84 / 104
第五章
83話 まさかの観客
しおりを挟む
三月二十四日、全国大会準々決勝──。
団体戦は全体で四対戦、一団体戦五試合のため全体での開催は二十試合となる。才徳学園対飛天金剛戦は一番から五番コートで同時におこなわれる。周囲を取り囲む観客席には、朝の九時という時間にもかかわらずパラパラと一般観衆のすがたが見えた。
伊織はそのなかに、なつかしい顔を見た。
「神村センセーやッ」
叫ぶや、観客席に駆ける。
近寄って見るとB組の担任である神村どころか、諸星杏奈や大神ファンクラブ、校長や他生徒のすがたもちらほらと見受けられる。伊織が声をかけると彼らはパッとうれしそうに顔をほころばせた。
「おお、七浦。アッという間の準々決勝だってなあ、天谷先生から聞いてるぞ」
「先生たち来てくれはったん? 杏奈も、ふゆ子ちゃんも!」
「きのう修了式が終わったからね。先生が全国応援行くぞって前から声をかけてくれてたの。アンタたちにはサプライズにしようってことで、黙ってたんだけど」
「最後の全国ですもの。いつもは陰ながらでしたけれど──今日は大神くんの見えるところで全力で応援させていただこうとおもって」
「えーめっちゃ嬉しいやん! みんなも、神村センセも、ありがとう」
「修学旅行で約束したからな。いまから大阪代表なんだって?」
「せや。えらい強い学校やけど──みんななら大丈夫」
伊織の視線が選手たちに注がれる。
控え選手である天城も、出来ることをやろうと出場選手のサポートに全力を尽くしている。姫川と星丸はいつも通りにじゃれ合い、杉山と明前はボードを使用してのゲームメイクを相談し、蜂谷、倉持は靴紐を結びなおしたりグッと伸びをしたり。
──大神は、ひとりコートをじっと見つめたまま動かない。
才徳学園として全国大会の準々決勝まであがってきた。彼がこの学校に入学した際に約束した『才徳の全国制覇』へのゴールは、もはや手の届く場所にある。傍から見ればここから才徳はひじょうに厳しい闘いが続くことになろうが、しかし大神の背中は凛と伸びて揺るがない。
「……大神」
伊織がつぶやく。
才徳陣から観客席まではかなりの距離なので、到底届くはずもない声だったはずだが、ふと大神がこちらを向いた。遠目ながらに伊織と目が合う。彼はこれまでにないほど柔らかく微笑んだ。
うしろでふゆ子がきゃあと興奮する。
大神へ、大きく手を振る神村と杏奈のとなりでは、校長がすでに涙を瞳に浮かべて「たのむぞ」とハンカチを握りしめる。
「大神ァー!」
伊織が観客席から身を乗り出して、さけんだ。
「負けんといてやーッ」
それにつられ、才徳応援の観客もワッと手を振る。
その声に大神だけでなくこれから試合を控えるレギュラーたちもこちらに気がついた。みな、嬉しそうに手を振り返した。そのなかで大神はふたたびコートへ視線を移す。まもなく試合開始の時間がくる。
午前九時十五分、準々決勝才徳学園対飛天金剛学院高校の五試合がスタートする。
※
こっちです、と。
声がして複数人の足音が聞こえる。コートでサービス練習がおこなわれるなか到着したのは、なんと松澤工業高校の馬場園、国見、長峰と青峰学院高校の水沢、犬塚だった。なぜ彼らが福岡に──と伊織がおどろいたのもつかの間、チラチラと背後を気にする彼らの視線につられてうしろを見ると、スーツケースを引きずる如月蓮十郎と息子千秋のすがたがある。
どうやら朝の飛行機で飛んできて、福岡空港から直行でやってきたらしい。
「お、おとんも千秋も──こんなとこでなにやっとんねんッ」
伊織がさけぶ。
同時にその場がどよめいた。
さすがの元プロテニスプレイヤー、その顔は各校のテニス選手にはもちろん、テニスに明るくない生徒たちにも知られていたようである。とくに杏奈やふゆ子などは伊織の父親であることも初耳だったようで「伊織のお父さんって如月プロだったの」とあんぐり口をひらくほど。
一方の担任神村は、
「如月さん。どうもお久しぶりです」
パッとあかるくわらった。
蓮十郎も「おお」と手を挙げる。
「伊織の入学申請のときぶりですか、その節はお世話になりました。そちらの──校長先生も」
「ああ、いやいや。こちらこそ七浦さんのご活躍は大変すばらしいもので、ええほんとうに」
「だってよ伊織。おまえすげえな」
「そらそうやわ。うちのこと誰やと思てんねん……て、せやのうて」
「それで、才徳の対戦相手はどこだって?」
蓮十郎はひょいと観客性から身を乗り出す。
伊織を押しのけるように千秋もそのとなりでコートを覗く。サービス練習をおこなう選手のユニフォームを見てすぐに「飛天金剛だ」と微笑んだ。
「きのう井龍からトーナメント表が送られてきたから見たけど、才徳学園ったらここから強豪ばかり待ち受けているみたいで笑っちゃったよ。くじ運がいいんだかわるいんだか」
「へえ。飛天金剛って今も強豪校なのか、俺の時代もそうだったけどやっぱり私立は強いな」
「ちょっと! なにまったりしとんねん。ふたりは桜爛のOBやろ、才徳陣営におらんであっちいったらええやんか」
と伊織はイヤな顔をした。
桜爛が試合をおこなうコートはここから少し離れている。千秋は面倒くさそうに首を振って杏奈のとなりの席へと腰かけた。さらにそのうしろでは、蓮十郎が荷物まで広げる始末。
「アイツら愛織の写真を飾って試合するとか言ってるんだもん。気持ちわるくない?」
「えっ」
バッグを漁る蓮十郎の手が止まった。
やがてバッグから取り出したのは愛織のスナップ写真。しかも三種類。父もちゃっかり愛娘を胸に抱いて試合観戦をおこなう予定だったようである。千秋と伊織は同時に眉をしかめた。
「やめえや──辛気臭くなるやん!」
「そうだよ。せめて一枚にして、マジで」
「一枚はええんかい」
「ああ、僕たちは家族だから。貸して」
と、なんだかんだ蓮十郎の手から写真を取り上げてちゃっかり自身の膝上で写真を眺める千秋に、伊織はあきらめたように首を振る。気を取り直してコートへ目を向けると、各々のサービス練習が終わっていままさにゲームが始まるところであった。
「ワンセットマッチ」
──トゥサーブプレイ!
各選手のサービスより、五試合が順次はじまった。
団体戦は全体で四対戦、一団体戦五試合のため全体での開催は二十試合となる。才徳学園対飛天金剛戦は一番から五番コートで同時におこなわれる。周囲を取り囲む観客席には、朝の九時という時間にもかかわらずパラパラと一般観衆のすがたが見えた。
伊織はそのなかに、なつかしい顔を見た。
「神村センセーやッ」
叫ぶや、観客席に駆ける。
近寄って見るとB組の担任である神村どころか、諸星杏奈や大神ファンクラブ、校長や他生徒のすがたもちらほらと見受けられる。伊織が声をかけると彼らはパッとうれしそうに顔をほころばせた。
「おお、七浦。アッという間の準々決勝だってなあ、天谷先生から聞いてるぞ」
「先生たち来てくれはったん? 杏奈も、ふゆ子ちゃんも!」
「きのう修了式が終わったからね。先生が全国応援行くぞって前から声をかけてくれてたの。アンタたちにはサプライズにしようってことで、黙ってたんだけど」
「最後の全国ですもの。いつもは陰ながらでしたけれど──今日は大神くんの見えるところで全力で応援させていただこうとおもって」
「えーめっちゃ嬉しいやん! みんなも、神村センセも、ありがとう」
「修学旅行で約束したからな。いまから大阪代表なんだって?」
「せや。えらい強い学校やけど──みんななら大丈夫」
伊織の視線が選手たちに注がれる。
控え選手である天城も、出来ることをやろうと出場選手のサポートに全力を尽くしている。姫川と星丸はいつも通りにじゃれ合い、杉山と明前はボードを使用してのゲームメイクを相談し、蜂谷、倉持は靴紐を結びなおしたりグッと伸びをしたり。
──大神は、ひとりコートをじっと見つめたまま動かない。
才徳学園として全国大会の準々決勝まであがってきた。彼がこの学校に入学した際に約束した『才徳の全国制覇』へのゴールは、もはや手の届く場所にある。傍から見ればここから才徳はひじょうに厳しい闘いが続くことになろうが、しかし大神の背中は凛と伸びて揺るがない。
「……大神」
伊織がつぶやく。
才徳陣から観客席まではかなりの距離なので、到底届くはずもない声だったはずだが、ふと大神がこちらを向いた。遠目ながらに伊織と目が合う。彼はこれまでにないほど柔らかく微笑んだ。
うしろでふゆ子がきゃあと興奮する。
大神へ、大きく手を振る神村と杏奈のとなりでは、校長がすでに涙を瞳に浮かべて「たのむぞ」とハンカチを握りしめる。
「大神ァー!」
伊織が観客席から身を乗り出して、さけんだ。
「負けんといてやーッ」
それにつられ、才徳応援の観客もワッと手を振る。
その声に大神だけでなくこれから試合を控えるレギュラーたちもこちらに気がついた。みな、嬉しそうに手を振り返した。そのなかで大神はふたたびコートへ視線を移す。まもなく試合開始の時間がくる。
午前九時十五分、準々決勝才徳学園対飛天金剛学院高校の五試合がスタートする。
※
こっちです、と。
声がして複数人の足音が聞こえる。コートでサービス練習がおこなわれるなか到着したのは、なんと松澤工業高校の馬場園、国見、長峰と青峰学院高校の水沢、犬塚だった。なぜ彼らが福岡に──と伊織がおどろいたのもつかの間、チラチラと背後を気にする彼らの視線につられてうしろを見ると、スーツケースを引きずる如月蓮十郎と息子千秋のすがたがある。
どうやら朝の飛行機で飛んできて、福岡空港から直行でやってきたらしい。
「お、おとんも千秋も──こんなとこでなにやっとんねんッ」
伊織がさけぶ。
同時にその場がどよめいた。
さすがの元プロテニスプレイヤー、その顔は各校のテニス選手にはもちろん、テニスに明るくない生徒たちにも知られていたようである。とくに杏奈やふゆ子などは伊織の父親であることも初耳だったようで「伊織のお父さんって如月プロだったの」とあんぐり口をひらくほど。
一方の担任神村は、
「如月さん。どうもお久しぶりです」
パッとあかるくわらった。
蓮十郎も「おお」と手を挙げる。
「伊織の入学申請のときぶりですか、その節はお世話になりました。そちらの──校長先生も」
「ああ、いやいや。こちらこそ七浦さんのご活躍は大変すばらしいもので、ええほんとうに」
「だってよ伊織。おまえすげえな」
「そらそうやわ。うちのこと誰やと思てんねん……て、せやのうて」
「それで、才徳の対戦相手はどこだって?」
蓮十郎はひょいと観客性から身を乗り出す。
伊織を押しのけるように千秋もそのとなりでコートを覗く。サービス練習をおこなう選手のユニフォームを見てすぐに「飛天金剛だ」と微笑んだ。
「きのう井龍からトーナメント表が送られてきたから見たけど、才徳学園ったらここから強豪ばかり待ち受けているみたいで笑っちゃったよ。くじ運がいいんだかわるいんだか」
「へえ。飛天金剛って今も強豪校なのか、俺の時代もそうだったけどやっぱり私立は強いな」
「ちょっと! なにまったりしとんねん。ふたりは桜爛のOBやろ、才徳陣営におらんであっちいったらええやんか」
と伊織はイヤな顔をした。
桜爛が試合をおこなうコートはここから少し離れている。千秋は面倒くさそうに首を振って杏奈のとなりの席へと腰かけた。さらにそのうしろでは、蓮十郎が荷物まで広げる始末。
「アイツら愛織の写真を飾って試合するとか言ってるんだもん。気持ちわるくない?」
「えっ」
バッグを漁る蓮十郎の手が止まった。
やがてバッグから取り出したのは愛織のスナップ写真。しかも三種類。父もちゃっかり愛娘を胸に抱いて試合観戦をおこなう予定だったようである。千秋と伊織は同時に眉をしかめた。
「やめえや──辛気臭くなるやん!」
「そうだよ。せめて一枚にして、マジで」
「一枚はええんかい」
「ああ、僕たちは家族だから。貸して」
と、なんだかんだ蓮十郎の手から写真を取り上げてちゃっかり自身の膝上で写真を眺める千秋に、伊織はあきらめたように首を振る。気を取り直してコートへ目を向けると、各々のサービス練習が終わっていままさにゲームが始まるところであった。
「ワンセットマッチ」
──トゥサーブプレイ!
各選手のサービスより、五試合が順次はじまった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
みんなの女神サマは最強ヤンキーに甘く壊される
けるたん
青春
「ほんと胸がニセモノで良かったな。貧乳バンザイ!」
「離して洋子! じゃなきゃあのバカの頭をかち割れないっ!」
「お、落ちついてメイちゃんっ!? そんなバットで殴ったら死んじゃう!? オオカミくんが死んじゃうよ!?」
県立森実高校には2人の美の「女神」がいる。
頭脳明晰、容姿端麗、誰に対しても優しい聖女のような性格に、誰もが憧れる生徒会長と、天は二物を与えずという言葉に真正面から喧嘩を売って完膚なきまでに完勝している完全無敵の双子姉妹。
その名も『古羊姉妹』
本来であれば彼女の視界にすら入らないはずの少年Bである大神士狼のようなロマンティックゲス野郎とは、縁もゆかりもない女の子のはずだった。
――士狼が彼女たちを不審者から助ける、その日までは。
そして『その日』は突然やってきた。
ある日、夜遊びで帰りが遅くなった士狼が急いで家へ帰ろうとすると、古羊姉妹がナイフを持った不審者に襲われている場面に遭遇したのだ。
助け出そうと駆け出すも、古羊姉妹の妹君である『古羊洋子』は助けることに成功したが、姉君であり『古羊芽衣』は不審者に胸元をザックリ斬りつけられてしまう。
何とか不審者を撃退し、急いで応急処置をしようと士狼は芽衣の身体を抱き上げた……その時だった!
――彼女の胸元から冗談みたいにバカデカい胸パッドが転げ落ちたのは。
そう、彼女は嘘で塗り固められた虚乳(きょにゅう)の持ち主だったのだ!
意識を取り戻した芽衣(Aカップ)は【乙女の秘密】を知られたことに発狂し、士狼を亡き者にするべく、その場で士狼に襲い掛かる。
士狼は洋子の協力もあり、何とか逃げることには成功するが翌日、芽衣の策略にハマり生徒会に強制入部させられる事に。
こうして古羊芽衣の無理難題を解決する大神士狼の受難の日々が始まった。
が、この時の古羊姉妹はまだ知らなかったのだ。
彼の蜂蜜のように甘い優しさが自分たち姉妹をどんどん狂わせていくことに。
※【カクヨム】にて編掲載中。【ネオページ】にて序盤のみお試し掲載中。【Nolaノベル】【Tales】にて完全版を公開中。
イラスト担当:さんさん
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる