幼馴染をチャラそうな男にかっさらわれた陰キャボッチ、ひょんなことから学年一の美少女とラブラブに。やればできるとわかって後悔してももう遅い。

平井敦史

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後悔先に立たず

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 ピンポーン!

「いらっしゃいま……せ……」

 コンビニみせの入り口のチャイムが鳴り、反射的に声を掛けながら来客の顔を見て、僕は思わずうめいた。

 そこにいたのは、「鈴木すずき有紗ありさ」。僕の幼馴染だ。
 そして彼女が腕を組んでいる相手は、「高橋たかはし祐司ゆうじ」。僕たちの同級生で、いかにもチャラそうな見た目の男。

「あれ、佳宏よしひろ、何でこの店にいんの? あんたが働いてるの、二丁目の店じゃなかったっけ?」

 有紗が怪訝けげんそうに尋ねてくる。

「ここも同じオーナーなんだよ。急に人手が足りなくなったから手伝いに行ってくれって言われてさ」

「あっそ。頑張ってるねぇ」

 そう言いながらも有紗は、人目もはばかることなく高橋といちゃついている。
 クソが。

 有紗は客観的に見て美人だ。高校でも十本の指には間違いなく入っていたと思う。
 僕、「佐藤さとう佳宏よしひろ」とは物心ついたころからの付き合いで、幼い頃には結婚の約束もした仲なのに、いつの間にか高橋みたいなチャラい男とくっついてしまっていた。
 そして僕は……。

 二人は店内を回り、菓子やジュースを買い物籠に詰め込んでいった。そして、有紗がふと思いついたように、

「そうそう、これも買っとかなきゃね。切れかけてたし」

 手に取った品物を、籠に放り込む。

 二人はレジに向かい、僕がレジ打ちをすることになった。
 菓子類のバーコードを読ませ、持参のエコバッグに詰めていくうちに、例の品物の番が回ってきた。
 0.01mmのコンドーム。
 わざわざここで買う必要、本当にあるのか?

「やっぱ避妊はちゃんとしないとね♡」

 聞いてもいないのに、そんなことを言ってくる有紗。
 やっぱり僕への当てつけか。

「佐藤も色々大変だろうけど、頑張れよ」

 高橋が僕に声を掛けてきた。チャラ男にいい人ムーブされると、余計ムカつくな。

「ありがとうございます」

 支払いを済ませた二人がイチャつきながら立ち去って行くのを、見送る。

 どうしてこんなことになってしまったのか――。
 僕の胸に苦い後悔が去来した。
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