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ロケット発射計画
第486話 タブさんに相談する
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家に帰って机に座り、ノートとにらめっこをする。椅子の後ろではブベが走り回っている。ミリアはそれを追いかけ回していた。バタバタとやかましい中で、私は頭を捻っていた。ロケットの打ち上げにまだいくつか課題があった。
まず燃料に関しては、保留とする。少なくとも打ち上げの1回分はあるのだから。
次に場所だ。
それから発射台。
それと、ロケットの制御と監視を行うシステムが必要だった。
私はタブレットを起動してタブさんに話しかける。
「場所以外はロケットの改造でなんとかなるよね? タブさん?」
すぐにタブレットから合成音声が流れてきた。
『なんとかなるであろうが、問題は場所だけでなく、発射場所の土台だ。平らで頑丈に作る必要がある』
「たとえば無人島で広い場所を見つけて、そこにコンクリートで平らな土台を作ればそれで打ち上げられるかな?」
『その二つの条件がクリアされたなら打ち上げることができる。姿勢制御の調整は我が担当しよう』
「ありがとう。タブさん。頼りにしてるよ」
いつもは言葉が足りなかったり厳しいことを言ってくるタブさんだが、私のことをわかっている。こうして、ちゃんと役に立ってくれる。タブさんには感謝しないといけないと思った。
次の発言を耳にするまでは……。
『タブレットを操縦室に持ち込む必要があることはわかってるな? 主よ』
「…………」
無意識にタブレットを振り上げていた。
『ん? 主?』
私は振り上げた手を机に下ろした。あやうく机に叩きつけてしまうところだった。タブさんに感謝をするのはとりあえず保留となった。
「もしかしてだけど、私もいっしょに乗れってこと?」
『主がもっとも望ましいのだが……。タブレットを操作できれば誰でもよいぞ。誰かは乗る必要がある』
「私が乗ると思う?」
『主が望ましいのだが。主こそが、このタブレットの所有者ではないか。我が手元にいないと不安なのではないか? さみしいのではないか? 離れてしまって心配ではないのか?』
「それはまあ、大丈夫なんだけどね。ダンジョン・タブレットが手元にないのはいいことじゃないね。いざというときに困るから」
『ならば、主が乗ればよかろう。最善の選択肢だ』
「タブさんは私のことをわかってくれると思っていたけど、そうじゃなかったみたいね」
『いや、わかっておるぞ。主は飛行機と同じようにロケットに乗ることが怖いと思っているようだ。だが、乗ってみないとわからない。案外、いけるやもしれぬぞ』
「でも、ロケットだよ? すごいGがかかるって聞いたことがある。私に耐えられるかな?」
『主なら大丈夫だ。問題がない。いや、むしろ、主だからこそ大丈夫なのだ。フレイムドラゴン・ロードで初めて飛んだときのことを覚えておるか? あの時の加速度はロケットほどではないにせよ、かなりのものだったぞ』
私はタブレットを手にしたまま、首を振った。
「いやあ、ムリムリ。ロケットも飛行機もいっしょだよ、呼び方が違うだけで。私は乗らないよ」
『我は無理強いはせぬ。主の思うように行動すれば良い。それが良い結果をもたらすであろう』
「うん、ありがとう」
何気なく感謝の言葉が漏れた。なんだかんだ言って、タブさんは私の味方なのだ。
「お姉様、勉強は終わったのですか?」
珍しく机に向かっていたので、ミリアからは勉強しているように見えたようだ。
「うん。だいたい終わったかな」
「では、ミリアといっしょにブベと遊ぶのです。ブベは体力オバケなので、ミリアの手に負えないのです」
ブベは体力が余っているようだ。部屋を走ってもまだ動き足りないらしい。
今のブベには首輪がつけられている。首輪にはリングがあり、リードを取り付けることができるようになっていた。
「ブベの散歩には行ったの?」
「まだブベは散歩デビューには早いのだそうです。家の中で散歩ごっこなのです」
「そうだね。少しずつ慣らしてからだね」
ブベはまだ狂犬病のワクチンを接種していない。トイレを覚えさせたり、環境に慣れさせたりと、やることはたくさんある。
ミリアはブベを抱きながら、私のノートを覗き込んできた。
「お姉様、無人島へ行くのですか?」
ノートには【打ち上げ場所・無人島?】と書いていた。
「まだ決まったわけじゃないけどね。無人島なんてかんたんに見つからないと思うし」
「あそこはどうなのですか?」
「あそこ?」
「イタリアのゲートをクリアしたあとに戦闘機で不時着したという島なのです。お姉様がパンツを海に流されたという、あの」
思い出した。
あそこの島は無人島だった。
海に入って濡れてしまい、濡れたパンツが嫌で春日井君に気づかれないようにこっそり脱いでいた。乾かして履くつもりだったのが、すっかり忘れてノーパンのまま過ごしていたのだ。
パンツが海に流されたかどうかはわからない。帰りの船でそれらしいものが漂流しているのを遠目に見ただけだ。
「ミリアにその話、したっけ?」
「ラビちゃんから聞いたのです」
「ミリアはラビちゃんと話せるの?」
「ラビちゃんがジェスチャーで教えてくれたのです。それで、だいたいわかるのです」
確かにあの島はいいかもしれない。
なにより、無人島を探す手間が省ける。
さっそく湊ちゃんに相談してみよう。
まず燃料に関しては、保留とする。少なくとも打ち上げの1回分はあるのだから。
次に場所だ。
それから発射台。
それと、ロケットの制御と監視を行うシステムが必要だった。
私はタブレットを起動してタブさんに話しかける。
「場所以外はロケットの改造でなんとかなるよね? タブさん?」
すぐにタブレットから合成音声が流れてきた。
『なんとかなるであろうが、問題は場所だけでなく、発射場所の土台だ。平らで頑丈に作る必要がある』
「たとえば無人島で広い場所を見つけて、そこにコンクリートで平らな土台を作ればそれで打ち上げられるかな?」
『その二つの条件がクリアされたなら打ち上げることができる。姿勢制御の調整は我が担当しよう』
「ありがとう。タブさん。頼りにしてるよ」
いつもは言葉が足りなかったり厳しいことを言ってくるタブさんだが、私のことをわかっている。こうして、ちゃんと役に立ってくれる。タブさんには感謝しないといけないと思った。
次の発言を耳にするまでは……。
『タブレットを操縦室に持ち込む必要があることはわかってるな? 主よ』
「…………」
無意識にタブレットを振り上げていた。
『ん? 主?』
私は振り上げた手を机に下ろした。あやうく机に叩きつけてしまうところだった。タブさんに感謝をするのはとりあえず保留となった。
「もしかしてだけど、私もいっしょに乗れってこと?」
『主がもっとも望ましいのだが……。タブレットを操作できれば誰でもよいぞ。誰かは乗る必要がある』
「私が乗ると思う?」
『主が望ましいのだが。主こそが、このタブレットの所有者ではないか。我が手元にいないと不安なのではないか? さみしいのではないか? 離れてしまって心配ではないのか?』
「それはまあ、大丈夫なんだけどね。ダンジョン・タブレットが手元にないのはいいことじゃないね。いざというときに困るから」
『ならば、主が乗ればよかろう。最善の選択肢だ』
「タブさんは私のことをわかってくれると思っていたけど、そうじゃなかったみたいね」
『いや、わかっておるぞ。主は飛行機と同じようにロケットに乗ることが怖いと思っているようだ。だが、乗ってみないとわからない。案外、いけるやもしれぬぞ』
「でも、ロケットだよ? すごいGがかかるって聞いたことがある。私に耐えられるかな?」
『主なら大丈夫だ。問題がない。いや、むしろ、主だからこそ大丈夫なのだ。フレイムドラゴン・ロードで初めて飛んだときのことを覚えておるか? あの時の加速度はロケットほどではないにせよ、かなりのものだったぞ』
私はタブレットを手にしたまま、首を振った。
「いやあ、ムリムリ。ロケットも飛行機もいっしょだよ、呼び方が違うだけで。私は乗らないよ」
『我は無理強いはせぬ。主の思うように行動すれば良い。それが良い結果をもたらすであろう』
「うん、ありがとう」
何気なく感謝の言葉が漏れた。なんだかんだ言って、タブさんは私の味方なのだ。
「お姉様、勉強は終わったのですか?」
珍しく机に向かっていたので、ミリアからは勉強しているように見えたようだ。
「うん。だいたい終わったかな」
「では、ミリアといっしょにブベと遊ぶのです。ブベは体力オバケなので、ミリアの手に負えないのです」
ブベは体力が余っているようだ。部屋を走ってもまだ動き足りないらしい。
今のブベには首輪がつけられている。首輪にはリングがあり、リードを取り付けることができるようになっていた。
「ブベの散歩には行ったの?」
「まだブベは散歩デビューには早いのだそうです。家の中で散歩ごっこなのです」
「そうだね。少しずつ慣らしてからだね」
ブベはまだ狂犬病のワクチンを接種していない。トイレを覚えさせたり、環境に慣れさせたりと、やることはたくさんある。
ミリアはブベを抱きながら、私のノートを覗き込んできた。
「お姉様、無人島へ行くのですか?」
ノートには【打ち上げ場所・無人島?】と書いていた。
「まだ決まったわけじゃないけどね。無人島なんてかんたんに見つからないと思うし」
「あそこはどうなのですか?」
「あそこ?」
「イタリアのゲートをクリアしたあとに戦闘機で不時着したという島なのです。お姉様がパンツを海に流されたという、あの」
思い出した。
あそこの島は無人島だった。
海に入って濡れてしまい、濡れたパンツが嫌で春日井君に気づかれないようにこっそり脱いでいた。乾かして履くつもりだったのが、すっかり忘れてノーパンのまま過ごしていたのだ。
パンツが海に流されたかどうかはわからない。帰りの船でそれらしいものが漂流しているのを遠目に見ただけだ。
「ミリアにその話、したっけ?」
「ラビちゃんから聞いたのです」
「ミリアはラビちゃんと話せるの?」
「ラビちゃんがジェスチャーで教えてくれたのです。それで、だいたいわかるのです」
確かにあの島はいいかもしれない。
なにより、無人島を探す手間が省ける。
さっそく湊ちゃんに相談してみよう。
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