覚えておるか? あの時の加速度はロケットほどではないにせよ、かなりのものだったぞ』

 私はタブレットを手にしたまま、首を振った。

「いやあ、ムリムリ。ロケットも飛行機もいっしょだよ、呼び方が違うだけで。私は乗らないよ」

『我は無理強いはせぬ。主の思うように行動すれば良い。それが良い結果をもたらすであろう』

「うん、ありがとう」

 何気なく感謝の言葉が漏れた。なんだかんだ言って、タブさんは私の味方なのだ。

「お姉様、勉強は終わったのですか?」

 珍しく机に向かっていたので、ミリアからは勉強しているように見えたようだ。

「うん。だいたい終わったかな」

「では、ミリアといっしょにブベと遊ぶのです。ブベは体力オバケなので、ミリアの手に負えないのです」

 ブベは体力が余っているようだ。部屋を走ってもまだ動き足りないらしい。

 今のブベには首輪がつけられている。首輪にはリングがあり、リードを取り付けることができるようになっていた。

「ブベの散歩には行ったの?」

「まだブベは散歩デビューには早いのだそうです。家の中で散歩ごっこなのです」

「そうだね。少しずつ慣らしてからだね」

 ブベはまだ狂犬病のワクチンを接種していない。トイレを覚えさせたり、環境に慣れさせたりと、やることはたくさんある。

 ミリアはブベを抱きながら、私のノートを覗き込んできた。

「お姉様、無人島へ行くのですか?」

 ノートには【打ち上げ場所・無人島?】と書いていた。

「まだ決まったわけじゃないけどね。無人島なんてかんたんに見つからないと思うし」

「あそこはどうなのですか?」

「あそこ?」

「イタリアのゲートをクリアしたあとに戦闘機で不時着したという島なのです。お姉様がパンツを海に流されたという、あの」

 思い出した。
 あそこの島は無人島だった。

 海に入って濡れてしまい、濡れたパンツが嫌で春日井君に気づかれないようにこっそり脱いでいた。乾かして履くつもりだったのが、すっかり忘れてノーパンのまま過ごしていたのだ。

 パンツが海に流されたかどうかはわからない。帰りの船でそれらしいものが漂流しているのを遠目に見ただけだ。

「ミリアにその話、したっけ?」

「ラビちゃんから聞いたのです」

「ミリアはラビちゃんと話せるの?」

「ラビちゃんがジェスチャーで教えてくれたのです。それで、だいたいわかるのです」

 確かにあの島はいいかもしれない。

 なにより、無人島を探す手間が省ける。
 さっそく湊ちゃんに相談してみよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ユニークスキルの名前が禍々しいという理由で国外追放になった侯爵家の嫡男は世界を破壊して創り直します

かにくくり
ファンタジー
エバートン侯爵家の嫡男として生まれたルシフェルトは王国の守護神から【破壊の後の創造】という禍々しい名前のスキルを授かったという理由で王国から危険視され国外追放を言い渡されてしまう。 追放された先は王国と魔界との境にある魔獣の谷。 恐ろしい魔獣が闊歩するこの地に足を踏み入れて無事に帰った者はおらず、事実上の危険分子の排除であった。 それでもルシフェルトはスキル【破壊の後の創造】を駆使して生き延び、その過程で救った魔族の親子に誘われて小さな集落で暮らす事になる。 やがて彼の持つ力に気付いた魔王やエルフ、そして王国の思惑が複雑に絡み大戦乱へと発展していく。 鬱陶しいのでみんなぶっ壊して創り直してやります。 ※小説家になろうにも投稿しています。

微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸
ファンタジー
「微妙なバフなどもういらないんだよ!」 そう言われて冒険者パーティーを追放されたフォーレスト。 だが、仲間だと思っていたパーティーメンバーからの仕打ちは、それだけに留まらなかった。 「もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」 窮地に追い込まれたフォーレスト。 だが、バフの新たな可能性に気付いたその時、復讐はなされた。 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。 これは、絶望の淵からバフの新たな可能性を見いだし、高みを目指すに至った補助魔法使いフォーレストが最強に至るまでの物語。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約

Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。 腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。 地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。 彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。 「死んで、私の影になれ」 彼女は知っていた。 この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。 そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。 これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

魔法物語 - 倒したモンスターの魔法を習得する加護がチートすぎる件について -

花京院 光
ファンタジー
全ての生命が生まれながらにして持つ魔力。 魔力によって作られる魔法は、日常生活を潤し、モンスターの魔の手から地域を守る。 十五歳の誕生日を迎え、魔術師になる夢を叶えるために、俺は魔法都市を目指して旅に出た。 俺は旅の途中で、「討伐したモンスターの魔法を習得する」という反則的な加護を手に入れた……。 モンスターが巣食う剣と魔法の世界で、チート級の能力に慢心しない主人公が、努力を重ねて魔術師を目指す物語です。

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

処理中です...