学校転移﹣ひとりぼっちの挑戦者﹣

空碧

文字の大きさ
44 / 125

43話 不穏な痕跡①

しおりを挟む
「齋藤は確か土魔法と水魔法だったか」
《だな、他は守谷 龍之介が火と風を持っているくらいか》
「かな。まぁそこら辺は教えられるから大丈夫だろ。ただ、5人分となると食料やらが足りるかどうか…節約できるところは節約するが、やはりどうしてもガチャに頼るしかないか…」
《そこまで世話してやる必要あるのか?》
「まぁいっくんのお願いなら仕方ないかなぁ…」

相川はそう言いつつもほっこりと笑顔になっていた。

「よし、一旦帰ろうか。とりあえずEランクの魔石はまた増えてきてるから、少しずつ引いていこうか。未だEランクの強化玉は獲得できていないしな。…っと、あぶない…落とし穴?なんでこんなところに…少し森の奥に来たとはいえ、ここらはまだ人間は来れないはずだが…」

少し嫌な予感がして、その辺りを散策すると、茂みの幾つかが折れていたり、人間とは違う犬や狼のような肉球の跡が着いていたが、それについては少し大きくも感じられる。

「罠があって肉球の足跡ってことはやっぱ聞いていたコボルトなのかぁ?だが、ここらってどちらかと言うとゴブリンの縄張りだった場所だし、散策した場所にはコボルトの群れすら居なかった。居たのはウルフかオークだったわけで、ウルフは巣は作らないだろうし、オークも巣は作りそうな感じではあるが、だとしたら余計にコボルトの縄張りではないはず…うーん、本当になんなんだ?」

改めて確認し直しても、錬金術で作っていた防壁の周りに足跡があるくらいで、数は多くても4、5匹ほど…焚き火があったのはそこから少し遠くの場所で、こっちに戻ってきた際に落とし穴があった…

「人間の足跡があるわけではないしな…気にしすぎなのか?」
《いや、これは…だが、そうとしか…うーん…確認、いった方がいいが…だが、あのコボルトだぞ?》
「なにか分かったことあるか?」
《推測の範囲でしか言えないから、確定ではないぞ?》

いつになく不安な様子を見せながら、悩みながらそういう大和に対し、「推測でも大丈夫」と伝える。

《ゴブリンとコボルトってのは犬猿の仲で、出会って即戦争レベルなんだ。
で、この前主が一回ゴブリンを殲滅したろ?だから、もしかしたらこの前のゴブリンの巣窟にコボルトが巣を移した可能性があるんだが…嫌いな相手の家に引っ越すなんて普通するか?》
「だが、可能性としてはそう考えられるってことだよな?」
《ああ。あの足音は間違いなくコボルトの足音なんだ。ただ…コボルトとゴブリンを人間で例えると、ゴブリンは傭兵だが、騎士や冒険者みたいな所があるんだ》
「ああ…なるほど、ゴブリンは生きるためならなんでもするけど、コボルトは信条か仁義が存在するってことか。同族は殺さない見殺しにしない的な」
《ああ。だから、もし本当にそれらが起きているなら、王になった存在が余程のクズな場合がある》
「うーん…幸いこのまま時間が進めば早くに夜になる。そうなれば光の魔力と闇の魔力が増えてくる…ゴブリンキングでさえ手に負えないレベルなのにコボルトの王となるとキツイよな…」
《正直、どっちでも良い。コボルト種はゴブリンとは違って、人間を襲うことはあまりないんだ。食料にならないからな。生存戦争の時のみって感じなんだ。あとは報復。だから、この時点ではまだ敵対はしていない。
だが…》
「この先、どちらかが先に殺しをした瞬間に、戦争が起きる…そして、その時になると王は更に力をつけるから、死ぬかもしれない…よし、ポーション類を拠点から回収して、準備ができ次第直ぐに見に行くぞ。
幸い、【変幻自在の影シャドウ・プロテウス】と闇の魔力の吸収を同時に行えばほぼ無制限で使えるはずだ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...