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第五章
89話 よろこべ
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一番コートで歓声があがった。
対戦するは才徳大神と飛天金剛桜庭のS1試合。大神がサービスゲームを死守したことで才徳リードのゲームカウント5-4、大神のマッチゲームに差し掛かってのチェンジコートである。
まるで大砲だぜ、と姫川がつぶやいた。
試合を終えてすぐに続々とどこかへ行ってしまったチームメイトをよそに、健気にフェンス外からS1試合を応援する姫川、星丸、天城、伊織の四名がみな総じて青ざめた顔をするのには理由があった。
なんやねんアイツ、と伊織も身をすくめる。
「高校生でエッグボール打てるヤツなんて早々いてへんで」
「えっぐぼーる」星丸が首をかしげた。「ってなんスか?」
「さっきのショットのことや。高い打点から、身体の回転とスイングスピードを高めておもっきしぶっ放すと、さっきみたいに高い軌道を描くボールになんねん。あの軌道が卵型みたいに見えるから、エッグボールって名前がついとんの」
「た、卵の名前ついてるわりに怖すぎますね──ボール破裂したみたいな音がしてましたよ」
と天城もおのれの身体を抱くように腕を組んだ。
試合後半をむかえてから桜庭が出してきた強烈なスピンショット。速度も遅く山なりの軌道を描くムーンボールとは異なり、速いスピードかつバウンド後もコートぎりぎりまで高く大きく跳ねあがるため、非常に取りづらいショットである。
プロテニスプレイヤーが使用するショットとして有名であるが、高校生で会得する選手は多くない。伊織がこの数か月で見た限りは、あの大神もそのショットを出したことはないはずである。
つーかよお、と姫川が眉をしかめた。
「大神のヤツ、あれまったく取れてなかったじゃねーか。どうすんだよ次のゲームから──」
「そのわりにえらい楽しそうやけどな。つぎはコタローさんのサービスゲームやっちゅうのに」
伊織が目を細める。
視線の先には、爛々と瞳を輝かせて腰を落とすリターナーの大神がいる。彼は先ほど二度フォアハンドのスイングをした。まさか──と伊織はごくりと唾を呑み込む。
桜庭のトスがあがる。サーブ。
跳ねたボールを定めて面の中心に捉えた大神のリターンは深く飛んだ。ここからまたラリーがはじまる。まったく、ほかのどの試合よりも長いくせにゲームカウントがそれほどでもないのは、ひとつのポイントで非常に長いラリーの応酬が繰り広げられるからである。大神にとって、持久戦こそもっとも得意とする戦法。たしかに序盤のゲームに比べると桜庭のフットワークもすこし重くなってきたように感じる。
そのせいか──桜庭の打球がすこし浅くなってきた。
中盤まではベースライン際を攻め合うストロークであったのに、いまはサービスラインとベースラインの中間に落ちている。その隙を、大神が見逃すはずはない。
「ハァッ」
と、大神が息を吐いて放ったショット。
ボールが破裂せんばかりの音を立て、大きな弧を描き、鋭い速さで桜庭のコートをえぐるように落ちた。
「え、エッグボール!」
星丸がさけぶ。
あまりにも速いスピードで入ったショットに桜庭の足は届かず、ポイントは大神へ。
天城は身をふるわせた。
「お、大神部長──エッグボール打てたんですか!」
「なんてヤローだ」
「いや──ちゃうで」
伊織は指をさした。
示されたのはリターンの定位置に戻らんとする大神の顔。わずかに首をかしげてラケットのガットを直すその様は、まるでいまのショットに納得がいっていないよう。
真似したんや、と伊織は声をふるわせる。
「コタローさんのショットを真似したんや、アイツ。見よう見まねでやってみたんや」
「はあ?」
「あの時──柳葉の宮向サンとの試合でもそうやってん。あの時もやられたらそっくりそのままやり返して、ほんでポイントに繋げていったんよ」
「そんなの有りかよ!」
姫川が嘆いた。
しかし大神ならば、そうと言われてあり得ない話ではないと思えてしまう。とはいえ柳葉戦で見せたショットはあくまでコントロールの問題だった。このエッグボール、いくら体幹バランスの優れた大神とはいえ、練習もなしにいきなり出来るものか。
「んなわけねーだろう」
と。
その疑問に答えたのは、観客席からわざわざ降りてきた如月蓮十郎であった。
「おとん!」
「彼がそんな器用に見えるか? 練習したに決まってるだろ」
「なんでおとんがそないなこと知っとんねん」
「だって、関東のあとに言われたんだ俺。練習に付き合ってもらえねえかってさ」
「大神に?」
と、言ったのは四人のだれでもなく、頭を拭きながらもどってきた倉持慎也だった。彼は試合後クールダウンののち汗だくの顔を洗いに行くといって水道に立ち寄ったのだという。
「如月プロが、大神の練習に付き合ったってことですか」
倉持は焦ったように尋ねたが、おどろいたのはほかのチームメイトもおなじだった。なぜなら大神は毎日だれよりも遅くまで学校併設のトレーニングルームを使用し、スタミナ増強に努めていたのを知っていたからである。
それに加えて如月元プロとの練習など、いったいいつ行なっていたというのか──。
「トレーニングのあとの二時間くらいかな。基礎練からショット練まで、毎日うちに来てやってったよ。そのなかでエッグボールについても聞かれたから教えてやった。愛織のことでさんざん世話になったからな、礼くらいしねえととおもって」
「お、おとん~!」
伊織は満面の笑みを浮かべて、蓮十郎の首に抱き着いた。
およそ十年ぶりくらいの娘からの抱擁がよほどうれしいのか、蓮十郎はにんまりとわらって伊織を抱きとめる。
天城は感心したようにうなずいた。
「それでエッグボールを──」
「ああ。もちろんそれだけじゃねえけどな、でも彼はほんとうに努力家だよ。練習に付き合うこっちが疲れるくらいハードだったぜ」
「へえ。でも大神部長くらいの人なら、すぐに習得できそうなもんスけど──ちがうんですか?」
星丸がちらとコートへ目を向ける。
大神が二度目のエッグボールを放ち、ふたたびポイントをとったところだった。そのようすを眺めながら蓮十郎はゆるりと首を振った。
「器用だったらあんなに頑張れないよ。逆に、うちの千秋は器用でさあ。アイツはなんでもすぐに呑み込んじまってあっという間に伝説だなんだと言われるようになったけど、おかげで練習あんまり好きじゃねえもんなアイツ。大神くんは真逆のタイプだ」
「天然の天才と──作りあげた天才、か」
倉持がつぶやく。
そうだよ、と姫川はえらそうにうなずいた。
「大神は人一倍頑張ってんだ。おれたちには見せねえけどな」
「ま。その努力のおかげで」
蓮十郎の口角があがった。視線はコートに。
桜庭のボールがベースラインに落ちる。大神はすでに構えていた。ぐっと腰を落とした構えから素早いスイングスピードでラケットを振り抜く。直後、大神の三度目のエッグボールが決まった。
「ゲームセット ウォンバイ才徳 ゲームカウント7-5」
ワッ、と観客席が湧く。
才徳メンバーも一斉に立ち上がり、互いに抱き合い、飛び上がる。
蓮十郎は伊織にウインクをした。
「こうして着実に勝ちをもぎとってくれるんだからすげえよな」
「S1のプレッシャーなんか、ものともせえへんのやもんな。大神は。……」
伊織はちいさくほくそ笑む。
すると会場裏手の方向から複数人の駆けくる足音がした。
「ほらもうS1終わってもうてるやん! 大神、自分の試合見てもらえへんと拗ねるのにッ」
「譲さんが如月さんオタク発揮するから──」
「いいからはやく戻ろうぜ。……」
杉山、明前、蜂谷が濡れた髪を乱して、才徳陣営へ駆け戻ってくるところだった。その背後にはゆったりとした足取りで戻ってくる如月千秋のすがたも見える。
一連の挨拶を交わしたのち大神がコートの外へ。
出迎えた姫川、星丸、天城を見て大神は満足そうに微笑んだが、倉持、杉山、明前、蜂谷を見て片眉をあげた。
「おまえら、なんで揃いも揃って頭濡らしてんだ?」
「あ、いや……あははは」
「ふん。──まあいい」
よろこべ、と。
大神はいつもの余裕に満ちた笑みで手を広げた。
「勝ったぜ!」
──こうして全国大会準々決勝、才徳学園対飛天金剛学院の団体戦は3-2で才徳学園の勝利となった。
対戦するは才徳大神と飛天金剛桜庭のS1試合。大神がサービスゲームを死守したことで才徳リードのゲームカウント5-4、大神のマッチゲームに差し掛かってのチェンジコートである。
まるで大砲だぜ、と姫川がつぶやいた。
試合を終えてすぐに続々とどこかへ行ってしまったチームメイトをよそに、健気にフェンス外からS1試合を応援する姫川、星丸、天城、伊織の四名がみな総じて青ざめた顔をするのには理由があった。
なんやねんアイツ、と伊織も身をすくめる。
「高校生でエッグボール打てるヤツなんて早々いてへんで」
「えっぐぼーる」星丸が首をかしげた。「ってなんスか?」
「さっきのショットのことや。高い打点から、身体の回転とスイングスピードを高めておもっきしぶっ放すと、さっきみたいに高い軌道を描くボールになんねん。あの軌道が卵型みたいに見えるから、エッグボールって名前がついとんの」
「た、卵の名前ついてるわりに怖すぎますね──ボール破裂したみたいな音がしてましたよ」
と天城もおのれの身体を抱くように腕を組んだ。
試合後半をむかえてから桜庭が出してきた強烈なスピンショット。速度も遅く山なりの軌道を描くムーンボールとは異なり、速いスピードかつバウンド後もコートぎりぎりまで高く大きく跳ねあがるため、非常に取りづらいショットである。
プロテニスプレイヤーが使用するショットとして有名であるが、高校生で会得する選手は多くない。伊織がこの数か月で見た限りは、あの大神もそのショットを出したことはないはずである。
つーかよお、と姫川が眉をしかめた。
「大神のヤツ、あれまったく取れてなかったじゃねーか。どうすんだよ次のゲームから──」
「そのわりにえらい楽しそうやけどな。つぎはコタローさんのサービスゲームやっちゅうのに」
伊織が目を細める。
視線の先には、爛々と瞳を輝かせて腰を落とすリターナーの大神がいる。彼は先ほど二度フォアハンドのスイングをした。まさか──と伊織はごくりと唾を呑み込む。
桜庭のトスがあがる。サーブ。
跳ねたボールを定めて面の中心に捉えた大神のリターンは深く飛んだ。ここからまたラリーがはじまる。まったく、ほかのどの試合よりも長いくせにゲームカウントがそれほどでもないのは、ひとつのポイントで非常に長いラリーの応酬が繰り広げられるからである。大神にとって、持久戦こそもっとも得意とする戦法。たしかに序盤のゲームに比べると桜庭のフットワークもすこし重くなってきたように感じる。
そのせいか──桜庭の打球がすこし浅くなってきた。
中盤まではベースライン際を攻め合うストロークであったのに、いまはサービスラインとベースラインの中間に落ちている。その隙を、大神が見逃すはずはない。
「ハァッ」
と、大神が息を吐いて放ったショット。
ボールが破裂せんばかりの音を立て、大きな弧を描き、鋭い速さで桜庭のコートをえぐるように落ちた。
「え、エッグボール!」
星丸がさけぶ。
あまりにも速いスピードで入ったショットに桜庭の足は届かず、ポイントは大神へ。
天城は身をふるわせた。
「お、大神部長──エッグボール打てたんですか!」
「なんてヤローだ」
「いや──ちゃうで」
伊織は指をさした。
示されたのはリターンの定位置に戻らんとする大神の顔。わずかに首をかしげてラケットのガットを直すその様は、まるでいまのショットに納得がいっていないよう。
真似したんや、と伊織は声をふるわせる。
「コタローさんのショットを真似したんや、アイツ。見よう見まねでやってみたんや」
「はあ?」
「あの時──柳葉の宮向サンとの試合でもそうやってん。あの時もやられたらそっくりそのままやり返して、ほんでポイントに繋げていったんよ」
「そんなの有りかよ!」
姫川が嘆いた。
しかし大神ならば、そうと言われてあり得ない話ではないと思えてしまう。とはいえ柳葉戦で見せたショットはあくまでコントロールの問題だった。このエッグボール、いくら体幹バランスの優れた大神とはいえ、練習もなしにいきなり出来るものか。
「んなわけねーだろう」
と。
その疑問に答えたのは、観客席からわざわざ降りてきた如月蓮十郎であった。
「おとん!」
「彼がそんな器用に見えるか? 練習したに決まってるだろ」
「なんでおとんがそないなこと知っとんねん」
「だって、関東のあとに言われたんだ俺。練習に付き合ってもらえねえかってさ」
「大神に?」
と、言ったのは四人のだれでもなく、頭を拭きながらもどってきた倉持慎也だった。彼は試合後クールダウンののち汗だくの顔を洗いに行くといって水道に立ち寄ったのだという。
「如月プロが、大神の練習に付き合ったってことですか」
倉持は焦ったように尋ねたが、おどろいたのはほかのチームメイトもおなじだった。なぜなら大神は毎日だれよりも遅くまで学校併設のトレーニングルームを使用し、スタミナ増強に努めていたのを知っていたからである。
それに加えて如月元プロとの練習など、いったいいつ行なっていたというのか──。
「トレーニングのあとの二時間くらいかな。基礎練からショット練まで、毎日うちに来てやってったよ。そのなかでエッグボールについても聞かれたから教えてやった。愛織のことでさんざん世話になったからな、礼くらいしねえととおもって」
「お、おとん~!」
伊織は満面の笑みを浮かべて、蓮十郎の首に抱き着いた。
およそ十年ぶりくらいの娘からの抱擁がよほどうれしいのか、蓮十郎はにんまりとわらって伊織を抱きとめる。
天城は感心したようにうなずいた。
「それでエッグボールを──」
「ああ。もちろんそれだけじゃねえけどな、でも彼はほんとうに努力家だよ。練習に付き合うこっちが疲れるくらいハードだったぜ」
「へえ。でも大神部長くらいの人なら、すぐに習得できそうなもんスけど──ちがうんですか?」
星丸がちらとコートへ目を向ける。
大神が二度目のエッグボールを放ち、ふたたびポイントをとったところだった。そのようすを眺めながら蓮十郎はゆるりと首を振った。
「器用だったらあんなに頑張れないよ。逆に、うちの千秋は器用でさあ。アイツはなんでもすぐに呑み込んじまってあっという間に伝説だなんだと言われるようになったけど、おかげで練習あんまり好きじゃねえもんなアイツ。大神くんは真逆のタイプだ」
「天然の天才と──作りあげた天才、か」
倉持がつぶやく。
そうだよ、と姫川はえらそうにうなずいた。
「大神は人一倍頑張ってんだ。おれたちには見せねえけどな」
「ま。その努力のおかげで」
蓮十郎の口角があがった。視線はコートに。
桜庭のボールがベースラインに落ちる。大神はすでに構えていた。ぐっと腰を落とした構えから素早いスイングスピードでラケットを振り抜く。直後、大神の三度目のエッグボールが決まった。
「ゲームセット ウォンバイ才徳 ゲームカウント7-5」
ワッ、と観客席が湧く。
才徳メンバーも一斉に立ち上がり、互いに抱き合い、飛び上がる。
蓮十郎は伊織にウインクをした。
「こうして着実に勝ちをもぎとってくれるんだからすげえよな」
「S1のプレッシャーなんか、ものともせえへんのやもんな。大神は。……」
伊織はちいさくほくそ笑む。
すると会場裏手の方向から複数人の駆けくる足音がした。
「ほらもうS1終わってもうてるやん! 大神、自分の試合見てもらえへんと拗ねるのにッ」
「譲さんが如月さんオタク発揮するから──」
「いいからはやく戻ろうぜ。……」
杉山、明前、蜂谷が濡れた髪を乱して、才徳陣営へ駆け戻ってくるところだった。その背後にはゆったりとした足取りで戻ってくる如月千秋のすがたも見える。
一連の挨拶を交わしたのち大神がコートの外へ。
出迎えた姫川、星丸、天城を見て大神は満足そうに微笑んだが、倉持、杉山、明前、蜂谷を見て片眉をあげた。
「おまえら、なんで揃いも揃って頭濡らしてんだ?」
「あ、いや……あははは」
「ふん。──まあいい」
よろこべ、と。
大神はいつもの余裕に満ちた笑みで手を広げた。
「勝ったぜ!」
──こうして全国大会準々決勝、才徳学園対飛天金剛学院の団体戦は3-2で才徳学園の勝利となった。
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