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《314》

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彼は意識を取り戻していた。

ずっと前からだ。
きっと、今日が初めてじゃないと、すぐに理解出来た。


「あ·····っや·····なんで·······っ?」


開くことを願っていた赤が、こちらを見つめている。
彼はノワの足先から上へ向かって視線を流し、胸元へ顔をうずめてきた。


「や·····っ♡」


乳頭に吸いつかれ、甘く噛みつかれる。


「あっ」


長い指は一度孔をほじり、さっきみたいにへそ裏をなぞりながら抜けてゆく。
乳頭から離れた唇が、ちゅぽ、と、濡れた音を響かせた。


「ノワ·····」


媚薬みたいな声だ。

ノワは震えながら頷いた。
のしかかるように押さえつけられ、潤った肉壁に、ゆっくりと鉄槌がくい込んできた。


「あ·····!」


身体をこじ開けられて、他の生物を受け入れるような異物感に、震え上がる。
切なさを訴えていた箇所も、重圧に押しつぶされる。

一瞬、気が遠くなる。


「はぁ·····あぁ·····っ·····ん·····!」

「お前·····」


ノワはシーツをにぎりしめた。
彼と繋がってゆく。
強制的に解されてゆく弱いところが、無意識に強弱を繰り返す。


「·····初めてか?」


「へ·····っ·····あっ♡」


足先は、思わずピンと伸ばされる。
真上で、ゴクリ、と、大きな喉仏が上下した。

ノワは浅い呼吸を繰り返しながら、イアードを見上げた。


(なんで、そんな目)


炎のように燃える目が、余すことなくこちらを見ている。
受けいれた結合部から、興奮収まらず立ち上がった突起まで、全てイアードに丸見えだ。

視線にさえ犯されているみたいだった。


「なぁ·····」

「あんっ♡」


驚いて唇をかみ締める。
女みたいな声が出た。


「初めてなのか?」


そんなの、いちいち言いたくない。
わかったならそれはそれで、黙っていてくれればいいものを。そもそも、そんなことを聞く意図が分からない。

耐えきれず、顔を逸らす。


「ひ·····っ♡」


熱はさらに奥へと押し込まれてきた。
ノワは慌てて頷いた。


「初めて、だから·····っ」








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