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魔道具研究の日々

新しい一年が始まった

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 種の1月からは新入生が入ってきた。

 今日は第二水の日。月に一回の授業の日だ。

 僕は新入生を前にして、オリーが話をしている様子を隣で聞きつつ生徒達を眺めた。教室は新入生でいっぱいだ。オリーの美貌に色めきたっていた生徒たちは僕達の自己紹介でガックリと肩を落としていた。

「俺はオリバー・シャルムだ。こっちがアシェル・ランベルツ。俺たちは唯一だ。仕事上はお前たちが枯渇すれば手を貸す。でも、それ以外での体の関係は断る。そのつもりで、勉強に励め」

 オリーが冷たい声で最後言い放つと、ブルっと体を震わせる生徒が何人かいた。近頃のオリーは僕が何かされることにピリピリしているので、僕に色目を使っていた生徒に牽制の目線を送ったようだった。僕はクスッと笑ってから教室にいる生徒たちに声をかけた。

「では、魔力を操作することの重要性と貯蓄魔力の使い方。また魔力感知の方法や譲渡の方法について教えるね」

 僕が朗らかな笑顔で微笑んだことで、ピリッとした雰囲気は和らいだ。今日は僕が主導で授業を進めることにしたため、オリーは僕の近くで生徒たちに厳しい視線を送りながら僕の授業を見守っていた。

 教科書を読んだり、板書をして説明をしていると二つの反応に分かれた。

 譲渡の方法を聞いたことで、僕達と触れ合える機会があると期待する人と自己管理を徹底しようと真面目に取り組む人に分かれたようだ。僕はある態度説明を終えると、最後に一言付け加えた。

「僕達は君達が儚くならないように魔力を譲渡する仕事もしてる。でも、君達の魔力保有量を感知する魔道具を保有しているんだ。だから、枯渇した演技をしても無駄だからね。それに、僕達に譲渡して欲しいからって…無駄に魔力を使って枯渇するように仕向けるようなおバカで無駄な事をするために学校にきたわけじゃないよね?あと、どうしても魔力調整が苦手な子には学園から魔力保有を感知する魔道具の支給があるよ。学園から借りるものになるから…壊したりしたらかなり高額みたい。気をつけてね?」

 ニッコリ微笑むと、触れ合いを期待していた人は冷や汗をかいているような顔になっていた。僕はうまく釘を刺せたかなっと満足していると、オリーが追加の釘を刺していた。

「譲渡を利用した生徒は常に記録してる。学園で頻度を把握してるから、それが成績に響くようになる。つまり、おバカのままだと進級できない可能性があるってことだ。まぁ、お前らは違うよな?期待してるぞ」

 今までなぜなかったのか不思議でしかない〈利用者記録〉をアイザックさんと僕達2人で相談して導入することになったのだ。そして、アイザックさんからの提案で成績に影響するようにしたのだった。

 これで問題児が減ってアイザックさんの悩みの種は減り、僕達の悩みの種も減った。新入生が来る前に導入されているため、在校生達も僕たちの部屋に来る頻度は減っていた。カローさんも3年生になってからはめっきり来なくなっていた。

 その後は隣同士で魔力操作と感知を皮膚接触で体験させた。うまくコツを掴めた人と上手くできない人を組み合わせたり、僕達が生徒の手を握って直接感知をうながしたりした。オリーは僕が生徒の手を握るたびにピリピリしていたため、生徒たちはだんだん僕たちに頼まずに生徒同士で試行錯誤し始めた。

 今回の新入生はなかなか優秀なようで、上手く感知できない生徒は数人だけだった。その生徒には次回も授業受けるように伝えて、コツを掴めた生徒には参加は自由だと伝えて授業を終えた。

 僕はオリーと手を繋ぎながら教室から出ると、いつもの部屋に向かって2人肩を並べて歩いた。

「ふー。上手くできたかな」

「かなりな。教えるのも上手いな」

 オリーは優しく微笑むと僕の額に口付けた。僕達は廊下で立ち止まって啄むような口付けを数回繰り返してから部署に戻った。

 


 それから譲渡の仕事は週に一回あるか、ないかになった。この部署は必要なのかな?っと疑問に思いつつも、学園設立当初からある部署なのでこの国の国民性を考えると必要なのかなっと1人納得していた。

 僕達は生徒が来る頻度が減ったことで、やっと魔道具の研究をすることができるようになったのだった。

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