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【後編】百年後の世界は私にとって夢のような世界になっていました♡
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「やっぱり氷姫の話は本当だったんだよ、レイティ!」
「べ、べつに、信じてなかった訳じゃ……。なあ、フィジア?」
「実際に氷姫が目の前にいるんだから、もうそんなのはどっちでもいいんじゃないかな? それにしても、リンネシアが言っていた通り、綺麗な人だね……」
「でしょ!」
徐々に意識が戻ってきた。
リンネシア、レイティ、フィジアと、お互いに名を呼び合っていた三人の女の子達が、凍結された私を見ながら楽しそうに会話をしている。
「――でも、これ、どうやって溶かしたらいいんだろう?」
リンネシアが二人に質問した。
「火の魔法で溶かしてみる?」
フィジアは躊躇なくそう言ったが――
「ほ、ほんとうに溶かすの? 勝手に溶かしちゃっていいのかな……」
レイティは不安気な表情をしている。
「だけど――、このまま氷漬けの状態なんてかわいそうだよね」
リンネシアが私を見ながら悲しそうな顔をした。
きっと、優しい子なのだろう。
「そうだよね……」
レイティはなんだかんだリンネシアに弱そうだ。
「――どれくらい冷たいんだろうね?」
なんとなくだけど、フィジアは研究者タイプだと思う。
「まあ、触ってみたらわかるよ」
そう言って、リンネシアが氷に触れると、凍結された私に向かって天井から強い光が照らされた。
そして、徐々に氷が溶けていく。
「え、え、どうやったの?」
レイティが驚いている。
「えーと、氷に触っただけっぽいけど……」
フィジアが冷静に分析している。
「あ、もうすぐで溶け終わりそうだよ」
光が収まると同時に身体を覆っていた氷は全て溶けた。
これで、晴れて自由の身になれたんだよね――
凍結される前に神様が言っていた話からすると、目の前にいる女の子達が素晴らしい仲間達ってことになるんだけど……
三人の会話を少し聞いただけでも、いい子達だというのはよくわかった。
ただ、私を仲間にしてくれるという保証はない――
「……えーと、あなたの名前は氷姫さんですか?」
リンネシアが恐る恐る聞いてきた。
「あ、いえ、私の名前はクランシアといいます」
むしろ、さっきから話に出てきてる氷姫って一体誰なの?
「で、伝説の氷姫と、お、お話できた!?」
女の子達がキャッキャしている。
「――伝説の氷姫?」
「あ、わたしの家では、代々、氷姫の伝説が語り継がれていまして――、まさか本当に逢えるなんて、私にとっては夢のよう話なんです」
私が不思議そうな表情をしていると、リンネシアが補足してくれた。
……そうか、なんとなくわかった。
百年前、神様がこの子達の先祖に、そういう話を吹き込んでおいてくれたのだろう――
「ふふ、私は伝説と呼ばれるような人間ではありませんよ。百年間氷漬けにされていた、ただの人です」
――とはいえ、百年も氷漬けにされていたら、既に普通の人ではないか。
自分で説明しながら、私は思わず苦笑した。
「そうなんですね……。勝手に氷姫なんて呼んでしまい、申し訳ありませんでした……」
リンネシアがそう言って頭を下げると、レイティとフィジアも一緒になって頭を下げてくれた。
「あ、頭を上げて下さい……。こちらこそ、期待に応えられなくてゴメンなさい……」
そう言って、私も頭を下げた。
「ク、クランシアさん、頭を上げて下さい。私達が勝手に盛り上がっていただけなので――」
リンネシアが慌ててそう言った。
「私は氷姫なんて呼ばれるたいそうな人間ではありませんが、こうして逢えたのも何かの縁です。もしご迷惑でなければ、私をあなた方のパーティに加えていただけませんか?」
三人の人柄に触れて、私は自然と仲間に加えてほしいと思った。
「え、私達の仲間になっていただけるんですか? も、もちろん、大歓迎です!!」
「リンネシアが、そうしたいなら反対はしないよ」
「氷漬けの女性――。なんて興味深い……」
「ありがとう」
あー、人に歓迎されるって、こんなに嬉しいことだったんだ……
この世界に来てからは、怒りや恨み、蔑みばかりを受けてきたので、女の子達の純粋な言葉と眼差しによって、私の心の闇が溶けていくのを感じていた。
「百年前の話も、ぜひ、また聞かせてください!」
「確かに、それはちょっと聞きたいかも……」
「百年前の生き証人の話――」
……本当にいい子達だね。
「じゃあ、目的も達成したし、ダンジョンから出よっか!」
「そうだね」
リンネシアの提案にレイティが同意する。
「迷宮脱出の魔石を使ってもいいよね」
そう言って、フィジアが魔石をリュックから取り出した。
「うん、いいと思う」
「じゃあ、使うよ、迷宮脱出!!」
フィジアが魔法を詠唱すると、私達は魔石から放たれた光に包まれて、一瞬でダンジョンの外へと脱出した――
◇
「まずはクランシアさんに必要な物の買い物ですね」
「え? でも、私、お金とか持っていないから――」
リンネシアに買い物を勧められたが、凍結される直前まで牢屋にいたのでお金は持っていない……
それどころか囚人用の粗末なワンピース服を一枚着ているだけで、まともな服すら着ていない。
「なに言ってるんですか。当然、私達が買いますよ!」
リンネシアがそう言うと、レイティとフィジアも頷いている。
――雰囲気からして、この子達のお家はお金持ちなんだろうなぁと思った。
「では、今回はそれでお願いします……。いつか必ず返させていただきますので――」
申し訳ない気持ちになって、私がそう言うと――
「あ、お金は返さなくても大丈夫ですよ!! どうしても返したい時は、私達の誕生日にプレゼントでもしてください!!」
と、リンネシアは言った。
「……そ、そんなのでいいの?」
それだと、全然、割に合っていないと思うんだけど――
「むしろ、その方が嬉しいです!!」
まばゆい笑顔でリンネシアはそう答えた。
まあ、本人達がその方がいいと言うのであれば……
「わかりました。――では、後で誕生日をもらってもいいですか?」
「「「はい、もちろんです!!」」」
三人は同時に返事をして、とても嬉しそう表情をしていた――
「すごく可愛い……」
百年前は中世時代のような装飾がされた衣類が多かったが、百年後のこの世界ではアニメキャラが着ているような服や雑貨も並んでいた。
――百年の間に何があったの?
百年前と世界が変わり過ぎている。
「出店の食べ物もおいしそう……」
クレープやアイスクリームのような食べ物の出店まである。
「百年前とはだいぶ違いますよね。――なんでも、ある令嬢が持っていた書物が解読されてから、一気にこういった衣類や食べ物が広がったみたいですよ」
私が唖然としていると、フィジアが説明してくれた。
その書物って私が事故にあう直前に、趣味で大量に購入して鞄に詰め込んでいたアニメキャラの設定資料集や料理本のことでは……
まさか、あの時の本が異世界の百年後にこんな影響を与えていたなんて――
BL系や百合系の本は入れてなかったよね……
入れていなかったと百一年前の私を信じよう。
◇
「――まさか、魔力量を測る水晶が壊れるなんて驚きです」
リンネシアに連れられて、ギルドで魔法量を測ってもらったのだが、魔力量が多過ぎたせいで水晶が壊れてしまった。
「長い年月ダンジョンにいた影響で、魔力量が物凄く増加した可能性があります……」
と測ってくれたお姉さんは推察していた。
「クランシアさん、実は私達、来月から中級魔法学校に一年間通うことになっているんです……。もしよかったら、一緒に魔法の勉強をしませんか?」
リンネシアが遠慮がちに提案してれた。
そういえば、高校を卒業する前に事故にあったから、卒業式には出れてないんだよね――
魔法学校か……
なんだか楽しそうだなぁとは思う――
「行けるなら行きたいけど、百年前の魔法の知識しかないのに、いきなり中級の魔法学校なんて行っても大丈夫なのかな?」
「それは大丈夫だと思います。中級の魔法学校とは言っても、入りたい人は誰でも入れる学校なので――」
やりたいことがあれば誰でも入れる専門学校みたいなものかな。
「でも、学校に行くにはお金が必要だよね? しばらく働いてからになるから、一緒には通えなさそうかな……」
来月からとなると、時間的にそこまでのお金を作り出すことは難しそうだ。
「いえ、もちろん、お金は私達が出させていただきます!!」
リンネシアの無茶な提案に、レイティとフィジアも躊躇なく頷いている。
え、この子達の家、どれだけ金持ちなの?
「さすがにそこまでは……」
すぐに必要な生活用品を援助してもらうのは仕方がないにしても、さすがに学校の授業料まで出してもらうわけにはいかない。
「――それでしたら、卒業後、私達と一緒にパーティを組んで、少しずつ返してもらうというのはどうでしょうか?」
「え?」
このままでは話が進まないと思ったからか、パーティへの参加をフィジアから提案された。
「そっか、それならいいですよね、クランシアさん!! 一緒に冒険をしたり、ダンジョン探索したり、ギルドの依頼を受けて報酬をもらったりして、溜まったお金から少しずつ返してくださればいいんですよ!!」
百年前と世界観が変わり過ぎていて、リンネシアが何を言っているのか、わからないこと多々あったが――
「みんなとパーティを組んで、一緒に冒険しながら少しずつ返していったらいいってことだよね?」
「はい、そういうことです!!」
リンネシアが嬉しそうに返事をした。
この子達と一緒にいると本当に居心地がいいんだよね……
この世界に来てからは辛いことばかりだったけど、この子達となら、私も幸せな毎日を送れるのかもしれない――
「……私なんかが、みんなのパーティに入っていいの?」
「もちろん!!」
「もちろんだよ!」
「もちろんです!」
三人揃って元気よく答えた。
「それじゃあ、よろしくお願いします」
私が右手を差し出して頭を下げると、みんなは両手で私の手を掴んで――
「「「これからもよろしくお願いします!!!」」」」
と、満面の笑顔でそう返事をした。
悪役令嬢に転生してしまい死亡フラグは回避できなかったけど、百年間の凍結期間の後、こうして出逢った素敵な仲間達との新たな人生が始まった――
「べ、べつに、信じてなかった訳じゃ……。なあ、フィジア?」
「実際に氷姫が目の前にいるんだから、もうそんなのはどっちでもいいんじゃないかな? それにしても、リンネシアが言っていた通り、綺麗な人だね……」
「でしょ!」
徐々に意識が戻ってきた。
リンネシア、レイティ、フィジアと、お互いに名を呼び合っていた三人の女の子達が、凍結された私を見ながら楽しそうに会話をしている。
「――でも、これ、どうやって溶かしたらいいんだろう?」
リンネシアが二人に質問した。
「火の魔法で溶かしてみる?」
フィジアは躊躇なくそう言ったが――
「ほ、ほんとうに溶かすの? 勝手に溶かしちゃっていいのかな……」
レイティは不安気な表情をしている。
「だけど――、このまま氷漬けの状態なんてかわいそうだよね」
リンネシアが私を見ながら悲しそうな顔をした。
きっと、優しい子なのだろう。
「そうだよね……」
レイティはなんだかんだリンネシアに弱そうだ。
「――どれくらい冷たいんだろうね?」
なんとなくだけど、フィジアは研究者タイプだと思う。
「まあ、触ってみたらわかるよ」
そう言って、リンネシアが氷に触れると、凍結された私に向かって天井から強い光が照らされた。
そして、徐々に氷が溶けていく。
「え、え、どうやったの?」
レイティが驚いている。
「えーと、氷に触っただけっぽいけど……」
フィジアが冷静に分析している。
「あ、もうすぐで溶け終わりそうだよ」
光が収まると同時に身体を覆っていた氷は全て溶けた。
これで、晴れて自由の身になれたんだよね――
凍結される前に神様が言っていた話からすると、目の前にいる女の子達が素晴らしい仲間達ってことになるんだけど……
三人の会話を少し聞いただけでも、いい子達だというのはよくわかった。
ただ、私を仲間にしてくれるという保証はない――
「……えーと、あなたの名前は氷姫さんですか?」
リンネシアが恐る恐る聞いてきた。
「あ、いえ、私の名前はクランシアといいます」
むしろ、さっきから話に出てきてる氷姫って一体誰なの?
「で、伝説の氷姫と、お、お話できた!?」
女の子達がキャッキャしている。
「――伝説の氷姫?」
「あ、わたしの家では、代々、氷姫の伝説が語り継がれていまして――、まさか本当に逢えるなんて、私にとっては夢のよう話なんです」
私が不思議そうな表情をしていると、リンネシアが補足してくれた。
……そうか、なんとなくわかった。
百年前、神様がこの子達の先祖に、そういう話を吹き込んでおいてくれたのだろう――
「ふふ、私は伝説と呼ばれるような人間ではありませんよ。百年間氷漬けにされていた、ただの人です」
――とはいえ、百年も氷漬けにされていたら、既に普通の人ではないか。
自分で説明しながら、私は思わず苦笑した。
「そうなんですね……。勝手に氷姫なんて呼んでしまい、申し訳ありませんでした……」
リンネシアがそう言って頭を下げると、レイティとフィジアも一緒になって頭を下げてくれた。
「あ、頭を上げて下さい……。こちらこそ、期待に応えられなくてゴメンなさい……」
そう言って、私も頭を下げた。
「ク、クランシアさん、頭を上げて下さい。私達が勝手に盛り上がっていただけなので――」
リンネシアが慌ててそう言った。
「私は氷姫なんて呼ばれるたいそうな人間ではありませんが、こうして逢えたのも何かの縁です。もしご迷惑でなければ、私をあなた方のパーティに加えていただけませんか?」
三人の人柄に触れて、私は自然と仲間に加えてほしいと思った。
「え、私達の仲間になっていただけるんですか? も、もちろん、大歓迎です!!」
「リンネシアが、そうしたいなら反対はしないよ」
「氷漬けの女性――。なんて興味深い……」
「ありがとう」
あー、人に歓迎されるって、こんなに嬉しいことだったんだ……
この世界に来てからは、怒りや恨み、蔑みばかりを受けてきたので、女の子達の純粋な言葉と眼差しによって、私の心の闇が溶けていくのを感じていた。
「百年前の話も、ぜひ、また聞かせてください!」
「確かに、それはちょっと聞きたいかも……」
「百年前の生き証人の話――」
……本当にいい子達だね。
「じゃあ、目的も達成したし、ダンジョンから出よっか!」
「そうだね」
リンネシアの提案にレイティが同意する。
「迷宮脱出の魔石を使ってもいいよね」
そう言って、フィジアが魔石をリュックから取り出した。
「うん、いいと思う」
「じゃあ、使うよ、迷宮脱出!!」
フィジアが魔法を詠唱すると、私達は魔石から放たれた光に包まれて、一瞬でダンジョンの外へと脱出した――
◇
「まずはクランシアさんに必要な物の買い物ですね」
「え? でも、私、お金とか持っていないから――」
リンネシアに買い物を勧められたが、凍結される直前まで牢屋にいたのでお金は持っていない……
それどころか囚人用の粗末なワンピース服を一枚着ているだけで、まともな服すら着ていない。
「なに言ってるんですか。当然、私達が買いますよ!」
リンネシアがそう言うと、レイティとフィジアも頷いている。
――雰囲気からして、この子達のお家はお金持ちなんだろうなぁと思った。
「では、今回はそれでお願いします……。いつか必ず返させていただきますので――」
申し訳ない気持ちになって、私がそう言うと――
「あ、お金は返さなくても大丈夫ですよ!! どうしても返したい時は、私達の誕生日にプレゼントでもしてください!!」
と、リンネシアは言った。
「……そ、そんなのでいいの?」
それだと、全然、割に合っていないと思うんだけど――
「むしろ、その方が嬉しいです!!」
まばゆい笑顔でリンネシアはそう答えた。
まあ、本人達がその方がいいと言うのであれば……
「わかりました。――では、後で誕生日をもらってもいいですか?」
「「「はい、もちろんです!!」」」
三人は同時に返事をして、とても嬉しそう表情をしていた――
「すごく可愛い……」
百年前は中世時代のような装飾がされた衣類が多かったが、百年後のこの世界ではアニメキャラが着ているような服や雑貨も並んでいた。
――百年の間に何があったの?
百年前と世界が変わり過ぎている。
「出店の食べ物もおいしそう……」
クレープやアイスクリームのような食べ物の出店まである。
「百年前とはだいぶ違いますよね。――なんでも、ある令嬢が持っていた書物が解読されてから、一気にこういった衣類や食べ物が広がったみたいですよ」
私が唖然としていると、フィジアが説明してくれた。
その書物って私が事故にあう直前に、趣味で大量に購入して鞄に詰め込んでいたアニメキャラの設定資料集や料理本のことでは……
まさか、あの時の本が異世界の百年後にこんな影響を与えていたなんて――
BL系や百合系の本は入れてなかったよね……
入れていなかったと百一年前の私を信じよう。
◇
「――まさか、魔力量を測る水晶が壊れるなんて驚きです」
リンネシアに連れられて、ギルドで魔法量を測ってもらったのだが、魔力量が多過ぎたせいで水晶が壊れてしまった。
「長い年月ダンジョンにいた影響で、魔力量が物凄く増加した可能性があります……」
と測ってくれたお姉さんは推察していた。
「クランシアさん、実は私達、来月から中級魔法学校に一年間通うことになっているんです……。もしよかったら、一緒に魔法の勉強をしませんか?」
リンネシアが遠慮がちに提案してれた。
そういえば、高校を卒業する前に事故にあったから、卒業式には出れてないんだよね――
魔法学校か……
なんだか楽しそうだなぁとは思う――
「行けるなら行きたいけど、百年前の魔法の知識しかないのに、いきなり中級の魔法学校なんて行っても大丈夫なのかな?」
「それは大丈夫だと思います。中級の魔法学校とは言っても、入りたい人は誰でも入れる学校なので――」
やりたいことがあれば誰でも入れる専門学校みたいなものかな。
「でも、学校に行くにはお金が必要だよね? しばらく働いてからになるから、一緒には通えなさそうかな……」
来月からとなると、時間的にそこまでのお金を作り出すことは難しそうだ。
「いえ、もちろん、お金は私達が出させていただきます!!」
リンネシアの無茶な提案に、レイティとフィジアも躊躇なく頷いている。
え、この子達の家、どれだけ金持ちなの?
「さすがにそこまでは……」
すぐに必要な生活用品を援助してもらうのは仕方がないにしても、さすがに学校の授業料まで出してもらうわけにはいかない。
「――それでしたら、卒業後、私達と一緒にパーティを組んで、少しずつ返してもらうというのはどうでしょうか?」
「え?」
このままでは話が進まないと思ったからか、パーティへの参加をフィジアから提案された。
「そっか、それならいいですよね、クランシアさん!! 一緒に冒険をしたり、ダンジョン探索したり、ギルドの依頼を受けて報酬をもらったりして、溜まったお金から少しずつ返してくださればいいんですよ!!」
百年前と世界観が変わり過ぎていて、リンネシアが何を言っているのか、わからないこと多々あったが――
「みんなとパーティを組んで、一緒に冒険しながら少しずつ返していったらいいってことだよね?」
「はい、そういうことです!!」
リンネシアが嬉しそうに返事をした。
この子達と一緒にいると本当に居心地がいいんだよね……
この世界に来てからは辛いことばかりだったけど、この子達となら、私も幸せな毎日を送れるのかもしれない――
「……私なんかが、みんなのパーティに入っていいの?」
「もちろん!!」
「もちろんだよ!」
「もちろんです!」
三人揃って元気よく答えた。
「それじゃあ、よろしくお願いします」
私が右手を差し出して頭を下げると、みんなは両手で私の手を掴んで――
「「「これからもよろしくお願いします!!!」」」」
と、満面の笑顔でそう返事をした。
悪役令嬢に転生してしまい死亡フラグは回避できなかったけど、百年間の凍結期間の後、こうして出逢った素敵な仲間達との新たな人生が始まった――
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