求めて

高橋

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友達の家への道のり

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 小さい頃は行動範囲が狭かった。自転車に乗れるようになっても、学区外に出ることはほとんどなかった。僕の学区は山と川に囲まれ、外に出るには坂を登ったり、狭くて車がスピードを出す道を通らなければならなかったからだ。
 小学校時代、仲の良い友達の家によく通った。土日はほぼ必ず。朝9時から遊び、12時にいったん解散して、13時に再集合。午前と午後で遊ぶ場所が変わることもあれば、ずっと同じ家で遊ぶこともあった。たまに神社や公園にも行った。そして夕方5時に解散。
 僕の子供たちは、インターネットの普及に伴い、朝早くから夜遅くまでゲームのオンライン対戦をしている。だが、僕らの場合、小学校の時にようやくインターネットにゲームを繋げる時代になったため、遊べたとしてもゲームの動きはガビガビだった。だからこそ同じ空間に集まってゲームをしていた。大人になると失ってしまった臨場感のように思える。

 その話ももっとしたいが、閑話休題。仲の良かった友達のうちの1人。彼の家に行く道には思い入れがあった。初めて遊びに行った時は場所がわからなかったから大通りや目印になるお店の前を通って行った。だが慣れてくると、今までのルートは大幅に迂回していることに気づき、最短距離で通うようになった。
 その道について語る。
 僕の家を出て地区の公民館の角を曲がる。さらに進むと最寄りのバス停がある少し大きめの道路につく。その道路に面するひらけた駐車場の敷地内に地域の放送やお昼の12時の鐘、夕方5時の鐘が鳴る鉄塔があった。道路を渡ると、工場がいくつかあり、別々の工場の敷地の間の小道を歩いていく。ここは工場小道と呼ぼう。時折作業着を着て楽しそうに歩いているおじさんたちとすれ違った。ちなみにさっきの駐車場は工場に勤めている人たちが利用する駐車場だったらしい。
 工場小道を抜けきると、一面に田んぼが広がる。その田んぼの間を縫うように一本の小道は続く。さらに向こうの小さい山に向かって。道幅は工場の間となんら変わらず、軽く下がったり上がったりの傾斜道だ。車が1台なんとか通れる狭さで、一歩ハンドル操作を間違えれば田んぼにドボンしそうである。ちなみに僕も友達も自転車で何回も田んぼにドボンした。大学時代に帰省した際、僕は原付でドボンした。おそらく畦道を舗装したんだろう。田んぼ小道と呼ぶ。
 田んぼ小道を進んでいくと、ポツンポツンと民家がある。周辺の田んぼを持つ地主の家のため1軒1軒は大きい。そんな民家を横目に見ていくと友達の家につく。
 朝9時の工場小道は、工場の大きな建物に遮られ日が差しこまず、田んぼ小道まで出ると一気に明るくなる。農作業をしているおじいさん、おばあさんの姿も目に入ってくる。どことなくその風景が、牧歌的なゲームの世界を冒険している気分を彷彿させた。
 お昼に一度友達の家から戻るとき。土曜日でも工場の人たちは働いていたのだろう。田舎の小さな工場といえど食堂や売店があるらしく、おじさんたちが楽しそうに歩いていて、不思議な空間に迷い込んだ気持ちになった。
 曇りの日に鉄塔を眺めると、どこか薄気味の悪い何かが始まるような気持ちになった。
 冬の雨の日の夕方5時台。空は暗く、田んぼ小道には街灯もなく、民家からの光を頼りに進むしかない。工場小道に近づくと、工場からまばゆい光が見えるようになった。工場小道では、土曜日の夜だろうと、全開のシャッターの向こう側には何を作っているかわからないが、大きな機械を動かしている人々の姿が見えた。
 夏の夕方、友達の家から帰るときだった。その日は5時になっても友達と一緒だった。地区の公民館も縁側が大きく開放され、ビール瓶を片手に騒いでいる近所のおじさんたちの姿が見えた。夏祭りの日だ。僕と友達は夏祭りの会場へと向かった。
 友達の家との最短距離を選んだつもりだが、冒険心をくすぐる風景が今でも脳裏に焼きついている。僕の子供にも家でオンラインで遊ぶだけじゃなく、こういう情景を記憶に残して成長してもらいたい。
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