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最強の初心者パーティ
第193話 いつもの撮影会?
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私のレベルアップ申請がようやく終わった。急ぎ足で2階へあがると、人だかりができていた。
湊ちゃんと春日井君が立っていて、その横にいる美沙さんが手を叩きながら声を張り上げていた。
「はいはい、並んで並んで。撮影は1人3万DP。お触りは駄目だぞ。肩を組むのも禁止な。隣に立つのも10センチは空けてくれ」
どうやら撮影会をしようとしているらしい。
神王装備は私が使ったことで有名になってしまった。黄金に輝く豪華絢爛なその装備は華がある。今は湊ちゃんが着ていて、その横にはミスリル装備の春日井君がいる。ミスリル装備も神王装備に劣らない豪華さがある。ミスリルという、それまで現代には存在しなかった素材が使われていて、その珍しさからも人目を引くことは間違いがない。
だが、正直いって3万は法外な価格だ。湊ちゃんも春日井君も戸惑いを見せていて、撮影自体はまだ始まっていない。
美沙さんがこちらを向いた。2階に上がってきた私のことを見つけたようだ。
「お、オリハルコン装備も来たぞ! 筑紫春菜もいっしょにどうだ? 取り分は私2:モデル8だ。ほら、こっちに来ていっしょに撮影を」
「しません!!」
私は3人の元へと歩いていく。
美沙さんは不思議そうな顔をする。
「稼がなくていいのか? こんなチャンスはなかなかないぞ」
「私はお兄ちゃんから1ヶ月に5万DPしか使えないように制限されているんです。ここで稼いでもなんの意味もないんです」
「なるほどな。そういうことか。でも、そっちの2人はどうなんだ?」
美沙さんは2人の方へと振り返る。
湊ちゃんはもじもじしていて、春日井君は困った顔をしていた。撮影会にはあまり乗り気ではないようだったが、よく考えてみたらこの2人にはダンジョンポイントの使用制限はない。つまり、稼いだら、稼いだ分だけ使えるということだ……。
1回写真を撮るだけで3万。取り分は8割とのことだから、2万4千ダンジョンポイントが入ってくる。
私は思わず「ごくり」と唾を飲み込んだ。
そして、心の声が漏れてしまっていた。
「…………10回写真を撮らせるだけで24万……。……24万も入る……。そっか……。湊ちゃんや春日井君のダンジョンポイントには制限がないんだから……2人にアイテムを買ってもらえば……あれも買えるし、これも買える……」
あやうくヨダレを垂らしかけたところに、湊ちゃんと春日井君の声で現実に引き戻される。
「しないよ!」
「しないからね!」
湊ちゃんは頬を膨らませて、ぷんすかしながら私に顔を寄せてきた。
「あのね、春菜。3万DPってことは3万円ってことなの。単に写真を撮るだけでこんな金額を出す人なんていると思うの!?」
そう言いながら、湊ちゃんは後ろを振り返った。
「いるし! 列ができてるし!!」
応えたのは湊ちゃん自身だ。湊ちゃんは自分の発言に自分でツッコミを入れていた。まるで1人コントをやっているようだった。
そこにはすでに男性ハンターが5人ほど並んでいた。
「あのー、撮影会やるんですよね? コスプレじゃなくて本物なら3万でも惜しくないですよ。やるんですよね?」
先頭にいた男性に聞かれる。
「やらないです! 私たち、3階へ行くので!」
男性はどこから持ってきたのか一眼レフカメラを手にしていた。たまにオタク気質なハンターがいて、お気に入りの女性ハンターを撮影することもあるらしい。
「ぜひともお撮りしたいです。戦いに慣れていなくて、神王装備を着せられている感じがなんとも初々しくて。それなのに弓を持つと別人のように凛として、庇護欲をかきたてる弱々しさとのギャップがなんとも萌えます。ぜひ、エンジェル・ボウを構えた勇姿をカメラに収めたく……」
美沙さんがその男性ハンターの横に来て、がしっと肩を組んだ。
「お前、わかってんなあ。この子は今日ハンターになったんだよ。初日からこれだぞ。神王装備にエンジェル・ボウ。これは萌えるよなあ。撮影は1回3万。3枚撮ったら9万な。ハンターのお持ち帰りは禁止だぞ。まだ未成年だからな」
湊ちゃんは困った顔で言い返した。
「だから、撮影会なんて、やらないですってえー! この装備だって、春菜のお兄さんから借りたものですし、弓も借り物なんです! 私はそこら辺にいる、ただの女子中学生なんです!」
「だからいいんですよ!」
男性ハンターがカメラを胸に抱きながら叫んだ。
「その、初めての恥じらいこそ、カメラに収めたいわけです。その表情は今しかないのです」
「わかる、わかるぞ、お前。初めての姿こそエモいものなあ」
うんうん、と美沙さんは頷いている。そして、湊ちゃんの耳に口を寄せた。湊ちゃんだけに聞こえるよう小さく囁いた。
「今日がダンジョンハンターの登録なんだろ? 初日はハンターになったご祝儀のため、毎回こうして撮影会が開かれるんだ。これが、いつものイベントなんだ。これはよくあることで、毎度の恒例行事。ありふれた光景で、よくある日常。
知らないだろうけれど、なんら特別なことではなくて、珍しいことでもない。通常通りで、なにもおかしいことでも、異常なことでもない。
今日ハンターになったばかりだから知らないんだろう? そりゃあ、知らなくて当然だ」
いたずらっぽくニヤリと笑う美沙さんに、
「絶対、嘘ですーーーーー」
湊ちゃんは間髪入れずに叫んだ。完全に美沙さんによるデタラメを見抜いていた。
美沙さんの目論見は失敗に終わり、撮影会は行われなかった。
名残惜しそうな顔をした美沙さんを残して、私たちは3階へと上がった。
湊ちゃんと春日井君が立っていて、その横にいる美沙さんが手を叩きながら声を張り上げていた。
「はいはい、並んで並んで。撮影は1人3万DP。お触りは駄目だぞ。肩を組むのも禁止な。隣に立つのも10センチは空けてくれ」
どうやら撮影会をしようとしているらしい。
神王装備は私が使ったことで有名になってしまった。黄金に輝く豪華絢爛なその装備は華がある。今は湊ちゃんが着ていて、その横にはミスリル装備の春日井君がいる。ミスリル装備も神王装備に劣らない豪華さがある。ミスリルという、それまで現代には存在しなかった素材が使われていて、その珍しさからも人目を引くことは間違いがない。
だが、正直いって3万は法外な価格だ。湊ちゃんも春日井君も戸惑いを見せていて、撮影自体はまだ始まっていない。
美沙さんがこちらを向いた。2階に上がってきた私のことを見つけたようだ。
「お、オリハルコン装備も来たぞ! 筑紫春菜もいっしょにどうだ? 取り分は私2:モデル8だ。ほら、こっちに来ていっしょに撮影を」
「しません!!」
私は3人の元へと歩いていく。
美沙さんは不思議そうな顔をする。
「稼がなくていいのか? こんなチャンスはなかなかないぞ」
「私はお兄ちゃんから1ヶ月に5万DPしか使えないように制限されているんです。ここで稼いでもなんの意味もないんです」
「なるほどな。そういうことか。でも、そっちの2人はどうなんだ?」
美沙さんは2人の方へと振り返る。
湊ちゃんはもじもじしていて、春日井君は困った顔をしていた。撮影会にはあまり乗り気ではないようだったが、よく考えてみたらこの2人にはダンジョンポイントの使用制限はない。つまり、稼いだら、稼いだ分だけ使えるということだ……。
1回写真を撮るだけで3万。取り分は8割とのことだから、2万4千ダンジョンポイントが入ってくる。
私は思わず「ごくり」と唾を飲み込んだ。
そして、心の声が漏れてしまっていた。
「…………10回写真を撮らせるだけで24万……。……24万も入る……。そっか……。湊ちゃんや春日井君のダンジョンポイントには制限がないんだから……2人にアイテムを買ってもらえば……あれも買えるし、これも買える……」
あやうくヨダレを垂らしかけたところに、湊ちゃんと春日井君の声で現実に引き戻される。
「しないよ!」
「しないからね!」
湊ちゃんは頬を膨らませて、ぷんすかしながら私に顔を寄せてきた。
「あのね、春菜。3万DPってことは3万円ってことなの。単に写真を撮るだけでこんな金額を出す人なんていると思うの!?」
そう言いながら、湊ちゃんは後ろを振り返った。
「いるし! 列ができてるし!!」
応えたのは湊ちゃん自身だ。湊ちゃんは自分の発言に自分でツッコミを入れていた。まるで1人コントをやっているようだった。
そこにはすでに男性ハンターが5人ほど並んでいた。
「あのー、撮影会やるんですよね? コスプレじゃなくて本物なら3万でも惜しくないですよ。やるんですよね?」
先頭にいた男性に聞かれる。
「やらないです! 私たち、3階へ行くので!」
男性はどこから持ってきたのか一眼レフカメラを手にしていた。たまにオタク気質なハンターがいて、お気に入りの女性ハンターを撮影することもあるらしい。
「ぜひともお撮りしたいです。戦いに慣れていなくて、神王装備を着せられている感じがなんとも初々しくて。それなのに弓を持つと別人のように凛として、庇護欲をかきたてる弱々しさとのギャップがなんとも萌えます。ぜひ、エンジェル・ボウを構えた勇姿をカメラに収めたく……」
美沙さんがその男性ハンターの横に来て、がしっと肩を組んだ。
「お前、わかってんなあ。この子は今日ハンターになったんだよ。初日からこれだぞ。神王装備にエンジェル・ボウ。これは萌えるよなあ。撮影は1回3万。3枚撮ったら9万な。ハンターのお持ち帰りは禁止だぞ。まだ未成年だからな」
湊ちゃんは困った顔で言い返した。
「だから、撮影会なんて、やらないですってえー! この装備だって、春菜のお兄さんから借りたものですし、弓も借り物なんです! 私はそこら辺にいる、ただの女子中学生なんです!」
「だからいいんですよ!」
男性ハンターがカメラを胸に抱きながら叫んだ。
「その、初めての恥じらいこそ、カメラに収めたいわけです。その表情は今しかないのです」
「わかる、わかるぞ、お前。初めての姿こそエモいものなあ」
うんうん、と美沙さんは頷いている。そして、湊ちゃんの耳に口を寄せた。湊ちゃんだけに聞こえるよう小さく囁いた。
「今日がダンジョンハンターの登録なんだろ? 初日はハンターになったご祝儀のため、毎回こうして撮影会が開かれるんだ。これが、いつものイベントなんだ。これはよくあることで、毎度の恒例行事。ありふれた光景で、よくある日常。
知らないだろうけれど、なんら特別なことではなくて、珍しいことでもない。通常通りで、なにもおかしいことでも、異常なことでもない。
今日ハンターになったばかりだから知らないんだろう? そりゃあ、知らなくて当然だ」
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「絶対、嘘ですーーーーー」
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