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ロケット発射計画
第487話 湊ちゃんに相談をする
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私は湊ちゃんに電話をかけた。音声だけの通話で顔は見えない。ビデオ通話だと長電話には向かないからだ。ベッドに放り投げたスマホはスピーカーモードになっている。
「いいね。あの島だよね。春菜がパンツをなくした島。楽しかったよね。もう一度行ってみたいって思ってたんだ」
「湊がパンツを魚臭くした島ね」
湊ちゃんはパンツを洗おうとしたが、石鹸作りに失敗した。魚臭い石鹸で洗ってしまった。
私はパンツをなくし、湊ちゃんはパンツを臭くする。ダブルの悲劇が起こったのだ。
「まあ、今となってはいい思い出だよ。この次はお互いにパンツを脱がないようにしましょう」
「二度とゴメンだよ」
「南の島みたいで開放的になっちゃうんだよね。日常から離れて、つい普段は取らない行動を取っちゃう」
「問題になったのは春日井君がいたからだよね。いなかったら何の問題もなかった。今回は女子だけにする? 私と湊と、誰か女の子を誘って」
「でもさ、ロケットの土台を作らないといけないんでしょ? 男手は必要だと思うな」
「つまり、湊は春日井君を誘いたいと?」
「もうー。別に春日井君じゃなくったっていいよ……。ほら、難高校のダンジョン部だっていいわけじゃない。春菜が仲良くなった……」
「向こうが勝手に姫扱いしてきただけだよ」
「姫のために働いてくれるんじゃないの?」
「申し訳ないよ。向こうは先輩だし、偏差値79のエリート進学校だよ。しかもダンジョン部全員の志望先が東大だよ。私たちとは次元が違うよ。異世界人だよ」
「そうかな? 動画で見たけど、気さくで話しやすそうな人たちだったけれど。難高校だって言わなければ、どこにでもいる高校生だと思うよ」
「まあ、先輩っぽくなくて気楽に話はできたよね。でも、あれ以来、会ってないんだ」
「そうなんだ。てっきり連絡をとりあっているのかと」
「連絡はくるよ、メッセージアプリで。ダンジョンのことをいろいろと聞かれたりするけれど、どれも事務的な内容だけどね。堅苦しい言葉のやりとりばかり」
「誘ってみたら? 男手は多いほどいいと思うよ。それに予想外に役に立つということもあるかもしれないよ。みんな、ダンジョンハンターなんだからさ」
「わかった。まあ、声を掛けるだけかけてみるよ。来るかどうかわからないけれど……」
私は通話しながら、メッセージアプリを開いてダンジョン部の部長にメッセージを送った。そういえば部長の名前って何だったかな? 高……みね……とかそういった苗字だった気がする。いつも「部長」と呼んでいたから一人だけ名前を覚えないのだ。
「メッセージ送信――っと。返事がくるかな?」
湊ちゃんと話をしていると、すぐにメッセージが戻ってきた。
「返事がきた。早……。『行かせていただきます。取り急ぎ、ご返事まで。楽しみにしています。』だって」
「いつもそんなに返事が早いの?」
「ううん。いつもは時間がかかるよ。今回は最速かも」
「春菜からはなんて送ったの?」
「今度、いっしょに無人島へ行きませんか? って」
「それだけ?」
「うん。ロケットのこととかは来るって決まってから話そうかと」
「日にちも場所も目的も不明なのに、即決ってすごいね。ダンジョン部の部長さん」
「中学生女子から無人島に誘われるなんて、一生にあるかないかだよね」
「もしかして春菜と2人きりなんて思われていないよね?」
「まさかあ」
「普通なら『どういうことですか? 無人島!?』みたいに返してきそうだけれど」
「うん。私も聞き返してくると思った」
「偏差値79だからね。即座に理解してしまうのかもしれないね」
「湊より頭がいいかもしれないね」
「私なんて、全然だよ」
「説明しなくていいか。ロケットのこととか」
「いやいや、駄目だよ。ちゃんと伝えたほうがいいよ。もしかしたら、今頃もんもんとしているかもしれないよ。無人島? どういうこと? 僕と2人でってこと? これはデートのお誘い? でも初デートに無人島って突拍子もなくない? とか――」
「あはははは。ないよ。そんなこと」
「だよね。でもちゃんと説明しておくんだよ、春菜」
「うん、わかった。でもまだ日程が決まっていないよね。いろいろ決めないとね。1日で終わらなかったら泊まりになるのかな?」
「わたしんちは外泊できないかな。最近、厳しくなっちゃって」
「じゃあ、男子だけ無人島に置いてきてがんばってもらうとか?」
「ひどいですなあ、姫。男子に働かせるんですね? みんな姫のために働いちゃいますよ」
「なにか報酬を用意してあげないとね。ダンジョンポイントとか?」
「ダンジョンポイントだと現金をあげるみたいなものだよね。違うものがいいんじゃないかな。例えば……」
「例えば?」
「春菜のキス顔とか?」
「もう! あの悪夢を再び!?」
ユカリスさんの提案で行ったダンジョン部とのゲーム。その時の報酬が私のキス顔だった。もちろんキスなんてしたことのなかった私は妄想そのままのキスを再現した。しかし、唇を前に突き出して思いっきりブスな顔をしていて、100年の夢も一瞬で醒めるとみんなから揶揄されることになった。
「まあ、報酬なんていらないと思うけれどね。でもなにか考えておくといいかもね。春菜のキス顔以外で」
「うん、私のキス顔以外で」
このあとも長電話が続き、無人島での計画を話し合った。
日程を決め、発射のための土台をどのように作るか、無人島へ向かうメンバーを選定し、搭載する人工衛星と念の為の宇宙服を用意する。
打ち上げの目的は人工衛星を飛ばすことと、プリミティブ・デバイスの捜索。
プリミティブ・デバイスがある場所については瑞稀社長が調べてくれている。
ここまで大変だったが、いよいよロケットの打ち上げだ。
「いいね。あの島だよね。春菜がパンツをなくした島。楽しかったよね。もう一度行ってみたいって思ってたんだ」
「湊がパンツを魚臭くした島ね」
湊ちゃんはパンツを洗おうとしたが、石鹸作りに失敗した。魚臭い石鹸で洗ってしまった。
私はパンツをなくし、湊ちゃんはパンツを臭くする。ダブルの悲劇が起こったのだ。
「まあ、今となってはいい思い出だよ。この次はお互いにパンツを脱がないようにしましょう」
「二度とゴメンだよ」
「南の島みたいで開放的になっちゃうんだよね。日常から離れて、つい普段は取らない行動を取っちゃう」
「問題になったのは春日井君がいたからだよね。いなかったら何の問題もなかった。今回は女子だけにする? 私と湊と、誰か女の子を誘って」
「でもさ、ロケットの土台を作らないといけないんでしょ? 男手は必要だと思うな」
「つまり、湊は春日井君を誘いたいと?」
「もうー。別に春日井君じゃなくったっていいよ……。ほら、難高校のダンジョン部だっていいわけじゃない。春菜が仲良くなった……」
「向こうが勝手に姫扱いしてきただけだよ」
「姫のために働いてくれるんじゃないの?」
「申し訳ないよ。向こうは先輩だし、偏差値79のエリート進学校だよ。しかもダンジョン部全員の志望先が東大だよ。私たちとは次元が違うよ。異世界人だよ」
「そうかな? 動画で見たけど、気さくで話しやすそうな人たちだったけれど。難高校だって言わなければ、どこにでもいる高校生だと思うよ」
「まあ、先輩っぽくなくて気楽に話はできたよね。でも、あれ以来、会ってないんだ」
「そうなんだ。てっきり連絡をとりあっているのかと」
「連絡はくるよ、メッセージアプリで。ダンジョンのことをいろいろと聞かれたりするけれど、どれも事務的な内容だけどね。堅苦しい言葉のやりとりばかり」
「誘ってみたら? 男手は多いほどいいと思うよ。それに予想外に役に立つということもあるかもしれないよ。みんな、ダンジョンハンターなんだからさ」
「わかった。まあ、声を掛けるだけかけてみるよ。来るかどうかわからないけれど……」
私は通話しながら、メッセージアプリを開いてダンジョン部の部長にメッセージを送った。そういえば部長の名前って何だったかな? 高……みね……とかそういった苗字だった気がする。いつも「部長」と呼んでいたから一人だけ名前を覚えないのだ。
「メッセージ送信――っと。返事がくるかな?」
湊ちゃんと話をしていると、すぐにメッセージが戻ってきた。
「返事がきた。早……。『行かせていただきます。取り急ぎ、ご返事まで。楽しみにしています。』だって」
「いつもそんなに返事が早いの?」
「ううん。いつもは時間がかかるよ。今回は最速かも」
「春菜からはなんて送ったの?」
「今度、いっしょに無人島へ行きませんか? って」
「それだけ?」
「うん。ロケットのこととかは来るって決まってから話そうかと」
「日にちも場所も目的も不明なのに、即決ってすごいね。ダンジョン部の部長さん」
「中学生女子から無人島に誘われるなんて、一生にあるかないかだよね」
「もしかして春菜と2人きりなんて思われていないよね?」
「まさかあ」
「普通なら『どういうことですか? 無人島!?』みたいに返してきそうだけれど」
「うん。私も聞き返してくると思った」
「偏差値79だからね。即座に理解してしまうのかもしれないね」
「湊より頭がいいかもしれないね」
「私なんて、全然だよ」
「説明しなくていいか。ロケットのこととか」
「いやいや、駄目だよ。ちゃんと伝えたほうがいいよ。もしかしたら、今頃もんもんとしているかもしれないよ。無人島? どういうこと? 僕と2人でってこと? これはデートのお誘い? でも初デートに無人島って突拍子もなくない? とか――」
「あはははは。ないよ。そんなこと」
「だよね。でもちゃんと説明しておくんだよ、春菜」
「うん、わかった。でもまだ日程が決まっていないよね。いろいろ決めないとね。1日で終わらなかったら泊まりになるのかな?」
「わたしんちは外泊できないかな。最近、厳しくなっちゃって」
「じゃあ、男子だけ無人島に置いてきてがんばってもらうとか?」
「ひどいですなあ、姫。男子に働かせるんですね? みんな姫のために働いちゃいますよ」
「なにか報酬を用意してあげないとね。ダンジョンポイントとか?」
「ダンジョンポイントだと現金をあげるみたいなものだよね。違うものがいいんじゃないかな。例えば……」
「例えば?」
「春菜のキス顔とか?」
「もう! あの悪夢を再び!?」
ユカリスさんの提案で行ったダンジョン部とのゲーム。その時の報酬が私のキス顔だった。もちろんキスなんてしたことのなかった私は妄想そのままのキスを再現した。しかし、唇を前に突き出して思いっきりブスな顔をしていて、100年の夢も一瞬で醒めるとみんなから揶揄されることになった。
「まあ、報酬なんていらないと思うけれどね。でもなにか考えておくといいかもね。春菜のキス顔以外で」
「うん、私のキス顔以外で」
このあとも長電話が続き、無人島での計画を話し合った。
日程を決め、発射のための土台をどのように作るか、無人島へ向かうメンバーを選定し、搭載する人工衛星と念の為の宇宙服を用意する。
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