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新人魔導師、2回目の発掘調査に参加する
6月12日、水晶とお守り
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美織の占いの館を訪れてから1週間が経ったある日。天音は由紀奈に郵便の受け取りを教えがてら郵便受けを覗いていた。
「あ、何かきてるね」
「これを届ければいいんだよね……えっと、先生宛?」
「その前に魔力を流してみて。本当の宛先がわかるから」
「あ、そっか」
事前に説明はしていたが、いざ実践となると忘れてしまったらしい。由紀奈は魔力を流し始めた。
「そんなに多くなくていいよ。ほら、もう出てきた。誰宛か読めるでしょ?」
「あ……ええと、第5研究所の、皆さま? 高木美織って人から……誰だろう」
「ここの元研究員の占い師さんだよ。この間、お守りを作るって言ってたから、それを送ってきてくれたんじゃないかな。ひとまず副所長に渡しに行こうか」
「う、うん……」
全員分と言っていたせいか、封筒はずっしりと重い。由紀奈は緊張した面持ちで封筒を抱え、地下5階へと向かう。
「あれ、郵便ですか?」
同じく地下に向かおうとしていた透と遭遇した。魔導衣が絡んでいないので穏やかな様子の彼は、地下への鍵である本を1冊抜いて、扉を開けてくれた。やはり、普段は真面な紳士である。
「はい、高木さんからです」
「ああ、なるほど」
美織からの手紙はよくあることらしい。透は驚くことなく頷いた。
「懐かしいですね、あの人が配属された日のこと。双子の後、2ヶ月くらいしたころでした」
「怪我とかで引退ですか……?」
事情を知らない由紀奈が心配そうに言った。事実を知っている天音は笑いをこらえる。
「いえ、副所長を視た瞬間、『無理だわ』と言って退職されました」
「無理とは……?」
「魔導探知が得意なんですよ、美織さんは。副所長を視て、自分の実力ではついていけないと判断したんでしょう。我が研究所の転属及び退職の最短記録保持者ですよ」
「1分でしたっけ」
「正確に計ってはいませんが、それくらいかと。あ、僕はここで」
地下1階のラボに向かう透とは途中で別れ、2人は地下5階へ下っていく。地下深くまで作られている研究所の階段はなかなかに長い。以前なら辛かった階段だが、体力のついてきた今ではさくさく進むことができる。
「よぉ、2人してどうした?」
夏希は執務室で事務仕事をしていた。つまらなそうに書類の束を片付けている最中だった彼女は、嬉々としてペンを置いた。
「高木さんから、お守りが届いたみたいです」
「早ぇな、アイツ。2人ともお疲れさん」
封筒を受け取った夏希は、そっとそれを開いた。手紙に目を通し、その後、中のお守りを見る。1つずつよけていき、その中の2つを差し出した。
「紫水晶のが天音、煙水晶のが由紀奈のな」
今回のお守りは、三日月のような形をしていた。中心に水晶が埋め込まれている。礼を言って、早速身に着ける天音とは対照的に、由紀奈はどうしてよいかわからないといった顔でお守りのペンダントを握っている。
「高木さんの固有魔導は、人の運気を操れるんだって。その力が込められた水晶がついたお守りだから、すごい効力だよ。私、そのおかげで助かったんだから」
「そ、そうなんだ……すごいね」
由紀奈は壊さないよう、慎重にペンダントを摘まんで首にかけた。邪魔にならないよう、魔導衣の中に仕舞いこんでいる。
机の上には、残りの人数分のペンダントが置かれていた。
「ちょうどいい、届けてきてくれねぇか」
「え、でも、どれが誰のかわからないですよ」
「天音は魔力の色が見えるだろ。それと似たような色の水晶がついたヤツを渡せばいい」
「わ、わかりました」
透明な水晶は夏希のものだろう。それを抜いた計8個のペンダントを持って、2人はまず地下6階へと下がった。
「どうしよう、私、匂いでわかるタイプだから力になれない……」
「じゃあ、代わりに持ってて。私が配るから」
「う、うん」
地下6階、所長執務室にいた零に、真っ黒な水晶のついたペンダントを渡す。合っていたようで、
「その調子で頑張ってくださいね」
と言われた。その言葉に少し安心する。
わかりやすいピンクと緑、黄色、オレンジはそれぞれ雅、葵、透、和馬に配ることができた。針状のものが入った同じ水晶がついているペンダントは双子のもので、お互いにつけあっていた。残るは虹のような色が見える水晶だ。恭平のものなのだろうが、水色ではなかったことに驚いた。
「あ、それオレのです」
「合ってたんですね。これ、なんていう水晶ですか?」
「角度によって色が違うように見えますね……」
鉱物に詳しいわけではないが、水晶が魔導において重要な役割を果たすことがわかっている今、できるだけ知っておきたい。天音はペンダントを渡しながら聞いた。
「あー、確か、アイリスクォーツとかいうヤツです。オレも魔導師になるまで知らなかった石ですね」
「へえ。後で調べてみますね、ありがとうございます」
「勉強もほどほどにした方がいいですよ」
肩をすくめて言われたが、1つのものを調べるくらい、大したことはない。水晶に興味が出てきたらしい由紀奈と共に、今日は鉱物についての勉強をしようと約束した。
「あ、何かきてるね」
「これを届ければいいんだよね……えっと、先生宛?」
「その前に魔力を流してみて。本当の宛先がわかるから」
「あ、そっか」
事前に説明はしていたが、いざ実践となると忘れてしまったらしい。由紀奈は魔力を流し始めた。
「そんなに多くなくていいよ。ほら、もう出てきた。誰宛か読めるでしょ?」
「あ……ええと、第5研究所の、皆さま? 高木美織って人から……誰だろう」
「ここの元研究員の占い師さんだよ。この間、お守りを作るって言ってたから、それを送ってきてくれたんじゃないかな。ひとまず副所長に渡しに行こうか」
「う、うん……」
全員分と言っていたせいか、封筒はずっしりと重い。由紀奈は緊張した面持ちで封筒を抱え、地下5階へと向かう。
「あれ、郵便ですか?」
同じく地下に向かおうとしていた透と遭遇した。魔導衣が絡んでいないので穏やかな様子の彼は、地下への鍵である本を1冊抜いて、扉を開けてくれた。やはり、普段は真面な紳士である。
「はい、高木さんからです」
「ああ、なるほど」
美織からの手紙はよくあることらしい。透は驚くことなく頷いた。
「懐かしいですね、あの人が配属された日のこと。双子の後、2ヶ月くらいしたころでした」
「怪我とかで引退ですか……?」
事情を知らない由紀奈が心配そうに言った。事実を知っている天音は笑いをこらえる。
「いえ、副所長を視た瞬間、『無理だわ』と言って退職されました」
「無理とは……?」
「魔導探知が得意なんですよ、美織さんは。副所長を視て、自分の実力ではついていけないと判断したんでしょう。我が研究所の転属及び退職の最短記録保持者ですよ」
「1分でしたっけ」
「正確に計ってはいませんが、それくらいかと。あ、僕はここで」
地下1階のラボに向かう透とは途中で別れ、2人は地下5階へ下っていく。地下深くまで作られている研究所の階段はなかなかに長い。以前なら辛かった階段だが、体力のついてきた今ではさくさく進むことができる。
「よぉ、2人してどうした?」
夏希は執務室で事務仕事をしていた。つまらなそうに書類の束を片付けている最中だった彼女は、嬉々としてペンを置いた。
「高木さんから、お守りが届いたみたいです」
「早ぇな、アイツ。2人ともお疲れさん」
封筒を受け取った夏希は、そっとそれを開いた。手紙に目を通し、その後、中のお守りを見る。1つずつよけていき、その中の2つを差し出した。
「紫水晶のが天音、煙水晶のが由紀奈のな」
今回のお守りは、三日月のような形をしていた。中心に水晶が埋め込まれている。礼を言って、早速身に着ける天音とは対照的に、由紀奈はどうしてよいかわからないといった顔でお守りのペンダントを握っている。
「高木さんの固有魔導は、人の運気を操れるんだって。その力が込められた水晶がついたお守りだから、すごい効力だよ。私、そのおかげで助かったんだから」
「そ、そうなんだ……すごいね」
由紀奈は壊さないよう、慎重にペンダントを摘まんで首にかけた。邪魔にならないよう、魔導衣の中に仕舞いこんでいる。
机の上には、残りの人数分のペンダントが置かれていた。
「ちょうどいい、届けてきてくれねぇか」
「え、でも、どれが誰のかわからないですよ」
「天音は魔力の色が見えるだろ。それと似たような色の水晶がついたヤツを渡せばいい」
「わ、わかりました」
透明な水晶は夏希のものだろう。それを抜いた計8個のペンダントを持って、2人はまず地下6階へと下がった。
「どうしよう、私、匂いでわかるタイプだから力になれない……」
「じゃあ、代わりに持ってて。私が配るから」
「う、うん」
地下6階、所長執務室にいた零に、真っ黒な水晶のついたペンダントを渡す。合っていたようで、
「その調子で頑張ってくださいね」
と言われた。その言葉に少し安心する。
わかりやすいピンクと緑、黄色、オレンジはそれぞれ雅、葵、透、和馬に配ることができた。針状のものが入った同じ水晶がついているペンダントは双子のもので、お互いにつけあっていた。残るは虹のような色が見える水晶だ。恭平のものなのだろうが、水色ではなかったことに驚いた。
「あ、それオレのです」
「合ってたんですね。これ、なんていう水晶ですか?」
「角度によって色が違うように見えますね……」
鉱物に詳しいわけではないが、水晶が魔導において重要な役割を果たすことがわかっている今、できるだけ知っておきたい。天音はペンダントを渡しながら聞いた。
「あー、確か、アイリスクォーツとかいうヤツです。オレも魔導師になるまで知らなかった石ですね」
「へえ。後で調べてみますね、ありがとうございます」
「勉強もほどほどにした方がいいですよ」
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