30 / 30
SS
まさか、ね?
しおりを挟む
先日、仲の良いメンバーでのお茶会を終えてから、レティーナはずっと気になっていたことが、あった。
それは、リリアーナが『ギャップ萌え』と言い、そのあとに、『萌え』について熱弁したことだ。
他のメンバーの反応からも、この世界に『萌え』はもちろん、『ギャップ萌え』という言葉も存在していないことは明らかだった。
では、なぜリリアーナがその言葉を知っていたのか…。
考えられる答えは、レティーナと同じ転生者ということだけ。
と、言うことで、今日はリリアーナだけを呼んで二人だけのお茶会をすることにした。
目の前にはどこか落ち着かない様子のリリアーナ。人払いをしている為、侍女たちも今はいない。
レティーナは手ずから入れた紅茶をリリアーナの前に差し出すと、自分も彼女の前に腰を落ち着けた。
「…ねぇ、リリィ。なんで、貴女、『萌え』なんて言葉を知っているの?」
「…レティ様も知っていらっしゃったの?」
レティーナの質問に首をかしげつつリリアーナが質問を返した。
「ええ。でも、この国にはあんな言葉無いでしょう?どこで知りましたの?」
リリアーナの言葉に首肯し、再度問うレティーナを前に、彼女は小さな声で「やっぱり、同類?」「と、言うより、たぶんそうだよね?」「違うかな?」と一人で小さく呟きながら何やら悩んでいるようだった。
「リリィ?」
そんなリリアーナの様子にレティーナは心配そうに声をかける。
やっぱり、違ったのかしら?それとも、自分の世界入り込んでるだけかしらね?
まだ、何やらぶつぶつと呟いているリリアーナに嘆息してレティーナは自分の紅茶に口をつける。
用意しておいたお菓子を口に運び、リリアーナがこちらの世界戻ってくることを待つことにする。
「あのね、変な奴とか思わないでくださいね?」
しばらくして、意を決した表情でリリアーナは口を開いた。それにレティーナが頷き、先を促す。
「実は私、前世?の記憶があるんです…」
そこからは、テンプレ的な感じでどう記憶を取り戻したか、とか、リリアーナの前世の世界でのゲームとこの世界が同じようだと気付いた時の事などを彼女は語った。
「そういえば、前世ではなんで亡くなったの?」
「え?あ、交通事故です。」
言うの忘れてた、と言った感じでリリアーナは答えた。
「姉のところに遊びに行ったときに、暴走車が歩道に突っ込んできたみたいで」
リリアーナの言葉に、レティーナはんん?っと思う。
確か私の死因も交通事故なのよね…。それも同じように暴走車が突っ込んできたことによる事故で、だ。
前々から話してる時に既視感みたいのはあったし、攻略対象を選ばないどころか年上の強面騎士を口説き落としたり、と好みの男性の趣味から、まさか、なぁ、とは思っていたのだが…。
これは、もしかすると、もしかするのかもしれない。
「その時、お姉さんも一緒だったの?」
「はい。どうやら姉は私のことを庇ってくれたようなんですが、結局二人とも亡くなってしまったみたいです」
ここまで一致するのならやはり、もしかするのかもしれない。
レティーナは意を決して記憶の奥底に眠っている、今はもう呼ぶことのなくなった名前を口にした。
「…○○?」
「も、もしかしてお姉ちゃん!?」
驚きに目を見開き叫んだリリアーナの表情がくしゃりと歪んだ。
レティーナはそんなリリアーナの側に行くと、そっと彼女を抱き寄せてやる。抱きつき嗚咽を上げるリリアーナに妹はやっぱり妹だな、と、久しぶりの邂逅に想いを馳せながら、レティーナは彼女が泣き止むまでその背を撫でてあげるのだった。
************************************************************************************
ベタに実は姉妹だった、オチ。
ベタ過ぎてすみません…<m(__)m>
それは、リリアーナが『ギャップ萌え』と言い、そのあとに、『萌え』について熱弁したことだ。
他のメンバーの反応からも、この世界に『萌え』はもちろん、『ギャップ萌え』という言葉も存在していないことは明らかだった。
では、なぜリリアーナがその言葉を知っていたのか…。
考えられる答えは、レティーナと同じ転生者ということだけ。
と、言うことで、今日はリリアーナだけを呼んで二人だけのお茶会をすることにした。
目の前にはどこか落ち着かない様子のリリアーナ。人払いをしている為、侍女たちも今はいない。
レティーナは手ずから入れた紅茶をリリアーナの前に差し出すと、自分も彼女の前に腰を落ち着けた。
「…ねぇ、リリィ。なんで、貴女、『萌え』なんて言葉を知っているの?」
「…レティ様も知っていらっしゃったの?」
レティーナの質問に首をかしげつつリリアーナが質問を返した。
「ええ。でも、この国にはあんな言葉無いでしょう?どこで知りましたの?」
リリアーナの言葉に首肯し、再度問うレティーナを前に、彼女は小さな声で「やっぱり、同類?」「と、言うより、たぶんそうだよね?」「違うかな?」と一人で小さく呟きながら何やら悩んでいるようだった。
「リリィ?」
そんなリリアーナの様子にレティーナは心配そうに声をかける。
やっぱり、違ったのかしら?それとも、自分の世界入り込んでるだけかしらね?
まだ、何やらぶつぶつと呟いているリリアーナに嘆息してレティーナは自分の紅茶に口をつける。
用意しておいたお菓子を口に運び、リリアーナがこちらの世界戻ってくることを待つことにする。
「あのね、変な奴とか思わないでくださいね?」
しばらくして、意を決した表情でリリアーナは口を開いた。それにレティーナが頷き、先を促す。
「実は私、前世?の記憶があるんです…」
そこからは、テンプレ的な感じでどう記憶を取り戻したか、とか、リリアーナの前世の世界でのゲームとこの世界が同じようだと気付いた時の事などを彼女は語った。
「そういえば、前世ではなんで亡くなったの?」
「え?あ、交通事故です。」
言うの忘れてた、と言った感じでリリアーナは答えた。
「姉のところに遊びに行ったときに、暴走車が歩道に突っ込んできたみたいで」
リリアーナの言葉に、レティーナはんん?っと思う。
確か私の死因も交通事故なのよね…。それも同じように暴走車が突っ込んできたことによる事故で、だ。
前々から話してる時に既視感みたいのはあったし、攻略対象を選ばないどころか年上の強面騎士を口説き落としたり、と好みの男性の趣味から、まさか、なぁ、とは思っていたのだが…。
これは、もしかすると、もしかするのかもしれない。
「その時、お姉さんも一緒だったの?」
「はい。どうやら姉は私のことを庇ってくれたようなんですが、結局二人とも亡くなってしまったみたいです」
ここまで一致するのならやはり、もしかするのかもしれない。
レティーナは意を決して記憶の奥底に眠っている、今はもう呼ぶことのなくなった名前を口にした。
「…○○?」
「も、もしかしてお姉ちゃん!?」
驚きに目を見開き叫んだリリアーナの表情がくしゃりと歪んだ。
レティーナはそんなリリアーナの側に行くと、そっと彼女を抱き寄せてやる。抱きつき嗚咽を上げるリリアーナに妹はやっぱり妹だな、と、久しぶりの邂逅に想いを馳せながら、レティーナは彼女が泣き止むまでその背を撫でてあげるのだった。
************************************************************************************
ベタに実は姉妹だった、オチ。
ベタ過ぎてすみません…<m(__)m>
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(12件)
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!
志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」
皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。
そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?
『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!
【完結】前世の記憶があっても役に立たないんですが!
kana
恋愛
前世を思い出したのは階段からの落下中。
絶体絶命のピンチも自力で乗り切ったアリシア。
ここはゲームの世界なのか、ただの転生なのかも分からない。
前世を思い出したことで変わったのは性格だけ。
チートともないけど前向きな性格で我が道を行くアリシア。
そんな時ヒロイン?登場でピンチに・・・
ユルい設定になっています。
作者の力不足はお許しください。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
大分前の作品とは思いますが
学園での日常が面白くもっともっと読んでいたかったというのが正直な感想です
キャラ同士の絡みがとてもうまいなと思いました
唐突に誘拐されてあっけなく解決してしまったので
乙女ゲームの設定やヒロインがどうなったか、
目の色の変化についてなどの設定が生かされず
あれ、ここで終わってしまうのか…とちょっと残念でした
ああ、この作品のヒロインちゃんは電波じゃなかったか。別作品と混ざってました(´・ω・`;A) アセアセ
姉妹でした展開は王道でいいと思うのですが、今まで姉と知らずにやらかしてた妹が罪悪感で潰れないと良いですね(・ω・)