ホントの気持ち

神娘

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120、空の優しさ

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名取side


「おはよう。」

「…おはよう。」

「難しい顔してどうした?眠れなかったか?」

「うーうん、眠れたよ。大丈夫。」

俯いて一点を見つめている。

「そうか?大丈夫って顔してないから言ってるんだけどな、俺には言いずらいこと?」

「うーうん、ちょっと考えてただけ。」

「考え事?」

「…昨日言ってたこと…」

「どう考えてたの?」

昨日自分も父親のように虐待をする人になるかもしれないって話か。

「…僕は許さないことしかできないけど、刑務所には父さんがしたことをちゃんと怒って向き合ってくれる人はいるのかなって思って。」

許さない優しさって言ったことか、自分の事だけじゃなくて自分を傷付けた父親を心配してるのか。
はぁ、俺はそんなに優しくなれないよ。

「空は本当に優しいな。刑務所にはちゃんと怒ってくれる人がいると思うよ。悪いことをした人が集められるところだからそういう人を相手にするプロがいるんだと思うよ。」

「そっか、ちゃんと怒ってもらえてるんだ。」

「うん、怒られてると思うよ。まぁ、怒られて反省して心を入れ替えれるかは本人次第だろうけどね。」

「そっか…」

「怒ってほしかったの?」

「うん、怒られないと悪いことって分からないから…僕も病院のお風呂で水被ってお湯でぶくぶくして陽ちゃんに怒られて、その時は怖かったしどうして怒られたのかも分からなかったけどちゃんとお話してあれが悪いことって分かったから。ちゃんと怒って向き合ってくれる人が僕にはいるけど父さんにいるのかなって気になって、」

「そういうことか、そうだな。言われなきゃ分かんない事ってあるよな。」

「うん、」

「刑務所にもちゃんと向き合って正しい道に導こうとしてくれる人がいるよ。」

「そっか、良かった。」

「あんなに辛い環境だったのに空は良い子に育ったな。」

頭を撫でてそう言うとどういうことか分からないっといった顔でこっちを見てきた。

「空はこのままでいてほしいなって思っただけだよ。」

「このまま?」

「そ、このまま、素直で優しい心を大切にしてね。強いて言うならその優しさをもう少し自分に向けられたらもっと良いんだけどね笑」

「自分に…優しく?」

「そ、自分に優しく。難しく考えなくていいよ。少しずつ分かっていったらいいから、それまではその分俺が空に優しくするから。」

「陽ちゃんはずっと優しいよ。」

「ホント~?ありがとう、空の優しさには負けるよ笑」

「そんなことないよっ、陽ちゃんはずっごい優しいんだよ。僕のこと助けてくれて、生きていいって言ってくれた。泣いても弱音吐いてもパニックになって自分のこと傷つけても大声出して暴れても陽ちゃんは怒らずずっと傍にいてくれた。陽ちゃんは優しいよ。」

「…ありがとう。」

どれも当たり前のことだけど空にとっては当たり前じゃなかったと思うと胸がぎゅっと傷んだが気付かないふりをしてギューッと空を抱きしめた。
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