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101、不安と安心 奏side
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「何してるの?」
え…っと…
特に何かをしていたわけじゃない。
ただ、
「どうした?不安になった?」
不安じゃない…だって斗真さんが隣にいてくれるから、
「手、離そうか」
え?
そう言って右手を外された。
僕の左腕には赤い痣が残っていた。
これ、僕がしたの?
無意識に右手で左手首をつまんでいたらしい。
「おいで、 大丈夫、大丈夫、」
優しくぎゅっと抱きしめられ胸にあったものが少しずつ流れていく。
「不安なんだよな。」
「ちがう…」
「そっか、違うか。そっかそっか、」
否定した僕の言葉をなぞるように背中をゆっくり撫でて体を包み込んでくれた。
僕の気持ちを悟られてるようで、
本当は悟ってほしくてぎゅっと斗真さんの服を握りしめる。
不安じゃないって思いたい気持ちと、隠しきれない不安が対立し合って心からこぼれてしまいそう。
それでも僕は不安じゃないって思いたいんだ、だってこれ以上の安心なんてない。
少し安心を手に入れたらもっともっとって欲張りになっちゃう。
これ以上の安心を手に入れたらもう前の世界に戻れなくなっちゃう。
やっと痛みに慣れたんだ。
やっと表情や感情、声を無くして全部我慢できるようになったんだ。
それなのに…それなのに……
明るい世界に染まっていく自分が怖い。
え…っと…
特に何かをしていたわけじゃない。
ただ、
「どうした?不安になった?」
不安じゃない…だって斗真さんが隣にいてくれるから、
「手、離そうか」
え?
そう言って右手を外された。
僕の左腕には赤い痣が残っていた。
これ、僕がしたの?
無意識に右手で左手首をつまんでいたらしい。
「おいで、 大丈夫、大丈夫、」
優しくぎゅっと抱きしめられ胸にあったものが少しずつ流れていく。
「不安なんだよな。」
「ちがう…」
「そっか、違うか。そっかそっか、」
否定した僕の言葉をなぞるように背中をゆっくり撫でて体を包み込んでくれた。
僕の気持ちを悟られてるようで、
本当は悟ってほしくてぎゅっと斗真さんの服を握りしめる。
不安じゃないって思いたい気持ちと、隠しきれない不安が対立し合って心からこぼれてしまいそう。
それでも僕は不安じゃないって思いたいんだ、だってこれ以上の安心なんてない。
少し安心を手に入れたらもっともっとって欲張りになっちゃう。
これ以上の安心を手に入れたらもう前の世界に戻れなくなっちゃう。
やっと痛みに慣れたんだ。
やっと表情や感情、声を無くして全部我慢できるようになったんだ。
それなのに…それなのに……
明るい世界に染まっていく自分が怖い。
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