ホントの気持ち

神娘

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17、真実を

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城崎side

次の日も夕紀は欠席だった。
担任に聞くと、父親から熱があるから欠席させると連絡があったらしい。


熱か……本当か疑わしいが、もし本当ならば心配だ。


今日はいつも通り授業を終わらせ、夕方から名取先輩と話をする日だ。




夕方になり担任と一緒に病院へ向かった。

俺の車で病院に向かう途中、担任から校長へ大まかに説明をしたこと、そして、校長からは今は2人に任せるが何かあったらすぐに連絡してほしいと言われた事を聞いた。


いつでも連絡が取れるようにと、校長の電話番号が書かれた名刺を渡された。


正直何かあってからでは遅いが、今はできることをしようと思った。


病院に着くと入口で名取先輩が待っていてくれていた。

「こんにちは、初めまして宇崎中学校の城崎です。
こちらは夕紀君の担任です。この度はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます。」


挨拶をしている間、名取先輩が俺の顔をじっと見ていた。
何か変な事を言ったのだろうか。

「間違っていたらすみません、城崎先生ってもしかして私と同じ大学だったり……」

気まずそうに聞いてきた。
まさか覚えていてくれているとは思わず驚いた。

「そうです。名取先生の一つ下の学年で1度だけ一緒に講義を受けたくらいですが、覚えていてくださっていたとは、」


「やっぱり、いや~なんか印象深くて、電話の時に言ってくだされば良かったのに」


「いや、まさか覚えてくださているとは思っていなかったので、」


「まぁ確かに城崎先生以外は覚えている自信がないですねw」

さっきまではお互いに緊張していて硬い雰囲気だったが顔見知りと知ってからは話しやすくなった。


「では、個室に案内します。少し狭いですが、すみません。」


「いえ、大丈夫です。場所を用意していただきありがとうございます。」


面談室に案内された。


「コーヒー飲めますか?」


「飲めます。ありがとうございます。」

名取先生と向き合う形になり座った。

「空が何かあったんですか?」

名取先生の方から話を切り出してくれた。


「私は夕紀君の体育の担当をしているのですが、先日体育の授業中に____っということがありまして、その時に異常に怯える様子や、手首にリストカットの傷があり私が見る限り夕紀の精神状態が正常ではないと感じました。それで.......」

虐待だと断定できないのに、家族に虐待を疑っているとは言えない。なんて言えば良いんだ.......
言葉を迷っていると名取先生の方から驚く言葉が飛んできた。

「つまり、城崎先生は虐待を疑っているという事ですね。」

「いや、その、まだ断定はできませんが...」


「私も、もし城崎先生と同じ状況にいたら虐待を疑っていると思います。
  あの父親は空が幼い頃、空の母親、つまり私の姉にDVをしていました。
それに耐えきれず姉は逃げるように海外で仕事をするようになり今も海外で働いています。
そんな人なので空を虐待をしていてもおかしくないと思います。」


「そうだったんですか...」
全く知らない事実だった。


「空が小学校低学年の頃まではたまに顔を見に行っていたのですが、仕事が忙しくなってなかなか会いに行けていなくて...もっと気にかけていれば良かった。」


「いえ、名取先生が悪いわけではっ」

ピピピ!!ピピピピピ!!
内線が鳴った。


「お話中にすみません、急患が入ってしまって」


「いえ、私たちは大丈夫ですから行ってください。」

名取先輩は急いで部屋を出た。

後から自分達も部屋を後にした。
車に乗ろうとすると携帯が鳴った。

画面には太山病院と書いてあった。
「はい、もしもし、城崎です。」

「もしもし、名取です。まだ近くにいますか?」

「病院の駐車場にいます。」

「さっきの急患の患者が空だったんです。4階から落ちたらしく、病院に来ていただけませんか?」


「分かりました!すぐ向かいます」
電話を切り急いで病院へ戻った。





病室に着くと傷や痣だらけの夕紀の姿があった。
「右腕が骨折していました。おそらく落ちた時に折れたのだと考えられます。落ちた時の怪我よりも体中の痣の方が酷いです。それに栄養状態も悪いので点滴で栄養を入れている状態です。」

名取先輩が様態を説明してくれた。

「目は覚ますんですか?」


「おそらく明日くらいには目を覚ますと思います。」


「そうですか、良かった。」
目を覚ますと聞いて安心した。
と同時になぜ4階から落ちたのかが気になった。
「自殺···ですか?」


「父親に落とされた可能性もあるのでまだ自殺か他殺かは分かりませんが、体の傷や痣から虐待を受けていたことは間違いありません。
父親は虐待をしていたとして警察に連れていかれたそうです。」


夕紀が困っている事、異変に気付いていたのにも関わらず助ける事ができなかった。
もっと何かできたかもしれないのに、後悔が頭を駆け回った。


「学校に連絡してきます。」
校長や神山に伝えるため病室を後にした。



校長と神山に連絡をした。
校長は今から病院に来るらしい。
神山は明日俺と一緒に病院に行くことになった。




校長は病院に来て夕紀の様子を見てから名取先輩と話すため病室を出た。

病室に戻ってくると、夕紀は名取先輩が面倒を見ることになった事を聞いた。

「空の面倒は私が見ます。しかし、こういう仕事をしているので家を空けることが多くなってしまうのでそこが不安で、もし宜しければ城崎先生にたまに空の事をお願いしたいのですが…いいですか?」


「はい!ぜひ力にならせてください。」
名取先輩が自分を頼ってくれた事が嬉しかった。
夕紀の事を安心させてあげたいという気持ちが強まった。


「城崎先生頼んだよ。何かあったらいつでも言ってきてくれ。
 では、私は今から夕紀君のお父さんのところに行ってくる。」
と言って、校長先生は警察署に向かった。



自分たちも夕紀の事を名取先輩に任せ病院を出た。
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