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捌の抄 罪と罰
其の伍
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※
「キモッ、くたばれ!」
夏休み三日前。
四宮松子の顔が青ざめた。
三沢が周辺に出没していること、柊介を殴ったこと、柊介の友人たちも見境なしにターゲットにし、実際に環奈が被害に遭ったこと──。武晴がそれらを伝えたところの反応であった。
「くたばれてお前……ええこというやん」
「環奈さんは大丈夫なん? それにうちら女子も三沢に絡まれる可能性あるってことやろ?」
「うん。環奈姐やんはハチたちもいてるし、なんなら大学にゃ廿楽さんとか潮江さんもいてるしな。問題は高校メンツやで。お前は向こうのツラ知ってんから避けようもあるけど、京子サンとか仲宗根とかはノーガードやろ」
「恵子もね」
「あいつは存在がオールガードやないか」
と武晴がわらう。
「高村センセが下校時刻に警備強化したるて言うてはったさかい、まあ気ィ付けてやっちゅー話」
「わかった──ほんで」
と一瞬口ごもり、松子は訝しげに武晴を見上げる。なにやら昨日からこの男、様子がおかしいのである。
真剣な顔で話しているかと思いきや、突然に鼻の下を伸ばすのだ。気が散ってしようがない。
「アンタはいったいなんなん」
「なんなんてなんやねん。あっホラ、高村センセ来たで。はよ席つけ、お義父さんに迷惑かけんなよ」
「は……?」
武晴はいまだかつてないスピードで着席した。
困惑する松子は、ちらりと明夫に視線を向けて、無言のままに説明を求める。
「…………」
視線を受けた明夫も、口を開くでもなく、人差し指を頭の横でくるりと二回回してから手のひらを上に向けた。
いわゆる、くるくるパーというやつだ。
松子はなるほど、という意で一度うなずき、おとなしく着席をした。
────。
「というわけで、校門警備の強化をするがお前たちも気を付けろよ。とくに女子、なるべくひとりで帰るなや」
帰りのホームルームにて、高村はそういった。
松子から話を聞いていた京子や春菜は、それでも不安そうに身を寄せあって昇降口へとおりる。
そこに、靴をはきかえる武晴と明夫がいた。
松子はひょいと手をあげる。
「ふたりだけ?」
「かんちゃーん、って忠犬ハチ公が迎えに行きよったわ。アイツだいぶシスコンよな」
「なんでアンタはそないに不機嫌そうやねん」
という松子の目には、思いきりふて腐れた顔の武晴が映っている。代わりに答えたのは明夫だった。
「ついてく、って言うたら下心を疑われて居残されたことに腹立ててんねん」
「あんなマブイ女初めて見たもん──もっかい会いたいと思うんは当然やろ」
「…………」
松子は察した。
黙ったまま視線を女子に切り替える。
「さ、三沢が出らんうちに帰ろか」
「その三沢ってヤツ──有沢とどんな因縁があんの」
と恵子がリュックからお菓子を取り出した。松子が言いよどんで武晴を見ると、彼も肩をすくめている。本人がいないところで話すことではない──と思っているのだ。
「まあ、有沢にとって絶対ゆるせへんようなことしたヤツよ」
「…………」
「はぁーあ。しゃーない、俺らも帰ろうやメガネ」
一行は昇降口から外に出る。
恵子はだまったままお菓子を口に放り込んだ。
今日のクッキーは限定発売品なので、心なしか慎重に味わって食べている。それを一瞥した武晴が、
「おまえがボリボリ菓子食うから、食べたなったやん。コンビニ寄ってこーぜ」
といった。
なかに入ったのは武晴と恵子、松子、明夫である。
一緒に入ると恵子からねだられる、と恐れた春菜と京子は、そろってコンビニの外で待機した。
ふと、柄のわるい男たちがわらわらとコンビニに近寄ってくる。そのまま店舗の前でたむろし、煙草を吸いはじめた。漂いくる煙に眉をしかめて春菜は「もっとあっち行こ」と京子の手をとって少し離れる。
しかしその行動によって男たちの視界に入ってしまったようだった。
「オネーさんたち、白泉やろ」
煙草を吸っていた男たちのうち、ひときわガタイのいい男がニヤニヤと笑って立ち上がる。
京子の身体が強ばった。
ムシムシ、と春菜は小声でささやいたが、男は「ねえ」とイヤらしい笑みを浮かべて近付いてきた。
「キョーコちゃん、なか入ろ──」
「白泉の有沢知ってるやろ。さっき尾白といてたよな。ほんなら三沢って名前も聞いとらん?」
「…………」
ぎろり、と三沢を下から睨み付けて、春菜は後ろ手で京子をコンビニ入口の方へと追いやる。中に助けを呼びに行け、という合図だ。しかしそれだと春菜をひとりにすることになる。京子は泣きそうだった。
「ミサワって名前は、ここら一帯の不審者って聞いてますケド」
「不審者ァ?」
「シュウの顔殴ったん、アンタなん?」
「それがどうしッ──」
バシッ、と。
喋り途中の三沢の頬を、春菜は平手打ちした。
京子は絶句し、あわててコンビニの中へと入っていく。
「…………お前も有沢の女かよ。どんだけいてんのやアイツ──」
と三沢は春菜の左手をぐいと掴んだ。しかし春菜は怯むことなく、
「クソ野郎」
と呟いて、思いきり足を振りあげた。
それは見事に男性の急所に入った。周りで見ていた取り巻きは、瞬時に己の股間に手を当てる。しかし三沢は動じなかった。いや、表情は固まっていたが、春菜の手を離すことはなかった。
「……女に手ェ出したかなかってんけど、しゃーないわな」
と、三沢が拳を握ったときである。
「おまえなにしてんの」
するどいキックが三沢を襲う。
恵子だった。
どうやら京子から報せを受け、会計を武晴と明夫に任せて出てきたようである。三沢はよろけて春菜から手を離した。
すると春菜はビャッと泣き出して、恵子の後ろに隠れた。よほど怖かったようだ。
まもなくコンビニを出た武晴が「うわ」と声をあげる。
「やなもん見てもた。お前か──」
「ぐ、なんやてめえらッ」
三沢は股間に手を持っていきながら、そう叫ぶ。恵子は首を傾げた。
「こいつだれ」
「三沢」
武晴の言葉に、恵子は小さい身体いっぱいに力をためて、三沢の鳩尾に拳を叩き込んだ。
それを見て武晴はピュウ、と口笛を吹く。
「ムカつくなぁ、こいつ」
「てめえら、人をおちょくんのもたいがいにしたれよコラァ。こちとらバックにゃ山のつく組がついとんじゃ、ええ?」
と啖呵を切る。しかし武晴と恵子は顔を見合わせて「ハッ」と笑った。
「いっぱしのモブ構成員のちんけなもめごとに、わざわざ組が出てきはるんや。親切なこってすなぁ」
「組ほのめかして人を脅す喧嘩が許されるん、中学生までじゃない? 高校でやったらマジダサいで」
その後ろから、松子がひょこりと顔を出す。珍しくご立腹な様子だ。
「あんた、ネンショ入ってたわりに、ミリも成長してへんやん。進化見込めへんのやったら母親の胎盤に戻って人生やり直せや。これ以上有沢に手ェ出したらこっちも出るとこ出たるさかいな!」
と、中指を立てる。
三沢は怒りで顔を真っ赤にした。
そしてなりふり構わず拳をふるう。恵子に向かってきたそれを見事にかわしたが、三沢の猛攻には閉口し、一歩後ずさった。
「こいつ──喧嘩じゃあかん。有沢から本気で手ェ引かせるんやったら、なにか別の方法で音をあげさせたらんと」
「そうはいうても、今はこれで乗りきるしかあらへんやろ」
武晴がニタリと笑って手指の骨をならす。
そのとなりで恵子も肩をほぐした。
ふたりは三沢に集中している。それを周囲の取り巻きが嘲笑した。明夫がハッと顔をあげる。
恵子の死角。
陰から、様子をうかがう取り巻きを見た。
その手にあるのは、ナイフ──。
明夫は駆けだした。
恵子の手を引いて庇うように覆いかぶさる。取り巻きが振るったナイフは、明夫の腕を切りつけていた。
「千堂!」
恵子の目が見開く。その隣にいた武晴から、とうとう笑みが消えて取り巻きを蹴り飛ばす。
てめえ、と声低く唸って取り巻きの髪を掴みあげた。
「……トーシロがそんなもん振り回したら危ないやんか」
アッ、と明夫が顔をあげる。
大変だ。武晴の鬼モードが出てしまった──と冷や汗を一筋垂らす。
「おい三沢よ。てめえもエエ加減ぶっ殺されんとわからへんねんか。ああ?」
「た、タケ!」
明夫が叫ぶ。
そこに込められた焦燥に、恵子は気が付いた。
しかし三沢の取り巻きはいまの戦いで一気に殺気づき、各々立ち上がると武晴を取り囲む。その手にはやはり、サバイバルナイフやカッターなどの刃物がある。京子や春菜、松子の顔面は蒼白だ。
「おうおう、やったろやないか。──全員まとめて地獄に送ったらァ」
「へっ。強がりやがって」
と、三沢が血痰を吐く。
その時だった。遠くからパトカーの音が聞こえた。どうやらコンビニの店員が通報したようだ。
三沢は大きく舌打ちをした。
「もう我慢ならん。次に会うたらぶっ殺したる」
と吐き捨てて、取り巻きとともにパトカーの音とは反対方向に駆けていく。
一瞬、その場に静寂が訪れた。
がパトカーの音に舌打ちをした武晴の「にげるど」の一言で、ここから近い学校方面へとふたたび駆け出した。
「キモッ、くたばれ!」
夏休み三日前。
四宮松子の顔が青ざめた。
三沢が周辺に出没していること、柊介を殴ったこと、柊介の友人たちも見境なしにターゲットにし、実際に環奈が被害に遭ったこと──。武晴がそれらを伝えたところの反応であった。
「くたばれてお前……ええこというやん」
「環奈さんは大丈夫なん? それにうちら女子も三沢に絡まれる可能性あるってことやろ?」
「うん。環奈姐やんはハチたちもいてるし、なんなら大学にゃ廿楽さんとか潮江さんもいてるしな。問題は高校メンツやで。お前は向こうのツラ知ってんから避けようもあるけど、京子サンとか仲宗根とかはノーガードやろ」
「恵子もね」
「あいつは存在がオールガードやないか」
と武晴がわらう。
「高村センセが下校時刻に警備強化したるて言うてはったさかい、まあ気ィ付けてやっちゅー話」
「わかった──ほんで」
と一瞬口ごもり、松子は訝しげに武晴を見上げる。なにやら昨日からこの男、様子がおかしいのである。
真剣な顔で話しているかと思いきや、突然に鼻の下を伸ばすのだ。気が散ってしようがない。
「アンタはいったいなんなん」
「なんなんてなんやねん。あっホラ、高村センセ来たで。はよ席つけ、お義父さんに迷惑かけんなよ」
「は……?」
武晴はいまだかつてないスピードで着席した。
困惑する松子は、ちらりと明夫に視線を向けて、無言のままに説明を求める。
「…………」
視線を受けた明夫も、口を開くでもなく、人差し指を頭の横でくるりと二回回してから手のひらを上に向けた。
いわゆる、くるくるパーというやつだ。
松子はなるほど、という意で一度うなずき、おとなしく着席をした。
────。
「というわけで、校門警備の強化をするがお前たちも気を付けろよ。とくに女子、なるべくひとりで帰るなや」
帰りのホームルームにて、高村はそういった。
松子から話を聞いていた京子や春菜は、それでも不安そうに身を寄せあって昇降口へとおりる。
そこに、靴をはきかえる武晴と明夫がいた。
松子はひょいと手をあげる。
「ふたりだけ?」
「かんちゃーん、って忠犬ハチ公が迎えに行きよったわ。アイツだいぶシスコンよな」
「なんでアンタはそないに不機嫌そうやねん」
という松子の目には、思いきりふて腐れた顔の武晴が映っている。代わりに答えたのは明夫だった。
「ついてく、って言うたら下心を疑われて居残されたことに腹立ててんねん」
「あんなマブイ女初めて見たもん──もっかい会いたいと思うんは当然やろ」
「…………」
松子は察した。
黙ったまま視線を女子に切り替える。
「さ、三沢が出らんうちに帰ろか」
「その三沢ってヤツ──有沢とどんな因縁があんの」
と恵子がリュックからお菓子を取り出した。松子が言いよどんで武晴を見ると、彼も肩をすくめている。本人がいないところで話すことではない──と思っているのだ。
「まあ、有沢にとって絶対ゆるせへんようなことしたヤツよ」
「…………」
「はぁーあ。しゃーない、俺らも帰ろうやメガネ」
一行は昇降口から外に出る。
恵子はだまったままお菓子を口に放り込んだ。
今日のクッキーは限定発売品なので、心なしか慎重に味わって食べている。それを一瞥した武晴が、
「おまえがボリボリ菓子食うから、食べたなったやん。コンビニ寄ってこーぜ」
といった。
なかに入ったのは武晴と恵子、松子、明夫である。
一緒に入ると恵子からねだられる、と恐れた春菜と京子は、そろってコンビニの外で待機した。
ふと、柄のわるい男たちがわらわらとコンビニに近寄ってくる。そのまま店舗の前でたむろし、煙草を吸いはじめた。漂いくる煙に眉をしかめて春菜は「もっとあっち行こ」と京子の手をとって少し離れる。
しかしその行動によって男たちの視界に入ってしまったようだった。
「オネーさんたち、白泉やろ」
煙草を吸っていた男たちのうち、ひときわガタイのいい男がニヤニヤと笑って立ち上がる。
京子の身体が強ばった。
ムシムシ、と春菜は小声でささやいたが、男は「ねえ」とイヤらしい笑みを浮かべて近付いてきた。
「キョーコちゃん、なか入ろ──」
「白泉の有沢知ってるやろ。さっき尾白といてたよな。ほんなら三沢って名前も聞いとらん?」
「…………」
ぎろり、と三沢を下から睨み付けて、春菜は後ろ手で京子をコンビニ入口の方へと追いやる。中に助けを呼びに行け、という合図だ。しかしそれだと春菜をひとりにすることになる。京子は泣きそうだった。
「ミサワって名前は、ここら一帯の不審者って聞いてますケド」
「不審者ァ?」
「シュウの顔殴ったん、アンタなん?」
「それがどうしッ──」
バシッ、と。
喋り途中の三沢の頬を、春菜は平手打ちした。
京子は絶句し、あわててコンビニの中へと入っていく。
「…………お前も有沢の女かよ。どんだけいてんのやアイツ──」
と三沢は春菜の左手をぐいと掴んだ。しかし春菜は怯むことなく、
「クソ野郎」
と呟いて、思いきり足を振りあげた。
それは見事に男性の急所に入った。周りで見ていた取り巻きは、瞬時に己の股間に手を当てる。しかし三沢は動じなかった。いや、表情は固まっていたが、春菜の手を離すことはなかった。
「……女に手ェ出したかなかってんけど、しゃーないわな」
と、三沢が拳を握ったときである。
「おまえなにしてんの」
するどいキックが三沢を襲う。
恵子だった。
どうやら京子から報せを受け、会計を武晴と明夫に任せて出てきたようである。三沢はよろけて春菜から手を離した。
すると春菜はビャッと泣き出して、恵子の後ろに隠れた。よほど怖かったようだ。
まもなくコンビニを出た武晴が「うわ」と声をあげる。
「やなもん見てもた。お前か──」
「ぐ、なんやてめえらッ」
三沢は股間に手を持っていきながら、そう叫ぶ。恵子は首を傾げた。
「こいつだれ」
「三沢」
武晴の言葉に、恵子は小さい身体いっぱいに力をためて、三沢の鳩尾に拳を叩き込んだ。
それを見て武晴はピュウ、と口笛を吹く。
「ムカつくなぁ、こいつ」
「てめえら、人をおちょくんのもたいがいにしたれよコラァ。こちとらバックにゃ山のつく組がついとんじゃ、ええ?」
と啖呵を切る。しかし武晴と恵子は顔を見合わせて「ハッ」と笑った。
「いっぱしのモブ構成員のちんけなもめごとに、わざわざ組が出てきはるんや。親切なこってすなぁ」
「組ほのめかして人を脅す喧嘩が許されるん、中学生までじゃない? 高校でやったらマジダサいで」
その後ろから、松子がひょこりと顔を出す。珍しくご立腹な様子だ。
「あんた、ネンショ入ってたわりに、ミリも成長してへんやん。進化見込めへんのやったら母親の胎盤に戻って人生やり直せや。これ以上有沢に手ェ出したらこっちも出るとこ出たるさかいな!」
と、中指を立てる。
三沢は怒りで顔を真っ赤にした。
そしてなりふり構わず拳をふるう。恵子に向かってきたそれを見事にかわしたが、三沢の猛攻には閉口し、一歩後ずさった。
「こいつ──喧嘩じゃあかん。有沢から本気で手ェ引かせるんやったら、なにか別の方法で音をあげさせたらんと」
「そうはいうても、今はこれで乗りきるしかあらへんやろ」
武晴がニタリと笑って手指の骨をならす。
そのとなりで恵子も肩をほぐした。
ふたりは三沢に集中している。それを周囲の取り巻きが嘲笑した。明夫がハッと顔をあげる。
恵子の死角。
陰から、様子をうかがう取り巻きを見た。
その手にあるのは、ナイフ──。
明夫は駆けだした。
恵子の手を引いて庇うように覆いかぶさる。取り巻きが振るったナイフは、明夫の腕を切りつけていた。
「千堂!」
恵子の目が見開く。その隣にいた武晴から、とうとう笑みが消えて取り巻きを蹴り飛ばす。
てめえ、と声低く唸って取り巻きの髪を掴みあげた。
「……トーシロがそんなもん振り回したら危ないやんか」
アッ、と明夫が顔をあげる。
大変だ。武晴の鬼モードが出てしまった──と冷や汗を一筋垂らす。
「おい三沢よ。てめえもエエ加減ぶっ殺されんとわからへんねんか。ああ?」
「た、タケ!」
明夫が叫ぶ。
そこに込められた焦燥に、恵子は気が付いた。
しかし三沢の取り巻きはいまの戦いで一気に殺気づき、各々立ち上がると武晴を取り囲む。その手にはやはり、サバイバルナイフやカッターなどの刃物がある。京子や春菜、松子の顔面は蒼白だ。
「おうおう、やったろやないか。──全員まとめて地獄に送ったらァ」
「へっ。強がりやがって」
と、三沢が血痰を吐く。
その時だった。遠くからパトカーの音が聞こえた。どうやらコンビニの店員が通報したようだ。
三沢は大きく舌打ちをした。
「もう我慢ならん。次に会うたらぶっ殺したる」
と吐き捨てて、取り巻きとともにパトカーの音とは反対方向に駆けていく。
一瞬、その場に静寂が訪れた。
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