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第二章
28話 パワープレイヤー
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「これはこれは」
才徳ジャージを肩掛けした大神が、桜爛メンバーのもとへ歩み寄る。
「都大会優勝の桜爛大附レギュラーがわざわざ県本選に見学へ来るとは──少しは才徳の脅威ってのを感じたか。え? 井龍」
「つけあがるな。インターハイのときから、お前が少しは強くなったのかと確認しに来てやったんだ。言っとくが、あの時の如月さんに勝てないようじゃいまの俺にも勝てねえぞ」
「フ、」
大神はすこし気だるげなようすでコートに視線を向けた。
「分かってる。このあいだお前のテニスを見て俺もそう思った」
「なんだ、伝説の試合をした当事者がずいぶん弱気だな」
「べつに負けるつもりはねえよ。それほどお前の腕が前にくらべてあがったってことだ」
「え」
愛織がおもわず声をもらす。
「ふたりって、試合したことあるん?」
桜爛大附と才徳学園が公式戦ではじめて当たったのは、昨年度の全国大会初戦のことである。そのときの井龍はまだレギュラーではなく、試合をする機会はなかったはずで、今年の八月におこなわれた高校総体──インターハイ個人戦にも井龍は出場しなかった。
ならばいつ、と不思議そうに仙堂へと視線を移す。
彼は口角をあげて「たしか」とつぶやいた。
「中学三年のときだったな。あの河川敷のコートで、井龍が大神に試合をふっかけて無様に負けたんだったか」
「俺がふっかけたわけじゃないッ。コイツが誰彼かまわず試合を申し込んでいたんだ! そのなかにたまたま俺もいた、それだけだ」
「先週の試合じゃ、あの頃のお前は見る影もなかったな。それほど伸びしろがあったってことか」
「フン。おまえも才徳なんぞという無名のところへ行かないで、桜爛に入っていたらもっと違っていただろうに。もったいない」
「──そうでもねえよ」
大神は瞳を細めた。
その瞬間、会場内から拍手が起こる。AコートのS3試合、まさかの青峰学院が一ゲーム目を先制したところだった。
ありゃ、と本間が観客席から身を乗り出す。
「蜂谷のやつ先制されちまったぞ」
「まあ、向こうのサービスゲームだったしね。彼のことだから、このゲームで今後のゲームメイクをどうするか──とか考えていたんじゃない?」
「でもやっぱり、大したことないじゃないですか。おれだったらいまのところはラリー崩してさっさと攻めますよ」
咲間はフッと鼻をならした。
ぴくりと眉を動かす大神のとなりで、井龍はゆっくりと首を横にふる。
「分かってないな。ああいうタイプは──相手が強けりゃ強いほどその実力を出してくる」
「え、」
「わるく言えば、相手の実力に引きずられるタイプでもある。そうだろう大神」
「────アイツのテニスは鏡のようだ。たしかに得意なのはラリーだが、試合をしてみりゃ変幻自在。相手のプレースタイルを盗みとっておのれのものにする。そのなかで弱点を見出だすと、中盤から攻め立てる。まあ、俺と倉持には通用しなかったが──そっちの」
と、大神がちらと咲間を見る。
「坊やには通用しそうでよかったぜ」
嫌みのこもった言い方である。ムッ、と咲間の顔がわずかに歪む。
俺としてはむしろ、と井龍孝臣がD2の試合へ視線を移した。
「あっちのふたりの方が疑問だな。小さいのが姫川朝陽、ペアが星丸廉也だろう。たしかにずいぶんとフットワークが軽いが──関東大会くらいなら、ああいう選手はゴロゴロいるはずだ。お前がわざわざあのレベルをレギュラーに据えるとは思えない」
「ダブルスとしての動きに統率感もないしな。美しくない」
と、仙堂が顎に手を当てる。
仙堂尊という男、テニスには人一倍に美意識が高い。才徳D2に見られるような前衛的な動きは、あまり好まないらしい。
それに、と本間が目を細める。
「姫川のポーチ守備範囲が広すぎないか? あんなに自由に動かれちゃ、後衛はやりづらいったらないだろう。──サイドチェンジのタイミングとかよ」
「星丸くんは気にしてないみたいだよ。なんかもう、息するように居るべき場所へ動いてる。あれが彼らの通常ダブルスなんだろう。なによりも、ダブルスやってる側からすると見ててすごく楽しいダブルスをしてる」
忽那は比較的肯定的に試合を見ているらしい。とはいえあながち間違ってはいない。というのも、彼らが試合をおこなうBコートが、どこのコートよりも騒がしいのである。ワーギャーと喚きながら、しかしナイスショットでポイントを取れば、優勝したとばかりに互いを讃え合う。
感情と身体が直結しているのだ。
素直なんだろう──と井龍のうしろでちいさくつぶやく声がした。高校二年生にして百八十をゆうに越える身長と渋い顔、重厚なバリトンボイスも相まってまるで高校生には思えないが、制服はおなじく桜爛大附のものである。彼が、D1の中津川鉄心。
図体のわりに声がおそろしく小さい。案の定、横に立っていた播磨十郎太は「なんて?」とどんぐり眼をかっ開いている。
素直か、と仙堂は顎をあげて試合を見下ろした。
「まあたしかに、片方なんかビジュアルだけ見ると女子中学生だしな」
「見た目と実力は比例しないってことの、いい例だ」
井龍がつぶやく。
そうも言ってられなくないですか、と咲間はふたたび異論を唱えた。
「青峰D2、熊澤剛と鯉淵寛太──とくに熊澤はパワーに比重を置いたパワープレイヤーです。いくらフットワークが軽いからといって、パワーで圧されたらどうしようもないですよ。フィジカル面でのハンデがでかすぎる」
「なるほど。パワーだけならうちの播磨といい勝負だな」
という仙堂の視線の先、Bコートでは熊澤が初っぱなから重い打球を放つ。ラリーに応じる星丸は歯を食いしばって返している。前衛で構える姫川を避けるようにクロスへ飛ぶので、得意のポーチにも出られない。
ね、と咲間はすこし得意気にわらった。
「あれだけ強い打球、仮にポーチへ出られたとしても、うまく面に当てないかぎりは弾かれてアウトです」
「ずいぶん心配してくれるじゃねーか。だがひとつ言っておくと、姫川は女子中学生じゃねえんだぜ」
大神が愉快そうに肩を揺らす。
しかし、長いラリーも星丸のアウトボールによって終わり、S3同様、D2も一ゲーム目で青峰先制のスタートを切った。
「おい井龍、テメーらのとこも少しはうちの選手を調べたんだろ。その姫川のデータ、懸念事項にはフットワークの軽さしか書かれてねえのかよ」
「なに?」
井龍がちらりと仙堂を見る。
たしかに、桜爛大附のブレイン役は仙堂尊が担っている。いったいどこから聞いてくるのか、異様に他校の選手情報に敏いのである。
しかし仙堂の手元には、姫川のデータとしてそれ以上の記述はない。
チェンジコートののち、二ゲーム目が開始される。
姫川のサービスゲーム。小柄な体躯を精一杯伸ばして、高い打点からのサーブを放った。ドッと音をたててボールがサービスライン上に入る。リターンは相手の鯉淵、彼はクッと顔を歪めて返した。
咲間よ、と大神の瞳がするどくなった。
「見た目で選手を判断したら痛い目見るぞ」
「な、……」
「おい仙堂──お前のデータのなかに、ひとつ付け加えといてもらおうか」
「なにを──」
と言った瞬間、姫川のストロークへポーチに出た鯉淵のラケットが弾かれた。星丸が歓喜の声をあげる。コート内に落ちたラケットを熊澤が拾い上げ、ナイストライと鯉淵の背を叩く。
15-0。
と、主審がポイントカウントを告げた。
大神は満足げな顔でゆっくりとうなずく。
「姫川朝陽は、才徳を代表するパワープレイヤーだってよ」
「パワープレイヤーだと。あの身体で?」
「遠目から見たら細っこいが、間近で見りゃそうでもねえ。あいつの球は俺より重い。まあ、まだゲームはこれからだ。ここでとくと楽しむといいぜ。──それと」
大神がちらりと愛織を見る。
「お前はあんまり身体冷やすなよ」
「ウン」
なぜか優しい声色で愛織に告げると、大神はゆったりとした足取りで才徳陣地へもどっていく。
一同の視線が、無言のままに愛織へ注がれた。
彼女はコホコホ、とかわいらしく咳をしてから、にっこりとわらってその場に腰かけるのだった。
才徳ジャージを肩掛けした大神が、桜爛メンバーのもとへ歩み寄る。
「都大会優勝の桜爛大附レギュラーがわざわざ県本選に見学へ来るとは──少しは才徳の脅威ってのを感じたか。え? 井龍」
「つけあがるな。インターハイのときから、お前が少しは強くなったのかと確認しに来てやったんだ。言っとくが、あの時の如月さんに勝てないようじゃいまの俺にも勝てねえぞ」
「フ、」
大神はすこし気だるげなようすでコートに視線を向けた。
「分かってる。このあいだお前のテニスを見て俺もそう思った」
「なんだ、伝説の試合をした当事者がずいぶん弱気だな」
「べつに負けるつもりはねえよ。それほどお前の腕が前にくらべてあがったってことだ」
「え」
愛織がおもわず声をもらす。
「ふたりって、試合したことあるん?」
桜爛大附と才徳学園が公式戦ではじめて当たったのは、昨年度の全国大会初戦のことである。そのときの井龍はまだレギュラーではなく、試合をする機会はなかったはずで、今年の八月におこなわれた高校総体──インターハイ個人戦にも井龍は出場しなかった。
ならばいつ、と不思議そうに仙堂へと視線を移す。
彼は口角をあげて「たしか」とつぶやいた。
「中学三年のときだったな。あの河川敷のコートで、井龍が大神に試合をふっかけて無様に負けたんだったか」
「俺がふっかけたわけじゃないッ。コイツが誰彼かまわず試合を申し込んでいたんだ! そのなかにたまたま俺もいた、それだけだ」
「先週の試合じゃ、あの頃のお前は見る影もなかったな。それほど伸びしろがあったってことか」
「フン。おまえも才徳なんぞという無名のところへ行かないで、桜爛に入っていたらもっと違っていただろうに。もったいない」
「──そうでもねえよ」
大神は瞳を細めた。
その瞬間、会場内から拍手が起こる。AコートのS3試合、まさかの青峰学院が一ゲーム目を先制したところだった。
ありゃ、と本間が観客席から身を乗り出す。
「蜂谷のやつ先制されちまったぞ」
「まあ、向こうのサービスゲームだったしね。彼のことだから、このゲームで今後のゲームメイクをどうするか──とか考えていたんじゃない?」
「でもやっぱり、大したことないじゃないですか。おれだったらいまのところはラリー崩してさっさと攻めますよ」
咲間はフッと鼻をならした。
ぴくりと眉を動かす大神のとなりで、井龍はゆっくりと首を横にふる。
「分かってないな。ああいうタイプは──相手が強けりゃ強いほどその実力を出してくる」
「え、」
「わるく言えば、相手の実力に引きずられるタイプでもある。そうだろう大神」
「────アイツのテニスは鏡のようだ。たしかに得意なのはラリーだが、試合をしてみりゃ変幻自在。相手のプレースタイルを盗みとっておのれのものにする。そのなかで弱点を見出だすと、中盤から攻め立てる。まあ、俺と倉持には通用しなかったが──そっちの」
と、大神がちらと咲間を見る。
「坊やには通用しそうでよかったぜ」
嫌みのこもった言い方である。ムッ、と咲間の顔がわずかに歪む。
俺としてはむしろ、と井龍孝臣がD2の試合へ視線を移した。
「あっちのふたりの方が疑問だな。小さいのが姫川朝陽、ペアが星丸廉也だろう。たしかにずいぶんとフットワークが軽いが──関東大会くらいなら、ああいう選手はゴロゴロいるはずだ。お前がわざわざあのレベルをレギュラーに据えるとは思えない」
「ダブルスとしての動きに統率感もないしな。美しくない」
と、仙堂が顎に手を当てる。
仙堂尊という男、テニスには人一倍に美意識が高い。才徳D2に見られるような前衛的な動きは、あまり好まないらしい。
それに、と本間が目を細める。
「姫川のポーチ守備範囲が広すぎないか? あんなに自由に動かれちゃ、後衛はやりづらいったらないだろう。──サイドチェンジのタイミングとかよ」
「星丸くんは気にしてないみたいだよ。なんかもう、息するように居るべき場所へ動いてる。あれが彼らの通常ダブルスなんだろう。なによりも、ダブルスやってる側からすると見ててすごく楽しいダブルスをしてる」
忽那は比較的肯定的に試合を見ているらしい。とはいえあながち間違ってはいない。というのも、彼らが試合をおこなうBコートが、どこのコートよりも騒がしいのである。ワーギャーと喚きながら、しかしナイスショットでポイントを取れば、優勝したとばかりに互いを讃え合う。
感情と身体が直結しているのだ。
素直なんだろう──と井龍のうしろでちいさくつぶやく声がした。高校二年生にして百八十をゆうに越える身長と渋い顔、重厚なバリトンボイスも相まってまるで高校生には思えないが、制服はおなじく桜爛大附のものである。彼が、D1の中津川鉄心。
図体のわりに声がおそろしく小さい。案の定、横に立っていた播磨十郎太は「なんて?」とどんぐり眼をかっ開いている。
素直か、と仙堂は顎をあげて試合を見下ろした。
「まあたしかに、片方なんかビジュアルだけ見ると女子中学生だしな」
「見た目と実力は比例しないってことの、いい例だ」
井龍がつぶやく。
そうも言ってられなくないですか、と咲間はふたたび異論を唱えた。
「青峰D2、熊澤剛と鯉淵寛太──とくに熊澤はパワーに比重を置いたパワープレイヤーです。いくらフットワークが軽いからといって、パワーで圧されたらどうしようもないですよ。フィジカル面でのハンデがでかすぎる」
「なるほど。パワーだけならうちの播磨といい勝負だな」
という仙堂の視線の先、Bコートでは熊澤が初っぱなから重い打球を放つ。ラリーに応じる星丸は歯を食いしばって返している。前衛で構える姫川を避けるようにクロスへ飛ぶので、得意のポーチにも出られない。
ね、と咲間はすこし得意気にわらった。
「あれだけ強い打球、仮にポーチへ出られたとしても、うまく面に当てないかぎりは弾かれてアウトです」
「ずいぶん心配してくれるじゃねーか。だがひとつ言っておくと、姫川は女子中学生じゃねえんだぜ」
大神が愉快そうに肩を揺らす。
しかし、長いラリーも星丸のアウトボールによって終わり、S3同様、D2も一ゲーム目で青峰先制のスタートを切った。
「おい井龍、テメーらのとこも少しはうちの選手を調べたんだろ。その姫川のデータ、懸念事項にはフットワークの軽さしか書かれてねえのかよ」
「なに?」
井龍がちらりと仙堂を見る。
たしかに、桜爛大附のブレイン役は仙堂尊が担っている。いったいどこから聞いてくるのか、異様に他校の選手情報に敏いのである。
しかし仙堂の手元には、姫川のデータとしてそれ以上の記述はない。
チェンジコートののち、二ゲーム目が開始される。
姫川のサービスゲーム。小柄な体躯を精一杯伸ばして、高い打点からのサーブを放った。ドッと音をたててボールがサービスライン上に入る。リターンは相手の鯉淵、彼はクッと顔を歪めて返した。
咲間よ、と大神の瞳がするどくなった。
「見た目で選手を判断したら痛い目見るぞ」
「な、……」
「おい仙堂──お前のデータのなかに、ひとつ付け加えといてもらおうか」
「なにを──」
と言った瞬間、姫川のストロークへポーチに出た鯉淵のラケットが弾かれた。星丸が歓喜の声をあげる。コート内に落ちたラケットを熊澤が拾い上げ、ナイストライと鯉淵の背を叩く。
15-0。
と、主審がポイントカウントを告げた。
大神は満足げな顔でゆっくりとうなずく。
「姫川朝陽は、才徳を代表するパワープレイヤーだってよ」
「パワープレイヤーだと。あの身体で?」
「遠目から見たら細っこいが、間近で見りゃそうでもねえ。あいつの球は俺より重い。まあ、まだゲームはこれからだ。ここでとくと楽しむといいぜ。──それと」
大神がちらりと愛織を見る。
「お前はあんまり身体冷やすなよ」
「ウン」
なぜか優しい声色で愛織に告げると、大神はゆったりとした足取りで才徳陣地へもどっていく。
一同の視線が、無言のままに愛織へ注がれた。
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