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その後伝令役の人が来て砦の攻略指揮所に戻るように言われた。
ここに残ってももうやることはないので南へと帰還する。
城外の敵は殲滅したのか退いたのかはわからないが既にいなかった。
さっきの戦いはかなり反省点の多い戦闘だった。
一番は発動が遅れてしまった風刃ファ〇ネルだろう。
風槌を使ってこの技を習得する時に難儀した奥から手前に(=離れた場所から自分に)向けての魔法発動に、初めて風刃を使っての発動だったからか引っ掛かってしまった。
ひょっとしたら風槌から風刃に変更したことで、間違ったら自分を切ることになってしまうかもしれないという恐怖感もあったのかもしれない。
初めて繋がりで言うのであれば、初っ端の急降下ドロップキックも練習なんて何もしていない。
足を魔盾で保護することまでは思い付くのに、どうしてその後の着地までを考えに入れてなかったのか。
あの場合、飛行魔法を切って落下中にジェネラルを魔法で攻撃して滞空魔法で着地という手段もあったはず…………だけどそれはそれで攻撃魔法の選択が難しいな。
街中だから回転系は使えないし、あの場では金髪ねーちゃんを巻き込まない魔法を使わなければならない。射程の長い魔法はある程度狙ったところに撃てるものの正確無比とまでは言えないので、結局はドロップキックで正解だったということになるか……
そもそも落下中に魔法を撃ったところで当たるとも思えないしな。模擬戦の時のように近い距離感なら別だけど。
どの道どの程度当てることができるのか練習で試してみる必要があるのだろう。
練習…………
そうだよ! 要は思い付きをその場で試すのではなく、ちゃんと練習して戦いに臨まないと痛い目を見るということだ。
生死の懸かった状況でもない限り一か八かみたいな戦い方はするべきではないのだ。
早速明日からでも魔法の練習を…………いや、こういうことは今日からやるべきだ。砦から遠くに行く訳でもないからナナイさんも簡単に許可してくれるはず……たぶん。
指揮所である天幕が設置してある本陣に戻ると、多くの者が砦攻略の為の物資を再び荷馬車に積む作業をしていた。
確かここを出る前の報告では、ゲルテス男爵率いる部隊が突入して砦の奪還はもう時間の問題だったはず。既に占領が完了しててもおかしくないと思うが……
天幕の中に入っていくと中にいる偉い人達の目が一斉にこちらへと向いた。
こういう雰囲気苦手なんだが……意を決して声を出した。
「ただいまバルーカより戻りました!」
「ツトム君待っていたよ、戻ったばかりで悪いがバルーカの状況を報告して欲しい」
「わかりました」
大きい長方形のテーブルの上には砦内部とバルーカ城内の見取り図が置かれており、天幕の出入り口に近いところに自分が居て、テーブルを挟んで向かい側にこの軍の総司令官であるグレドール伯爵が座っている。
伯爵とは一ヶ月以上前に商業ギルドの件で少しだけ話したことがある程度なので、伯爵からしたら『誰だ? こいつは』ぐらいに思っていることだろう。ロイターのおっさんがいなかったらつまみ出されていたかもしれない……
「自分が到着した際にはバルーカは南門と東門に魔物の襲撃を受けていまして…………」
テーブルの左右にはロイター子爵を筆頭に幹部連中が9人座っている。おそらく先日の軍議の席で何人かの名前を聞いているはずなのだけど誰一人として覚えていない。
「城内中央部にてオークアーチャーを主体とする魔物と交戦している守備隊に加勢して…………」
テーブル上のバルーカ城内の地図を指差しながら説明していく。
「帝国軍の方々が中心となって5体のオークリーダーを討ち取り…………」
真面目に偽りなく報告する。
城でロイターのおっさんやナナイさんに報告する時はもっと軽い感じで、何なら少し創作するぐらいの和気藹々な感があるのだけど、この場はちょっとした冗談すら許さない雰囲気だ。
「戻る際に見た限りでは城外の魔物もいなくなっていました。以上です」
報告を終えて一息つく。
ふと視線を感じて周囲を見てみると、天幕の中を区切る為に置かれている衝立の横からこちらを覗く人影を見つけた。
レイシス姫だった…………
何やってるんだ? あの人は……
しきりに目配せをして何かを訴えているみたいだけどよくわからない。
「こちらの虚を突いた割にはバルーカへの襲撃は小規模だったようだな」
「はい。被害も過去3度の襲撃の中で最小なのは間違いないようです」
「入念に防御を固めた成果なのではないでしょうか?」
伯爵と幹部や参謀達が意見を言い合っている。
「ツトム君、君が苦戦したというオークジェネラルを持って来ているかい? あるのなら見せて欲しい」
「はい、こちらです」
横のスペースに収納からジェネラルを出して横たえる。
ついでに使っていた大剣も置いた。
伯爵と子爵と幹部達は席から立ち上がってジェネラルを検分する。
「オークキングより手強かったというのは本当かね?」
「ハ、ハイ。強さの方向性が違うので単純な比較はできませんが、間違いなく強敵でした」
この日初めて俺に声を掛けた伯爵は、ジェネラルを触ったり大剣を持ちマジマジと見てから席に戻った。
「魔族側もそれなりの部隊を転移させた訳か……」
「そうなりますな。その目的が不明なのが気になるところですが……」
「目的は内城への突入なのではありませんか?」
「そんなことを目的としてどうする? そのまま占拠するにしても少ない兵数では無理だろう」
仮に内城への突入そのものを目的としているのなら、その理由は…………要人の暗殺とかか? 伯爵にしろ姫様にしろ重要人物ではあるのだろうが、彼らを殺めたからといって王国の何が変わるという訳でもなさそうだけど……
他に重要人物と言えば帝国から派遣されている金髪ねーちゃんがいるが…………そうだよ! グラバラス帝国だ!!
援軍として派遣されている白鳳騎士団に犠牲者が出れば、ベルガーナ王国とグラバラス帝国との同盟関係に楔を打ち込むことができるじゃないか!! ましてその犠牲者の中に子爵家の当主(=金髪ねーちゃん=エルカリーゼ・フォン・ビグラム子爵)の名が加わるのであれば波及効果も大きいだろう。
そう言えばジェネラルが最初に戦っていた相手は金髪ねーちゃんだ!!
ここに残ってももうやることはないので南へと帰還する。
城外の敵は殲滅したのか退いたのかはわからないが既にいなかった。
さっきの戦いはかなり反省点の多い戦闘だった。
一番は発動が遅れてしまった風刃ファ〇ネルだろう。
風槌を使ってこの技を習得する時に難儀した奥から手前に(=離れた場所から自分に)向けての魔法発動に、初めて風刃を使っての発動だったからか引っ掛かってしまった。
ひょっとしたら風槌から風刃に変更したことで、間違ったら自分を切ることになってしまうかもしれないという恐怖感もあったのかもしれない。
初めて繋がりで言うのであれば、初っ端の急降下ドロップキックも練習なんて何もしていない。
足を魔盾で保護することまでは思い付くのに、どうしてその後の着地までを考えに入れてなかったのか。
あの場合、飛行魔法を切って落下中にジェネラルを魔法で攻撃して滞空魔法で着地という手段もあったはず…………だけどそれはそれで攻撃魔法の選択が難しいな。
街中だから回転系は使えないし、あの場では金髪ねーちゃんを巻き込まない魔法を使わなければならない。射程の長い魔法はある程度狙ったところに撃てるものの正確無比とまでは言えないので、結局はドロップキックで正解だったということになるか……
そもそも落下中に魔法を撃ったところで当たるとも思えないしな。模擬戦の時のように近い距離感なら別だけど。
どの道どの程度当てることができるのか練習で試してみる必要があるのだろう。
練習…………
そうだよ! 要は思い付きをその場で試すのではなく、ちゃんと練習して戦いに臨まないと痛い目を見るということだ。
生死の懸かった状況でもない限り一か八かみたいな戦い方はするべきではないのだ。
早速明日からでも魔法の練習を…………いや、こういうことは今日からやるべきだ。砦から遠くに行く訳でもないからナナイさんも簡単に許可してくれるはず……たぶん。
指揮所である天幕が設置してある本陣に戻ると、多くの者が砦攻略の為の物資を再び荷馬車に積む作業をしていた。
確かここを出る前の報告では、ゲルテス男爵率いる部隊が突入して砦の奪還はもう時間の問題だったはず。既に占領が完了しててもおかしくないと思うが……
天幕の中に入っていくと中にいる偉い人達の目が一斉にこちらへと向いた。
こういう雰囲気苦手なんだが……意を決して声を出した。
「ただいまバルーカより戻りました!」
「ツトム君待っていたよ、戻ったばかりで悪いがバルーカの状況を報告して欲しい」
「わかりました」
大きい長方形のテーブルの上には砦内部とバルーカ城内の見取り図が置かれており、天幕の出入り口に近いところに自分が居て、テーブルを挟んで向かい側にこの軍の総司令官であるグレドール伯爵が座っている。
伯爵とは一ヶ月以上前に商業ギルドの件で少しだけ話したことがある程度なので、伯爵からしたら『誰だ? こいつは』ぐらいに思っていることだろう。ロイターのおっさんがいなかったらつまみ出されていたかもしれない……
「自分が到着した際にはバルーカは南門と東門に魔物の襲撃を受けていまして…………」
テーブルの左右にはロイター子爵を筆頭に幹部連中が9人座っている。おそらく先日の軍議の席で何人かの名前を聞いているはずなのだけど誰一人として覚えていない。
「城内中央部にてオークアーチャーを主体とする魔物と交戦している守備隊に加勢して…………」
テーブル上のバルーカ城内の地図を指差しながら説明していく。
「帝国軍の方々が中心となって5体のオークリーダーを討ち取り…………」
真面目に偽りなく報告する。
城でロイターのおっさんやナナイさんに報告する時はもっと軽い感じで、何なら少し創作するぐらいの和気藹々な感があるのだけど、この場はちょっとした冗談すら許さない雰囲気だ。
「戻る際に見た限りでは城外の魔物もいなくなっていました。以上です」
報告を終えて一息つく。
ふと視線を感じて周囲を見てみると、天幕の中を区切る為に置かれている衝立の横からこちらを覗く人影を見つけた。
レイシス姫だった…………
何やってるんだ? あの人は……
しきりに目配せをして何かを訴えているみたいだけどよくわからない。
「こちらの虚を突いた割にはバルーカへの襲撃は小規模だったようだな」
「はい。被害も過去3度の襲撃の中で最小なのは間違いないようです」
「入念に防御を固めた成果なのではないでしょうか?」
伯爵と幹部や参謀達が意見を言い合っている。
「ツトム君、君が苦戦したというオークジェネラルを持って来ているかい? あるのなら見せて欲しい」
「はい、こちらです」
横のスペースに収納からジェネラルを出して横たえる。
ついでに使っていた大剣も置いた。
伯爵と子爵と幹部達は席から立ち上がってジェネラルを検分する。
「オークキングより手強かったというのは本当かね?」
「ハ、ハイ。強さの方向性が違うので単純な比較はできませんが、間違いなく強敵でした」
この日初めて俺に声を掛けた伯爵は、ジェネラルを触ったり大剣を持ちマジマジと見てから席に戻った。
「魔族側もそれなりの部隊を転移させた訳か……」
「そうなりますな。その目的が不明なのが気になるところですが……」
「目的は内城への突入なのではありませんか?」
「そんなことを目的としてどうする? そのまま占拠するにしても少ない兵数では無理だろう」
仮に内城への突入そのものを目的としているのなら、その理由は…………要人の暗殺とかか? 伯爵にしろ姫様にしろ重要人物ではあるのだろうが、彼らを殺めたからといって王国の何が変わるという訳でもなさそうだけど……
他に重要人物と言えば帝国から派遣されている金髪ねーちゃんがいるが…………そうだよ! グラバラス帝国だ!!
援軍として派遣されている白鳳騎士団に犠牲者が出れば、ベルガーナ王国とグラバラス帝国との同盟関係に楔を打ち込むことができるじゃないか!! ましてその犠牲者の中に子爵家の当主(=金髪ねーちゃん=エルカリーゼ・フォン・ビグラム子爵)の名が加わるのであれば波及効果も大きいだろう。
そう言えばジェネラルが最初に戦っていた相手は金髪ねーちゃんだ!!
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