12 / 30
本編
助けてみました。
しおりを挟む
保健室に着くと、保健医の先生は私とリリアーナの姿に驚いたようだったが、何か事情を察してくれたのだろう、こちらから何も言わずとも席を外してくれた。
「私は職員室にいるから、終わったら声をかけてね」
そう言って保健室を後にしていく先生を見送ると、私はリリアーナをベッドに下ろしてあげる。
「あ、あの、ありがとうございました・・・」
顔を真っ赤にして俯いたままリリアーナは搾り出すようにお礼を口にした。
・・・何、この可愛いイキモノ。
思わず頭をグリグリ撫でまわしたくなるのを、ぐっと堪えて、乱れた髪を整えるように優しく撫でてあげる。
「気にしなくていいのよ。それにあのままじゃ、貴女あそこから動けなかったでしょう?」
私の言葉にこくん、とリリアーナは頷いた。
・・・可愛いなぁ。
これでヒロインじゃなかったら篭絡してでも友達になるんだけど・・・。
それとも、危険覚悟でなってしまおうかしら?
どうやら、噂の様に殿下たちにちやほやされて喜んでいるわけでもなさそうだし・・・。
何より、今のところレティーナはハイドライドの婚約者にはなっていないし、このままいけばなることもないだろう。
ならば、ここがゲームと同じ世界なのか、似て異なる世界なのかはともかく、あの記憶のようなことにはならないのではないか、と思えた。
だったら、この子、愛でていいかなぁ…
私、こういうちっちゃくて可愛い子好きなのよねぇ…。
「あ、あの、…?」
そんなことを考えながら、撫で撫でしていたら当のリリアーナに困ったような視線を向けられてしまった。
いけない。
つい、撫ですぎた!
「あ、ごめんなさいね」
とりあえず、リリアーナの頭を撫でるのをやめて謝っておく。
「レティ様、もって参りましたよ」
軽いノックと共にそう言って入ってきたのは保健室へ向かう途中で別れたプリシア。
その手にはそこそこの大きさの荷物がある。
「ありがとう、シア。助かったわ。さすがに、私のじゃ丈が合わないから」
「私のでもネリウム様には丈が長いとは思いますけど…。取りあえずは着ていただいて、この場で裾上げだけしてしまいましょう。レティ様も手伝ってくださるでしょう?」
二人の元へきて、手に持っているものを差し出しながらプリシアはレティーナに確認するように問う。
「もちろんよ。二人でやった方が早いもの」
「え?あの…?」
二人の会話についていけてないリリアーナが不安そうな、問うような視線を向け二人の顔を見上げてくる。
そんな、リリアーナにプリシアは微苦笑を浮かべて手に持っていたものを差し出した。
「私のお古で申し訳ないけれど、とりあえず制服の替えが必要ではなくて?」
「私のでも良いんだけど、ネリウム様は小柄でらっしゃるからサイズが合わないでしょう?だから、シアに彼女が以前着ていたのを持ってきてもらったの」
「そ、そんな❗先程だって助けて頂いたのにこれ以上ご迷惑かけられません❗」
「でも、そのままでは困るでしょう?」
「私もレティ様も迷惑だなんて思ってませんわ。それに、これはもうサイズが合わなくて着れませんの。だから、貴女にもらってもらった方が助かりますし」
驚きと共に固辞するリリアーナにプリシアは押し付けるようにそれを渡すとベッドをカーテンで囲ってしまった。
きっと、中ではリリアーナが困った表情をしているのだろうけれど、そんなプリシアの様子にレティーナは声を殺して、小さく笑った。
「シアもそう言ってるから、その制服に着替えてくれる?丈が合わないようなら簡単に直すから」
「私は職員室にいるから、終わったら声をかけてね」
そう言って保健室を後にしていく先生を見送ると、私はリリアーナをベッドに下ろしてあげる。
「あ、あの、ありがとうございました・・・」
顔を真っ赤にして俯いたままリリアーナは搾り出すようにお礼を口にした。
・・・何、この可愛いイキモノ。
思わず頭をグリグリ撫でまわしたくなるのを、ぐっと堪えて、乱れた髪を整えるように優しく撫でてあげる。
「気にしなくていいのよ。それにあのままじゃ、貴女あそこから動けなかったでしょう?」
私の言葉にこくん、とリリアーナは頷いた。
・・・可愛いなぁ。
これでヒロインじゃなかったら篭絡してでも友達になるんだけど・・・。
それとも、危険覚悟でなってしまおうかしら?
どうやら、噂の様に殿下たちにちやほやされて喜んでいるわけでもなさそうだし・・・。
何より、今のところレティーナはハイドライドの婚約者にはなっていないし、このままいけばなることもないだろう。
ならば、ここがゲームと同じ世界なのか、似て異なる世界なのかはともかく、あの記憶のようなことにはならないのではないか、と思えた。
だったら、この子、愛でていいかなぁ…
私、こういうちっちゃくて可愛い子好きなのよねぇ…。
「あ、あの、…?」
そんなことを考えながら、撫で撫でしていたら当のリリアーナに困ったような視線を向けられてしまった。
いけない。
つい、撫ですぎた!
「あ、ごめんなさいね」
とりあえず、リリアーナの頭を撫でるのをやめて謝っておく。
「レティ様、もって参りましたよ」
軽いノックと共にそう言って入ってきたのは保健室へ向かう途中で別れたプリシア。
その手にはそこそこの大きさの荷物がある。
「ありがとう、シア。助かったわ。さすがに、私のじゃ丈が合わないから」
「私のでもネリウム様には丈が長いとは思いますけど…。取りあえずは着ていただいて、この場で裾上げだけしてしまいましょう。レティ様も手伝ってくださるでしょう?」
二人の元へきて、手に持っているものを差し出しながらプリシアはレティーナに確認するように問う。
「もちろんよ。二人でやった方が早いもの」
「え?あの…?」
二人の会話についていけてないリリアーナが不安そうな、問うような視線を向け二人の顔を見上げてくる。
そんな、リリアーナにプリシアは微苦笑を浮かべて手に持っていたものを差し出した。
「私のお古で申し訳ないけれど、とりあえず制服の替えが必要ではなくて?」
「私のでも良いんだけど、ネリウム様は小柄でらっしゃるからサイズが合わないでしょう?だから、シアに彼女が以前着ていたのを持ってきてもらったの」
「そ、そんな❗先程だって助けて頂いたのにこれ以上ご迷惑かけられません❗」
「でも、そのままでは困るでしょう?」
「私もレティ様も迷惑だなんて思ってませんわ。それに、これはもうサイズが合わなくて着れませんの。だから、貴女にもらってもらった方が助かりますし」
驚きと共に固辞するリリアーナにプリシアは押し付けるようにそれを渡すとベッドをカーテンで囲ってしまった。
きっと、中ではリリアーナが困った表情をしているのだろうけれど、そんなプリシアの様子にレティーナは声を殺して、小さく笑った。
「シアもそう言ってるから、その制服に着替えてくれる?丈が合わないようなら簡単に直すから」
0
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!
kana
恋愛
前世を思い出したのは階段からの落下中。
絶体絶命のピンチも自力で乗り切ったアリシア。
ここはゲームの世界なのか、ただの転生なのかも分からない。
前世を思い出したことで変わったのは性格だけ。
チートともないけど前向きな性格で我が道を行くアリシア。
そんな時ヒロイン?登場でピンチに・・・
ユルい設定になっています。
作者の力不足はお許しください。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる