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第三章
40話 来るか?
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ただいまぁ、と。
杏奈をともなった伊織が、味楽の磨りガラス戸を開け放つ。ラジオ前の席に常連客の平井という親爺がいる以外はたいてい閑古鳥が鳴くラーメン屋なのだが、今日はカウンター席に五名の背中が並んでいた。
おかえりィ、と鍋を振りながらさけぶ大将の背中を見るように並ぶ見慣れたブレザー。とくに真ん中に座る、ラーメン屋にそぐわぬオーラを醸し出す男を見ればそれがなんの集団か、顔をみなくても分かる。彼らが振り向く前に、
「……な、何してんのん自分ら」
と伊織はつぶやいた。
同時に、左から二つ目に座っていた小柄な男子がくるりとこちらを向いた。姫川朝陽である。
「あっ。やっと帰ってきた、おせーよ!」
「はあ?」
「修学旅行の自由行動日程、決めようって話してたろ。それなのに先に帰っちまうからさぁ、わざわざ寄ってやったんだよ」
姫川のことばで、ほかのメンバーも続々とこちらを向く。伊織は眉を下げた。
「あれって今日中の話やったん? 別にあしたも学校で会うねんからそんとき──」
「善は急げっていうじゃん」
「エッ、ほんならここに来てはるっちゅうことは大神とハチも自由行動いっしょまわるん? へえェ意外。こういう群れ行動とか嫌うタイプや思てたわ」
「なんだそのイメージ。俺はべつにそんなことないよ。大神は──俺も意外だったけど」
と、蜂谷がわらう。
大神は片眉をあげて「あァ?」とうなった。
「そういう付き合いは一回行っとけと言ったのはテメーだぜ、伊織」
「へ。あ?」
「まあいい。それよりうしろ、誰だ?」
大神が顎をあげた。
入口で立ち尽くす伊織のうしろには、同じく現状を受け止めきれていない諸星杏奈がいる。ただでさえ伊織の家が場末のラーメン屋にあることに驚いていたのに、そこにかのテニス部メンバーが揃っていたのだからなおさらだ。
とはいえ杏奈も、姫川、倉持、蜂谷は小等部からの幼馴染み。おずおずと伊織の背後から「オス」と顔を出すや姫川と倉持はおお、と気軽に手を挙げた。
「諸星じゃん!」
「そういやいっしょに帰ってたもんな。どっか寄ってたのか」
「『喫茶いろは』行っててん。ほんで、うちらもちょうど修旅の自由行動について話そう思て、連れてきたとこやったんよ。ねっ」
と、伊織が杏奈に顔を向けた。
彼女は大神にちらりと視線を向けると、「ウン」とちいさくうなずくにとどまった。いつもは元気タイプの彼女だが、あまり接点がない上に学園内でもなにかと神聖視される大神謙吾を前にしてすこし緊張しているらしい。
すると、右端に座る蜂谷が右にひとつずれた。左隣にすわる倉持とのあいだに空席をつくり、
「まあ座んなよ」
とわらう。
途端、伊織はパッと杏奈に笑みを向けた。
蜂谷からするとただの親切にすぎないが、杏奈にとっては好きな人のとなり。付き合いは長いといえど、こんなことでよろこぶくらいにはこの恋心は初々しいものらしい。伊織に背を押された杏奈はしぶしぶその席へと腰かける。
それで、とさっそく倉持が杏奈にむけて日程表を広げた。
「お前らはどこの自由行動をいっしょにめぐるんだっけ。二日目の夕方っつったか──ああこのちょっとしかねえ枠か」
「あ、うん。そうそう──奈良公園の鹿におせんべいあげにいこうねって、女子たちのあいだで話しててさ!」
「ええよなァ奈良公園の鹿。あの鹿せんべいしか興味ない感じ。なんやもう本能にそのまま一直線に生きてるやんか。生き物って感じするよなあ」
とカウンター席左端、姫川のとなりに座る杉山は恍惚とした表情を浮かべた。
彼の手元には京都奈良観光ガイドブックが開かれ、ページには瞳がくるりと愛らしい神鹿たちが写っている。横からおなじくガイドブックを覗き込む姫川がふんと鼻を鳴らす。
「まるで自分とは違うみてえな言い方だな。だれよりも本能まっしぐらで生きてるヤツが──あ、もしかして同族とおもった?」
「喧嘩売っとんか、やったんぞコラ」
「だあぁもう、おまえらが口挟むとややこしくなんだよ! それなら伊織は三日目の京都と、四日目の大阪は大丈夫なんだな?」
倉持がカウンター内に目を向ける。
伊織はいつの間にかエプロンをつけて大将のとなりに立ち、餃子を皿に盛っている。そうやけど、と言いながら皿を注文者らしい杉山の前に置いた。
「四日目は、うちひとりでまわろう思てるから──まわるなら三日目やな」
「えェー。いっしょに大阪めぐろうやァ」
「オスギは班行動のときもいっしょにおんねやからええやん別に! ついでにほら、うち親族の墓参りとかもしときたいねん。なかなか自分で大阪行くことって今後ないやろうから」
と、苦笑する伊織を見て倉持と姫川は「アッ」と声をあげた。
親族の──ということばの中に彼女の母親が入っていることは言わずもがなであろう。姫川はとなりにすわる杉山の頭をはたいて「おうッ」とさけぶ。
「そうだよなあ、ベタベタくっついてちゃいけねーぜ。人にはプライベートってもんがある」
「いや自分がさんざん伊織もいっしょに回るんやて喚いてたんやんか! なんやねん……」
「えーっと。じゃあ京都の自由行動決めようぜ」
倉持は日程表のページをめくる。
彼らしい四角い文字の羅列が見えた瞬間、杏奈は身を乗り出してその日程表を見つめた。べつに内容が気になったわけではなく、乗り出した自覚もない。
我に返ったのは、倉持のひと声だった。
「なんだよ、諸星も予定ねえなら来るか?」
と。
トキンと心臓が軽やかに跳ねる。
ついさっき、伊織と喫茶店でそんな話をした。淡い期待を胸に抱いてここに来たが、まさか倉持から誘われるとは想定外で杏奈はリアクションが遅れた。
するとカウンター奥の伊織がパッと頬を染めて飛びはねる。
「ええやん! なあ杏奈、いっしょまわろッ」
「でも──いいの? テニス部で回るんでしょ」
「べつに部員限定とかこだわってるわけじゃねえし。あっ大神、まさかテニス部だからって自由時間はトレーニングしろとか言わねえよな?」
「あァ」大神の口角があがる。
「当たり前だろ。テニス部以前に学生だぜ、本分の勉強が優先に決まってる」
「じゃあ朝の五時起きでランニングとかもやめよーぜェ! オレぜったい日中寝るから!」
「バーカ。いつもテニスに当てる放課後時間がねえんだから、そのくらいやれ」
と、姫川の肩を小突く大神。
それを聞いた杏奈はおもわず「エーッ」といつもの元気な調子で口をおさえた。
「テニス部、修旅でもトレーニングするの?!」
「そうなんだよッ。なんとか言ってくれよ諸星」
「あ、でもつぎの大会──関東だっけ。近いんだよね。じゃあまあ、しょうがないのか」
「エーッ」
「そうだ。しょうがねえんだよ、諦めな」
クックッと肩を揺らす大神に、杏奈は内心でホッとした。学園内で囁かれるうわさによって勝手に創り上げたイメージよりも、ずっと話しやすいことが分かったからである。
倉持はうれしそうに頷き、再度杏奈に目を向ける。
「聞いたとおりキツいトレーニングやれって言ってるわけじゃねえし、暇ならまわろうぜ」
「テニス部がいいなら、あたしは全然いいしっ」
杏奈は満面の笑みを浮かべた。
その後は、味楽が混みはじめる時間ギリギリまで自由行動日程をつくりあげた。大神は場所を占領して営業妨害をしてしまったからと全員分の飲食代に上乗せして支払いをし、日暮れの早まった空の下、全員が、大神家からの迎車──リムジンである──によって家まで送り届けられることとなった。
場末のラーメン屋前からゆっくりと走り去る、皇帝メルセデス・ベンツのマイバッハを見送った伊織と大将は、ゆっくりと顔を見合わせる。
「伊織。いい友達できて、良かったな」
「それ具体的にだれのこと言うてる?」
「バッカオメーみんなに決まってんだろ。……」
「うち、生リムジン初めて見た」
「俺もだよ──」
修学旅行は、あっという間にやってきた。
杏奈をともなった伊織が、味楽の磨りガラス戸を開け放つ。ラジオ前の席に常連客の平井という親爺がいる以外はたいてい閑古鳥が鳴くラーメン屋なのだが、今日はカウンター席に五名の背中が並んでいた。
おかえりィ、と鍋を振りながらさけぶ大将の背中を見るように並ぶ見慣れたブレザー。とくに真ん中に座る、ラーメン屋にそぐわぬオーラを醸し出す男を見ればそれがなんの集団か、顔をみなくても分かる。彼らが振り向く前に、
「……な、何してんのん自分ら」
と伊織はつぶやいた。
同時に、左から二つ目に座っていた小柄な男子がくるりとこちらを向いた。姫川朝陽である。
「あっ。やっと帰ってきた、おせーよ!」
「はあ?」
「修学旅行の自由行動日程、決めようって話してたろ。それなのに先に帰っちまうからさぁ、わざわざ寄ってやったんだよ」
姫川のことばで、ほかのメンバーも続々とこちらを向く。伊織は眉を下げた。
「あれって今日中の話やったん? 別にあしたも学校で会うねんからそんとき──」
「善は急げっていうじゃん」
「エッ、ほんならここに来てはるっちゅうことは大神とハチも自由行動いっしょまわるん? へえェ意外。こういう群れ行動とか嫌うタイプや思てたわ」
「なんだそのイメージ。俺はべつにそんなことないよ。大神は──俺も意外だったけど」
と、蜂谷がわらう。
大神は片眉をあげて「あァ?」とうなった。
「そういう付き合いは一回行っとけと言ったのはテメーだぜ、伊織」
「へ。あ?」
「まあいい。それよりうしろ、誰だ?」
大神が顎をあげた。
入口で立ち尽くす伊織のうしろには、同じく現状を受け止めきれていない諸星杏奈がいる。ただでさえ伊織の家が場末のラーメン屋にあることに驚いていたのに、そこにかのテニス部メンバーが揃っていたのだからなおさらだ。
とはいえ杏奈も、姫川、倉持、蜂谷は小等部からの幼馴染み。おずおずと伊織の背後から「オス」と顔を出すや姫川と倉持はおお、と気軽に手を挙げた。
「諸星じゃん!」
「そういやいっしょに帰ってたもんな。どっか寄ってたのか」
「『喫茶いろは』行っててん。ほんで、うちらもちょうど修旅の自由行動について話そう思て、連れてきたとこやったんよ。ねっ」
と、伊織が杏奈に顔を向けた。
彼女は大神にちらりと視線を向けると、「ウン」とちいさくうなずくにとどまった。いつもは元気タイプの彼女だが、あまり接点がない上に学園内でもなにかと神聖視される大神謙吾を前にしてすこし緊張しているらしい。
すると、右端に座る蜂谷が右にひとつずれた。左隣にすわる倉持とのあいだに空席をつくり、
「まあ座んなよ」
とわらう。
途端、伊織はパッと杏奈に笑みを向けた。
蜂谷からするとただの親切にすぎないが、杏奈にとっては好きな人のとなり。付き合いは長いといえど、こんなことでよろこぶくらいにはこの恋心は初々しいものらしい。伊織に背を押された杏奈はしぶしぶその席へと腰かける。
それで、とさっそく倉持が杏奈にむけて日程表を広げた。
「お前らはどこの自由行動をいっしょにめぐるんだっけ。二日目の夕方っつったか──ああこのちょっとしかねえ枠か」
「あ、うん。そうそう──奈良公園の鹿におせんべいあげにいこうねって、女子たちのあいだで話しててさ!」
「ええよなァ奈良公園の鹿。あの鹿せんべいしか興味ない感じ。なんやもう本能にそのまま一直線に生きてるやんか。生き物って感じするよなあ」
とカウンター席左端、姫川のとなりに座る杉山は恍惚とした表情を浮かべた。
彼の手元には京都奈良観光ガイドブックが開かれ、ページには瞳がくるりと愛らしい神鹿たちが写っている。横からおなじくガイドブックを覗き込む姫川がふんと鼻を鳴らす。
「まるで自分とは違うみてえな言い方だな。だれよりも本能まっしぐらで生きてるヤツが──あ、もしかして同族とおもった?」
「喧嘩売っとんか、やったんぞコラ」
「だあぁもう、おまえらが口挟むとややこしくなんだよ! それなら伊織は三日目の京都と、四日目の大阪は大丈夫なんだな?」
倉持がカウンター内に目を向ける。
伊織はいつの間にかエプロンをつけて大将のとなりに立ち、餃子を皿に盛っている。そうやけど、と言いながら皿を注文者らしい杉山の前に置いた。
「四日目は、うちひとりでまわろう思てるから──まわるなら三日目やな」
「えェー。いっしょに大阪めぐろうやァ」
「オスギは班行動のときもいっしょにおんねやからええやん別に! ついでにほら、うち親族の墓参りとかもしときたいねん。なかなか自分で大阪行くことって今後ないやろうから」
と、苦笑する伊織を見て倉持と姫川は「アッ」と声をあげた。
親族の──ということばの中に彼女の母親が入っていることは言わずもがなであろう。姫川はとなりにすわる杉山の頭をはたいて「おうッ」とさけぶ。
「そうだよなあ、ベタベタくっついてちゃいけねーぜ。人にはプライベートってもんがある」
「いや自分がさんざん伊織もいっしょに回るんやて喚いてたんやんか! なんやねん……」
「えーっと。じゃあ京都の自由行動決めようぜ」
倉持は日程表のページをめくる。
彼らしい四角い文字の羅列が見えた瞬間、杏奈は身を乗り出してその日程表を見つめた。べつに内容が気になったわけではなく、乗り出した自覚もない。
我に返ったのは、倉持のひと声だった。
「なんだよ、諸星も予定ねえなら来るか?」
と。
トキンと心臓が軽やかに跳ねる。
ついさっき、伊織と喫茶店でそんな話をした。淡い期待を胸に抱いてここに来たが、まさか倉持から誘われるとは想定外で杏奈はリアクションが遅れた。
するとカウンター奥の伊織がパッと頬を染めて飛びはねる。
「ええやん! なあ杏奈、いっしょまわろッ」
「でも──いいの? テニス部で回るんでしょ」
「べつに部員限定とかこだわってるわけじゃねえし。あっ大神、まさかテニス部だからって自由時間はトレーニングしろとか言わねえよな?」
「あァ」大神の口角があがる。
「当たり前だろ。テニス部以前に学生だぜ、本分の勉強が優先に決まってる」
「じゃあ朝の五時起きでランニングとかもやめよーぜェ! オレぜったい日中寝るから!」
「バーカ。いつもテニスに当てる放課後時間がねえんだから、そのくらいやれ」
と、姫川の肩を小突く大神。
それを聞いた杏奈はおもわず「エーッ」といつもの元気な調子で口をおさえた。
「テニス部、修旅でもトレーニングするの?!」
「そうなんだよッ。なんとか言ってくれよ諸星」
「あ、でもつぎの大会──関東だっけ。近いんだよね。じゃあまあ、しょうがないのか」
「エーッ」
「そうだ。しょうがねえんだよ、諦めな」
クックッと肩を揺らす大神に、杏奈は内心でホッとした。学園内で囁かれるうわさによって勝手に創り上げたイメージよりも、ずっと話しやすいことが分かったからである。
倉持はうれしそうに頷き、再度杏奈に目を向ける。
「聞いたとおりキツいトレーニングやれって言ってるわけじゃねえし、暇ならまわろうぜ」
「テニス部がいいなら、あたしは全然いいしっ」
杏奈は満面の笑みを浮かべた。
その後は、味楽が混みはじめる時間ギリギリまで自由行動日程をつくりあげた。大神は場所を占領して営業妨害をしてしまったからと全員分の飲食代に上乗せして支払いをし、日暮れの早まった空の下、全員が、大神家からの迎車──リムジンである──によって家まで送り届けられることとなった。
場末のラーメン屋前からゆっくりと走り去る、皇帝メルセデス・ベンツのマイバッハを見送った伊織と大将は、ゆっくりと顔を見合わせる。
「伊織。いい友達できて、良かったな」
「それ具体的にだれのこと言うてる?」
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「俺もだよ──」
修学旅行は、あっという間にやってきた。
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