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🍸49.首輪と猫🍾
しおりを挟む「のえるくん」
何とか腕の中から逃れようとしたら、彼は逆にこっちのしたい事を聞こうとして顔を近づけてくる。
「ちが·····」
「うん、ミチルちゃん」
「ん、ぅ」
宙ぶらりんの足先が心許ない。
話すのを待ってるみたいだ。
「ディアブロに、もどってきてほしいの」
「··········────」
「ぁっ」
長い足は廊下の奥へ進んだ。
薄暗い部屋だ。さっきまで家にいたはずなのに、なぜ電気をつけていないんだろう。
扉の隙間から、パソコンの光がうるさい部屋を通り過ぎる。ガラス張りのシャワールームもとおりすぎたら白と黒で統一されたリビングがあった。
タワーマンションの最上階。
夜の東京駅は、あまりにも華やかで冷たい。
「どうして?」
「ど、してって·····」
「頼まれたの?」
ここに来たのはそのためと、聞いてくるのだ。
それ以外にあるとするなら、どんな用事だろう?頷いて、ちょっと俯く。
頬を撫でられて、彼はまだこちらを抱き上げたまま暖房をつけた。
「そしたら、その·····っ」
「·····」
無言が怖い。
どうして責められてるような気持ちになるんだ?
「ぁっ·····」
中指がすくい上げるようにして紙バックを奪い取った。
片手で中を確認して、湖色に燃える瞳が、例のカチューシャを取り出す。
フワフワで、耳がピンと立ったクロネコの耳だ。
「·····かわいいね」
「·····っ」
器用にこっちに取り付けて、後頭部を擽るように撫でられる。
「··········」
ノエルは端末を取りだし、何かを確認して、それからうろたえるこちらをしばらく見た。
唇には密やかな笑みが浮かんでいた。
「いいよ」
「·····ほんとに?」
「うん····」
可愛いは余計で、また頭を撫でられながら、彼は部屋のさらに奥へ進む。
真っ暗な部屋だ。
何も見えない。
少し怖くて、彼の腕にしがみつく。大丈夫だよと優しい声がいいながら、オレンジの灯りをつけた。
「·····ぇ·····?」
寝室だ。
寝心地の良さそうなベットが、部屋の中央奥へでかでかと置かれている。
「ふ、へ、?」
ただのベットルームなのに、彼が無言でマットの上に自分を乗せるから、焦ってしまう。
相も変わらずビクビクしてるこちらと目線を合わせて、ノエルはとろけるように笑った。
「──そうしたら、ミチルちゃんを飼ってもいいんでしょ?」
「·····え?」
カチリと首元で音がする。
紙袋に入っていた首輪だ。
横のテーブルに置かれたスマホ。見えたのは《壇》の文字。
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