不登校の私、過去にタイムスリップする

山本未来

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ハルビンの収容所

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船の中での雰囲気は

とても重たくて暗いものだった


重くてどんよりとしたものが

負い被さっている様な

その淀んだ空気は全く消えず

私達の心を益々暗いものにしていった


次々に起こる試練に

みんな打ちひしがれ


何も出来ずにただ寝込んでいる人

本当は悲しくて苦しいのに

なんとか元気な振りをして

落ち込んでる人を励ましている人


みんなこの先の事を考えると

不安で押しつぶされそうになるから

考えないようにしていた


「トクさん、、

まさかこんな事が

起こると思わなかったね、、

だけどみんな生きてて良かった!

沢山の人が亡くなったのに

こうして生きている事が奇跡だね、、」


私は顔もモンペも汚れて

髪の毛もぐちゃぐちゃになっている

惨めな姿でそう言った


「本当にこんな状況で

よく助かったな、、

あの時は死を覚悟したけど

奇跡だな、、

せっかく生き延びたから

精一杯頑張ろうな、、」


トクさんも汚れた姿でそう言った


一番可愛いそうなのは

1歳の次子だ、、


飲む物も食べる物もないから

最初はずっと泣き止まなかった

ずっとグズグズ言っていたし

トクさんを困らせていた


だけどだんだん泣く元気も

なくなって来たのか何も

話さず大人しくなっていた


富子もここ何日間か歩き続けて

今まで経験した事のない

過酷な状況に

疲れ果て暗い顔をしていた


この船に乗っいる人はもちろん

私もこんな過酷な経験は初めてで


ただ生きる事

ソ連軍に殺されない事

なんとか日本に帰る事だけを

考えていた


そして無事にハルビンにある

学校の収容所に到着した


収容所と言っても食べ物は

僅かしかなく寒さも厳しい、、


何日か経ち私とトクさん、長男、

長女は町に仕事を探しに行く事に

なった


仕事と言っても病院での看病や

子供の世話

その世話でもらったお菓子を

売ったりして

僅かなお金で食べ物を買う

そんなその日生きるのに

精一杯の日々だった


みんなガリガリに痩せていき

ジフテリアなどの疫病が蔓延し

沢山の人が亡くなって行った


中には見知らぬ子供を

中国人に売ってお金を手に入れる

卑怯な人もいた


そんな生きる為なら

どんな事でもする状況の中でも

トクさんは見知らぬ人が

困っていたら話しを聞いてあげたり


少し残った食べ物を

分けてあげたりしていた


『トクさんはどうしてあんなに

優しいのだろう?

みんな他人なんかそっちのけで

他人を押しのけてでも

自分の事で必死なのに、、

私もどんどん心が荒んで来て

人間不信になりそうなのに、、

ただ今日は食べ物に有り付く事が

出来るかだけで生きている状態で

希望も何もかも失いかけているのに、、』


わたしも毎日少ししか

食べてないから

ガリガリに痩せていた


ただ救いだったのは

みんながいてくれた事だけだった


ほとんどの人がジフテリアや

栄養失調で亡くなっていたし


家族は全員亡くなり

ひとりぼっちになった人が

ほとんどだったから、、



「こんな酷い状態なのに

どうしてトクさんはみんなに

優しく出来るの?」


私は夜みんなが寝ついた時に

聞いてみた


「小さい頃から両親に

人に親切にしていたら

必ず良い事があるからと

教えられて来たからかな、、

特に意識してやっている

わけではないんだぞ~

出来る事はしてあげたいと

思ってやっているだけだからな~」


トクさんはみんなに聞こえないように

小声で言った


「そうなんだ~

無意識にやっている事なんだね、、

本当に尊敬する!」


私も小声で言った


「美紀!

きっと頑張って生きていたら

必ず良い事あるからな、、

こんなに辛い思いしているんだから

きっと物凄く幸せな日が

いつかやって来るから

それを信じて明日も

頑張って生きような!」


「分かった!

きっといい事あるよね!

辛くて苦しくて

どうしてこんなに

辛いのに生きているか

分からなくなるけど

みんながいてくれるから頑張るね」


私は少しだけ元気にそう言った


次子や富子は本当に

可愛いそうだったけど


子供だからか大人より

ケロッとしている事も多かったし


たまに面白い事を言って

笑っている時もあった


どんなにどん底の状況にいたとしても

気持ち次第で少しでも

楽しい時間を人は

作っていけるんだと思った

だけど困難はまだまだ

続く事は私やここにいるみんなは

感じていた、、



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