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11.快楽と婚約破棄
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あれから私はずっと幸せだった。
左手にはめられた輝く婚約指輪を見るたびに心が高鳴った。
しかしそこから結婚へはなかなか進まず、寂しい日々を送っていた。
優紀にはなかなか会えず連絡も来ない。
彼はとても忙しい人だとよく分かっているから、
なんとなく急かすようなことはできなかった。
婚約してから1年が経った。
あれから私にもさらに後輩が増え仕事が増えていった。
そんな後輩が近いうちに結婚すると言ってきた。
「優梨さん!聞いてくださいよぉ!
私もうすぐ結婚するんです!!」
「あ、そうなんだ。
よかったね!おめでとう。」
「彼には結構待たされたけど、
会社もやってて忙しいからサポートして頑張ってきたんです!
この会社とも取引あるんですよ!
だから優梨さんも近いうちに会うかもですね!
そうなったらご紹介させてくださいね♡」
左手の婚約指輪をチラつかせて彼女はそう言った。
なんてお花畑なんだ。
いや、私がうまくいかないからって誰かを羨んだらいけない。
「そ、そうなんだ。
じゃあいい機会があれば紹介してね。」
でもこの会社の取引ある社長さんって、
みんな既婚者じゃなかったかな?
優紀さんは私と婚約してるし、独身の方聞いたこと無いけど…。
新規の会社さんかな??
~~~~~♪~~~~~
私のスマホが鳴った。
(!?ゆ、優紀さんからメール!?)
【今夜会えないかな?いつものレストランで話したいことがあります。】
ゾクゾクゾク
私の背中に悪寒が走った。
何この嫌な感じ。
モヤモヤしてる何かが私を地獄へと導いてるこの感じ。
でも会いたかった。
ずっと会えてなかった私の婚約者。
【はい、大丈夫です。ではいつもの時間に行きますね。】
なんとなく素っ気なく返信してしまった。
久しぶりの連絡なんだから、
メールじゃなくて電話でもいいじゃんか…。
それは私の本心だった。
ずっと心待ちにしていた彼からの連絡。
とても残念な気持ちになってしまった。
やっと会えるのにこのモヤモヤは何だろう。
全然楽しみにできない。
そんな私を置いてあっという間に退勤時間になった。
「優梨さん!すみません、今日婚約者に呼ばれちゃって、
お先に失礼させてください!」
「あ、うん、分かったよ。
私も今日用事あって帰るところだったし。
また明日ね。」
「はい!また、あ・し・た♡」
何てお花畑なんだろう。
いやいや、羨望の眼差しはダメ!!
私だってこの後優紀さんに会うんだし!!
それにしてもあの意味深な『また明日』…。
嫌な感じ。
私は足早に約束のレストランに向かった。
優紀さんは先に来ていてすでにテーブルについていた。
「お待たせしてすみません。」
「優梨、久しぶりだね。
最近会えなくてごめんね。」
「い、いえ…でも寂しかったです。」
「優梨がそんなこと言ってくれるなんて。
正直驚いたよ。」
「え…?」
「優梨。俺いつも思ってたんだけど、
俺らって相性悪いよね。」
「え。今、なんて??」
「いつも思ってた。俺らいつも一緒に笑っていられるけど、
SEXになると全然だめ。
いつも演技してるでしょ?
それに結構遊んできたんでしょ?穴ガバガバだし。
俺そういう子多分無理なんだよね。
結婚したいって思ったのは本当だよ。
でもさ、結婚したらこの先一生優梨とシなきゃでしょ?
それは正直厳しいかなって。
締め付け悪いし、俺気持ちよくないんだよね。」
頭の中が真っ白になり、混乱して何も言えなかった。
「だからこの婚約なかったことにしてほしい。」
「え…?ちょ、なに?!」
優紀は私の手をつかみ婚約指輪を外し、
自分のポケットに突っ込んだ。
「婚約破棄したんだし、こんなの不要でしょ?
あと俺結婚するんだ。だからもう俺のことはあきらめてね。
優梨と全く違ってかわいいタイプなんだ。
ほら知ってるでしょ?
梓ちゃん。」
あず・・・さ・・・。
あずさ・・・。
梓・・・。
(!?)
「分かった?確か優梨の下で働いてるよね。」
梓はあのお花畑女。
私の部下で新人の。
「な、なんでよりによって彼女なわけ?」
「梓ちゃん処女なんだって!
だからきっと優梨と違って俺のこと楽しませてくれると思うんだ♡
あの子の初めては俺がもらうんだ。
一生あの子と俺は幸せに暮らすんだ♡」
「…。」
私は何も言えなかった。
いや、何も言わなかった。
お花畑同士上手くやってなさいって思った。
「優紀さん、そんな人だと思いませんでした。
結婚しなくてよかったです。
結婚にもちろん相性も大事だと思いますが、
それがすべてではありません。
それに私も優紀さんだと満足できませんでしたしね。
お互い様ってことで今回は慰謝料請求とかめんどくさいことはしません。
梓さんがどんな方かよく知らないけど、
どうか末永くお幸せにね。
さようなら。」
そう言って席を立とうとしたら、
あのお花畑女の声が聞こえた。
「あれぇ~!優梨さんじゃないですか!
奇遇ですね!!
あ、優紀さん!!ってことは…。
ふふっ、なるほどね♡
お話は済んだようですね!
私は優紀さんと結婚します。
未練は残さないでくださいね!
私たちは末永く幸せに暮らしますので♡」
「ふふふふっ、どうぞお幸せに。
ちょうど彼にもそう伝えたところだったの。
私に未練なんてない。
失礼な浮気性男と結婚せずに済んで幸いだったわ。
知ってる?浮気は一生の病。
いつか必ずあなたも捨てられる。
そう思って怯えながら毎日過ごしてね」
そう言うと顔を真っ赤にして怒る彼女。
優紀は見ていられず彼女の肩を抱いて慰めた。
「梓ちゃん、俺は梓ちゃんに一筋だからね…」
バカバカしい二人の会話を聞いていられず私はその場を離れた。
レストランをでた後しばらく走った。
走り続けた。
今ここがどこかも分からない。
「帰らなきゃ…。」
私はとにかく家を目指して歩いた。
方向?分からない。
だけどとにかく歩いた。
私の何がダメだったのか。
こんなに美を追求して体も鍛えてきた。
今までの彼氏の性癖にだって応えてきたし、一人で開発もしてきた。
それの何がダメだったのか。
分からない、何も分からない。
さっき梓に言ったことはただの強がりだった。
未練なんてあるに決まってる。
だって私、結婚できるとばかり思っていた。
やっと幸せになれると思った。
それなのにこんな結果って…。
受け入れられない。
私一体何をしてきたんだろう。
「はぁー、ふぇ…えぇん、うぅう…」
涙が止まらない。
私は一体どのくらい歩いたのか。
家に向かっていたがここがどこなのか全くわからなかった。
「はぁ、家からどんどん離れていたのか…。」
スマホで位置を調べて、
今度こそ家に帰ろうとしたときだった。
「きゃっ!?」
気づいた時には何者かに口を塞がれていた。
そして抵抗する間もなく私は意識を失ってしまっていた。
左手にはめられた輝く婚約指輪を見るたびに心が高鳴った。
しかしそこから結婚へはなかなか進まず、寂しい日々を送っていた。
優紀にはなかなか会えず連絡も来ない。
彼はとても忙しい人だとよく分かっているから、
なんとなく急かすようなことはできなかった。
婚約してから1年が経った。
あれから私にもさらに後輩が増え仕事が増えていった。
そんな後輩が近いうちに結婚すると言ってきた。
「優梨さん!聞いてくださいよぉ!
私もうすぐ結婚するんです!!」
「あ、そうなんだ。
よかったね!おめでとう。」
「彼には結構待たされたけど、
会社もやってて忙しいからサポートして頑張ってきたんです!
この会社とも取引あるんですよ!
だから優梨さんも近いうちに会うかもですね!
そうなったらご紹介させてくださいね♡」
左手の婚約指輪をチラつかせて彼女はそう言った。
なんてお花畑なんだ。
いや、私がうまくいかないからって誰かを羨んだらいけない。
「そ、そうなんだ。
じゃあいい機会があれば紹介してね。」
でもこの会社の取引ある社長さんって、
みんな既婚者じゃなかったかな?
優紀さんは私と婚約してるし、独身の方聞いたこと無いけど…。
新規の会社さんかな??
~~~~~♪~~~~~
私のスマホが鳴った。
(!?ゆ、優紀さんからメール!?)
【今夜会えないかな?いつものレストランで話したいことがあります。】
ゾクゾクゾク
私の背中に悪寒が走った。
何この嫌な感じ。
モヤモヤしてる何かが私を地獄へと導いてるこの感じ。
でも会いたかった。
ずっと会えてなかった私の婚約者。
【はい、大丈夫です。ではいつもの時間に行きますね。】
なんとなく素っ気なく返信してしまった。
久しぶりの連絡なんだから、
メールじゃなくて電話でもいいじゃんか…。
それは私の本心だった。
ずっと心待ちにしていた彼からの連絡。
とても残念な気持ちになってしまった。
やっと会えるのにこのモヤモヤは何だろう。
全然楽しみにできない。
そんな私を置いてあっという間に退勤時間になった。
「優梨さん!すみません、今日婚約者に呼ばれちゃって、
お先に失礼させてください!」
「あ、うん、分かったよ。
私も今日用事あって帰るところだったし。
また明日ね。」
「はい!また、あ・し・た♡」
何てお花畑なんだろう。
いやいや、羨望の眼差しはダメ!!
私だってこの後優紀さんに会うんだし!!
それにしてもあの意味深な『また明日』…。
嫌な感じ。
私は足早に約束のレストランに向かった。
優紀さんは先に来ていてすでにテーブルについていた。
「お待たせしてすみません。」
「優梨、久しぶりだね。
最近会えなくてごめんね。」
「い、いえ…でも寂しかったです。」
「優梨がそんなこと言ってくれるなんて。
正直驚いたよ。」
「え…?」
「優梨。俺いつも思ってたんだけど、
俺らって相性悪いよね。」
「え。今、なんて??」
「いつも思ってた。俺らいつも一緒に笑っていられるけど、
SEXになると全然だめ。
いつも演技してるでしょ?
それに結構遊んできたんでしょ?穴ガバガバだし。
俺そういう子多分無理なんだよね。
結婚したいって思ったのは本当だよ。
でもさ、結婚したらこの先一生優梨とシなきゃでしょ?
それは正直厳しいかなって。
締め付け悪いし、俺気持ちよくないんだよね。」
頭の中が真っ白になり、混乱して何も言えなかった。
「だからこの婚約なかったことにしてほしい。」
「え…?ちょ、なに?!」
優紀は私の手をつかみ婚約指輪を外し、
自分のポケットに突っ込んだ。
「婚約破棄したんだし、こんなの不要でしょ?
あと俺結婚するんだ。だからもう俺のことはあきらめてね。
優梨と全く違ってかわいいタイプなんだ。
ほら知ってるでしょ?
梓ちゃん。」
あず・・・さ・・・。
あずさ・・・。
梓・・・。
(!?)
「分かった?確か優梨の下で働いてるよね。」
梓はあのお花畑女。
私の部下で新人の。
「な、なんでよりによって彼女なわけ?」
「梓ちゃん処女なんだって!
だからきっと優梨と違って俺のこと楽しませてくれると思うんだ♡
あの子の初めては俺がもらうんだ。
一生あの子と俺は幸せに暮らすんだ♡」
「…。」
私は何も言えなかった。
いや、何も言わなかった。
お花畑同士上手くやってなさいって思った。
「優紀さん、そんな人だと思いませんでした。
結婚しなくてよかったです。
結婚にもちろん相性も大事だと思いますが、
それがすべてではありません。
それに私も優紀さんだと満足できませんでしたしね。
お互い様ってことで今回は慰謝料請求とかめんどくさいことはしません。
梓さんがどんな方かよく知らないけど、
どうか末永くお幸せにね。
さようなら。」
そう言って席を立とうとしたら、
あのお花畑女の声が聞こえた。
「あれぇ~!優梨さんじゃないですか!
奇遇ですね!!
あ、優紀さん!!ってことは…。
ふふっ、なるほどね♡
お話は済んだようですね!
私は優紀さんと結婚します。
未練は残さないでくださいね!
私たちは末永く幸せに暮らしますので♡」
「ふふふふっ、どうぞお幸せに。
ちょうど彼にもそう伝えたところだったの。
私に未練なんてない。
失礼な浮気性男と結婚せずに済んで幸いだったわ。
知ってる?浮気は一生の病。
いつか必ずあなたも捨てられる。
そう思って怯えながら毎日過ごしてね」
そう言うと顔を真っ赤にして怒る彼女。
優紀は見ていられず彼女の肩を抱いて慰めた。
「梓ちゃん、俺は梓ちゃんに一筋だからね…」
バカバカしい二人の会話を聞いていられず私はその場を離れた。
レストランをでた後しばらく走った。
走り続けた。
今ここがどこかも分からない。
「帰らなきゃ…。」
私はとにかく家を目指して歩いた。
方向?分からない。
だけどとにかく歩いた。
私の何がダメだったのか。
こんなに美を追求して体も鍛えてきた。
今までの彼氏の性癖にだって応えてきたし、一人で開発もしてきた。
それの何がダメだったのか。
分からない、何も分からない。
さっき梓に言ったことはただの強がりだった。
未練なんてあるに決まってる。
だって私、結婚できるとばかり思っていた。
やっと幸せになれると思った。
それなのにこんな結果って…。
受け入れられない。
私一体何をしてきたんだろう。
「はぁー、ふぇ…えぇん、うぅう…」
涙が止まらない。
私は一体どのくらい歩いたのか。
家に向かっていたがここがどこなのか全くわからなかった。
「はぁ、家からどんどん離れていたのか…。」
スマホで位置を調べて、
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