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第6章
修練の間
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一晩走り続けた門桜の事も考え、その日はそのまま部屋を借りてそれぞれ体を休めた三人は、翌日、武器をもって来いと集められると、鉄扇に部屋の奥へ連れてこられた。まだ先にも廊下は続きその部屋が最奥というわけでなさそうだが、鉄扇が此処より先は入れないと見えない壁に触れてみせた。通れると言われても足がすくむほど、暗闇で先の見えない廊下の先に行ってみたいとは思わないが、と壬生は奥から何かが這って出てきそうな暗闇に眉を寄せる。
「壬生と門桜はそっちの部屋、お前さんはアタシとこっち」
廊下を挟み、左右に分かれた扉を交互に指差すと、どれだけ強くなるか楽しみだねと笑う。
留守は頼んだよと琉木の頭に触れると、俺だけ離れるのかと言いたげな戦鬼の腕を掴み部屋へ引きずっていく。
「さぁ、私たちも行こうか」
「え?あぁ、おい、あいつは一人でいいのか?」
構わず部屋の扉に手をかける門桜に、連れて行かれる戦鬼を指差す。普段から常に一緒にいるために、この二鬼が離れても大丈夫なのかと心配する。
「別に私たちは常に一緒にいなくちゃいけないわけじゃないよ。戦鬼のは、私より鉄扇さんの方が修行の範として適切なだけ。」
突っ立ってないでさっさと行くよと言いたげに、じとっと視線を向けると戸を開ける。
「鉄扇さん、戦鬼をお願いします」
ちらと部屋に入る前に振り返ると、戦鬼を押し込んで入ろうとしていた、鉄扇に声を掛ける。わかってるよと手を振るとそのまま扉が閉じた。
ぽかんとしたままの壬生に痺れを切らすと、強くなるんでしょと呆れた声を出す。腕を掴めば、戦鬼がそうされたように壬生を部屋の中へと投げ込んだ。
こけるように中に入った壬生は足に伝わる床とは違う、さわりとした少し湿った、皮膚を引っ掻く刺激と広がる緑に目を見開く。門桜が、回収していた壬生の靴を、場所が理解できず呆ける背に投げつける。
「素足でいいならいいけど、さっさと靴履きなよ」
部屋に入り靴を履いて緑の絨毯、見渡す限りの平原に足をつけた門桜は、投げ込まれたままの壬生の尻を蹴る。
「ってぇ!おま……お前なぁ!」
蹴られれば前のめりに地面に、顔を打ち付けそうになった壬生が、両手で踏ん張ると起き上がる。振り返ると説明をしろ説明を!と不満の声を上げた。
「ここは修練の間。ここでの一ヶ月は向こうの5日。さらに言えば、鬼番街も鬼の領域。少し時間をずらしてあるから、外で換算するならって3日って所かな」
これからしばらく過ごす場所へ向かうよ、と説明をしながらサクサクと草を踏みつけて歩いていく。
「は?……ここが鬼の領域!?どういう……」
「君達だって使うでしょう、狭間袋あれは鬼の領域を作る力を応用した、道具だよ。特に空間能力に優れた鬼の血が使われてる。」
狭間袋、決して安いアイテムではないが、鬼狩りには必須とされる携帯袋。壬生もなんとかひとつ持っている。
便利なのはその見た目に反して、その何倍のサイズのものでも入れることができる事。量の限界はあれど、どれだけ入れても重量の変化はしない袋。鮮度の落ちやすいものなどは、そこに入れておけば幾分と保つ。
壬生持つ袋の価格は三十万石と中程度なため、そこまで鮮度を維持はできないが、量は入る。長旅の道具や、報酬として鬼の一部を持ち帰る鬼狩りにとってはなくてはならない袋だ。
式具のひとつなため当然扱えるのは、鬼狩りのみ、数も少なく、価格も高いため一般に流通することはない。
似たような空間魔法などあれど、中に入れているだけで、鮮度の維持までは出来ない。何より長時間物を入れておくにはそれだけ魔力や魔力石を消費する。
「そりゃしってるけど、まさかこの街全部がそうだってのか?しかも、この部屋も?」
鬼の作り出す空間は、鬼の腹の中と言っても差し当たりはない。もし、鬼が領域を発動して囚われれば勝ち目はない。
大きさも、中も鬼それぞれで形も違うが、そこが奴らにとって最も力の発揮できる空間である事は事実。その領域に他者を住まわせる鬼などは聞いたことがない。
頷く門桜に勘弁してくれと言うように首を振る。
「この領域を作ってるのは師匠だよ。それなら納得できるでしょ?」
目頭を抑えながら、放って置かれても困るからとついていく壬生の目に、小さな小屋が見えてくるのと、門桜の言葉は同時だった。
簡単な木造りの小屋の隣には、水の確保のためだろう手押し式の水汲みが、近くには薪割りのための切り株と斧。裏手には厠と、食料保存に使うのだろう、空の氷蔵。
小屋の中に入れば、特におかしなところもなく、入り口すぐの土間には、かまどと水瓶、調理用の台がある。
横を向き、土間を上がれば蓋のされた囲炉裏を中心に板張りの床、端には布団が畳まれて重なっていた。
部屋自体は一部屋なのだろう、今は寒くないから、使う必要話ないから蓋がされているが、冬場は囲炉裏に落ちないよう気をつけなければと、場違いなことを考え壬生は思い浮かべた。
軽い現実逃避だろう。門桜の言葉が、まだ受け入れられないでいる。
小規模な街ならば、斑目の知り合いだったと聞かされてからは、ここに他者を住まわせてるのもまだわかる。
だがここは、引車を使わなければならないほどの大きな街。
まるまる一つが、空牙一人の領域だと話す門桜に、そんな事あり得るか?そう呟いた壬生に対して、こんな所で嘘をついてどうすると鼻で笑った。
「この、場所もそうなのか?」
「そうだよ。領域の中に領域を作ってる」
部屋を見渡し囲炉裏の横に座布団を敷き、腰を落ち着けた壬生が、つくづく規格外の鬼だなと呟くと、門桜が頷いて笑う。
「戦鬼たちの方も、なんだよな?」
二手に分かれているという事は、この領域に少なくとも二つ別の領域ができているということになる。そのどちらも空牙の作ったものだと、当たり前のように肯定する門桜に、空牙という鬼の力の強さに舌を巻く。
「俺の知ってる鬼とは、規模も力も全然ちげぇな」
「鬼は過ごした年数でその力が増すのは、知っているよね?師匠は、この世界が完全に分断される前からいる」
門桜の言葉に、その強さを見ればそれだけ存在しているのだろうと言われれば、少し納得してしまう。壬生の知る限りで、最も長く在ったと思える、斑目でさえ領域はせいぜい、一国の城を覆える程度。
門桜の話では、自分が出会った時には既に、力も弱っていたらしいから、最盛期ならばもっとでかかったのかもしれないが、領域の中に領域なんて芸当までは出来なかったはずだ。
門桜は、壬生が思う所が分かるのだろう、ふっと笑うと、領域の範囲は弱ってても変わらないよそう付け足す。
「世界が分断される前……かどんな世界だったんだろうな」
「今渡れなくなっている境目、あの場所を渡ることができた。もちろん命がけなのは変わりなかったけど」
今のは神の呪いに等しく、渡ればその負荷に耐えきれない。しかし、昔は物理的な障害だった。
荒波を超える技術が、滝を降りる強度が、空高く飛ぶ方法があれば可能だった。実際そうして人々は行き来していた。
「今の世界は、ここみたいなものだね、神が世界丸ごと領域に分けて分断してる」
領域も、決められた入り口以外から通る手段はない。無理に扉以外から、この部屋に出ようと入ろうとすれば、たちまち身体は耐えきれず、生きていたとしても領域の狭間この世界と領域の間に投げ出され二度と戻っては来れない。鬼の領域にとらわれたら終わり、と言われる所以がここにある。
黙り込んでしまった壬生を前に、門桜が突然ぱんっと手を叩いた。ギョッとした顔で顔を上げる壬生に、ニッコリと笑う。
「さてと、ひとまず食べ物取りに行こうか」
私はともかく、君は動けば空腹を感じるでしょうと立ち上がる。
「あ?食いもんあんのかここ」
「生き物はいないけどね、作物は琉木さんが育ててくれてるから定期的に実をつけてくれるから、安心して」
自給自足かと呟いた壬生にそんな所だと、土間に降りる。
靴を履き、行くよと振り返れば少し思案するように顎に手を当てた。
「壬生と門桜はそっちの部屋、お前さんはアタシとこっち」
廊下を挟み、左右に分かれた扉を交互に指差すと、どれだけ強くなるか楽しみだねと笑う。
留守は頼んだよと琉木の頭に触れると、俺だけ離れるのかと言いたげな戦鬼の腕を掴み部屋へ引きずっていく。
「さぁ、私たちも行こうか」
「え?あぁ、おい、あいつは一人でいいのか?」
構わず部屋の扉に手をかける門桜に、連れて行かれる戦鬼を指差す。普段から常に一緒にいるために、この二鬼が離れても大丈夫なのかと心配する。
「別に私たちは常に一緒にいなくちゃいけないわけじゃないよ。戦鬼のは、私より鉄扇さんの方が修行の範として適切なだけ。」
突っ立ってないでさっさと行くよと言いたげに、じとっと視線を向けると戸を開ける。
「鉄扇さん、戦鬼をお願いします」
ちらと部屋に入る前に振り返ると、戦鬼を押し込んで入ろうとしていた、鉄扇に声を掛ける。わかってるよと手を振るとそのまま扉が閉じた。
ぽかんとしたままの壬生に痺れを切らすと、強くなるんでしょと呆れた声を出す。腕を掴めば、戦鬼がそうされたように壬生を部屋の中へと投げ込んだ。
こけるように中に入った壬生は足に伝わる床とは違う、さわりとした少し湿った、皮膚を引っ掻く刺激と広がる緑に目を見開く。門桜が、回収していた壬生の靴を、場所が理解できず呆ける背に投げつける。
「素足でいいならいいけど、さっさと靴履きなよ」
部屋に入り靴を履いて緑の絨毯、見渡す限りの平原に足をつけた門桜は、投げ込まれたままの壬生の尻を蹴る。
「ってぇ!おま……お前なぁ!」
蹴られれば前のめりに地面に、顔を打ち付けそうになった壬生が、両手で踏ん張ると起き上がる。振り返ると説明をしろ説明を!と不満の声を上げた。
「ここは修練の間。ここでの一ヶ月は向こうの5日。さらに言えば、鬼番街も鬼の領域。少し時間をずらしてあるから、外で換算するならって3日って所かな」
これからしばらく過ごす場所へ向かうよ、と説明をしながらサクサクと草を踏みつけて歩いていく。
「は?……ここが鬼の領域!?どういう……」
「君達だって使うでしょう、狭間袋あれは鬼の領域を作る力を応用した、道具だよ。特に空間能力に優れた鬼の血が使われてる。」
狭間袋、決して安いアイテムではないが、鬼狩りには必須とされる携帯袋。壬生もなんとかひとつ持っている。
便利なのはその見た目に反して、その何倍のサイズのものでも入れることができる事。量の限界はあれど、どれだけ入れても重量の変化はしない袋。鮮度の落ちやすいものなどは、そこに入れておけば幾分と保つ。
壬生持つ袋の価格は三十万石と中程度なため、そこまで鮮度を維持はできないが、量は入る。長旅の道具や、報酬として鬼の一部を持ち帰る鬼狩りにとってはなくてはならない袋だ。
式具のひとつなため当然扱えるのは、鬼狩りのみ、数も少なく、価格も高いため一般に流通することはない。
似たような空間魔法などあれど、中に入れているだけで、鮮度の維持までは出来ない。何より長時間物を入れておくにはそれだけ魔力や魔力石を消費する。
「そりゃしってるけど、まさかこの街全部がそうだってのか?しかも、この部屋も?」
鬼の作り出す空間は、鬼の腹の中と言っても差し当たりはない。もし、鬼が領域を発動して囚われれば勝ち目はない。
大きさも、中も鬼それぞれで形も違うが、そこが奴らにとって最も力の発揮できる空間である事は事実。その領域に他者を住まわせる鬼などは聞いたことがない。
頷く門桜に勘弁してくれと言うように首を振る。
「この領域を作ってるのは師匠だよ。それなら納得できるでしょ?」
目頭を抑えながら、放って置かれても困るからとついていく壬生の目に、小さな小屋が見えてくるのと、門桜の言葉は同時だった。
簡単な木造りの小屋の隣には、水の確保のためだろう手押し式の水汲みが、近くには薪割りのための切り株と斧。裏手には厠と、食料保存に使うのだろう、空の氷蔵。
小屋の中に入れば、特におかしなところもなく、入り口すぐの土間には、かまどと水瓶、調理用の台がある。
横を向き、土間を上がれば蓋のされた囲炉裏を中心に板張りの床、端には布団が畳まれて重なっていた。
部屋自体は一部屋なのだろう、今は寒くないから、使う必要話ないから蓋がされているが、冬場は囲炉裏に落ちないよう気をつけなければと、場違いなことを考え壬生は思い浮かべた。
軽い現実逃避だろう。門桜の言葉が、まだ受け入れられないでいる。
小規模な街ならば、斑目の知り合いだったと聞かされてからは、ここに他者を住まわせてるのもまだわかる。
だがここは、引車を使わなければならないほどの大きな街。
まるまる一つが、空牙一人の領域だと話す門桜に、そんな事あり得るか?そう呟いた壬生に対して、こんな所で嘘をついてどうすると鼻で笑った。
「この、場所もそうなのか?」
「そうだよ。領域の中に領域を作ってる」
部屋を見渡し囲炉裏の横に座布団を敷き、腰を落ち着けた壬生が、つくづく規格外の鬼だなと呟くと、門桜が頷いて笑う。
「戦鬼たちの方も、なんだよな?」
二手に分かれているという事は、この領域に少なくとも二つ別の領域ができているということになる。そのどちらも空牙の作ったものだと、当たり前のように肯定する門桜に、空牙という鬼の力の強さに舌を巻く。
「俺の知ってる鬼とは、規模も力も全然ちげぇな」
「鬼は過ごした年数でその力が増すのは、知っているよね?師匠は、この世界が完全に分断される前からいる」
門桜の言葉に、その強さを見ればそれだけ存在しているのだろうと言われれば、少し納得してしまう。壬生の知る限りで、最も長く在ったと思える、斑目でさえ領域はせいぜい、一国の城を覆える程度。
門桜の話では、自分が出会った時には既に、力も弱っていたらしいから、最盛期ならばもっとでかかったのかもしれないが、領域の中に領域なんて芸当までは出来なかったはずだ。
門桜は、壬生が思う所が分かるのだろう、ふっと笑うと、領域の範囲は弱ってても変わらないよそう付け足す。
「世界が分断される前……かどんな世界だったんだろうな」
「今渡れなくなっている境目、あの場所を渡ることができた。もちろん命がけなのは変わりなかったけど」
今のは神の呪いに等しく、渡ればその負荷に耐えきれない。しかし、昔は物理的な障害だった。
荒波を超える技術が、滝を降りる強度が、空高く飛ぶ方法があれば可能だった。実際そうして人々は行き来していた。
「今の世界は、ここみたいなものだね、神が世界丸ごと領域に分けて分断してる」
領域も、決められた入り口以外から通る手段はない。無理に扉以外から、この部屋に出ようと入ろうとすれば、たちまち身体は耐えきれず、生きていたとしても領域の狭間この世界と領域の間に投げ出され二度と戻っては来れない。鬼の領域にとらわれたら終わり、と言われる所以がここにある。
黙り込んでしまった壬生を前に、門桜が突然ぱんっと手を叩いた。ギョッとした顔で顔を上げる壬生に、ニッコリと笑う。
「さてと、ひとまず食べ物取りに行こうか」
私はともかく、君は動けば空腹を感じるでしょうと立ち上がる。
「あ?食いもんあんのかここ」
「生き物はいないけどね、作物は琉木さんが育ててくれてるから定期的に実をつけてくれるから、安心して」
自給自足かと呟いた壬生にそんな所だと、土間に降りる。
靴を履き、行くよと振り返れば少し思案するように顎に手を当てた。
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