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116.🍸彼のモノ🍾
しおりを挟む意識が遠のく頃、名前を呼ばれた。
今までの忌々しそうなのとは違う。とても清々しくて、機嫌の良さそうな声だ。
「お前は一生、俺だけの奴隷だよ」
夜通し身体を弄ばれた。
意識が朦朧として、少し寝ていたと思う。日が出てきた頃、電子タバコを片手に彼は言った。
今後はディアブロにも、ミ・カリーナにも行かなくていい。
否行く必要は無い。ただ自分だけに従い、与えられる罰を待てば良いと。
「借金は返せないって。俺の奴隷になるって言えばいいんだよ。ん?」
泣き濡れて赤く擦れた頬をツンとつついて彼がほほ笑みかける。
こんなに優しげな笑みを見せてくれたのはいつぶりだろう。
分からない。
素敵な笑顔と一緒に求められた返事は、受け入れられるものではなかった。
一緒に地獄へ落ちよう。
そう言っているように聞こえた。
「だめ」
震わせた声の後に乾いた音が響いた。
頬を叩かれて、思わずそこを押さえたら、反対側を叩かれる。
逃げようとしても無駄だった。
素っ裸になるように命令されて、ベルトを鞭代わりに背中や尻、腿をぶたれた。無言を貫いて、動物みたいな声が漏れる。
暫くしたらわけもわからず泣きながら謝る自分がいて、否応なしに拘束されたまま犯されていた。
「んぉ"ッ♡♡♡」
最奥に注がれて、尻を突き出したまま倒れ込んだら、空いた穴に小型のディルドをねじ込まれる。
「お前に拒否権あると思ってんの?」
長さは指の半分くらい。肉をこねるように動き出した玩具は抜けないよう防水テープで止められてしまう。
「あぅ"♡♡や、ぁ♡♡ハルくッ♡♡これらめ♡♡」
「じゃ今日人間の言葉喋るの禁止ね」
なんかうぜーから。そんな理由をつけて、会話は終了する。
日が暮れる頃彼は部屋を出ていった。全身が沈むように重たくて、しばらく動くことができなかった。
それから少し泣いた。
素っ裸のまま、玩具を咥えているのが辛かったからではない。それよりも、どうしようもない現実への絶望と、ハルキを想って泣くしか無かった。
時間にすればたった数時間は、何日にも感じた。
目隠しの向こうがうす明るくなる。
「ただいま」。告げられながら視界が開けて、仕事用に髪をセットしたハルキが現れる。
「反省できた?」
わざとらしい猫なで声に俯いて涙をこぼす。
床はぐっしょり濡れていた。沢山おもらししちゃったねと微笑む男は、とても優しげに頬を撫でた。
「明明後日ダンさんに話に行こっか」
「·····へ·····」
「もう出来ないって」
そうすれば今日はもう許してやるし、救済の措置をやると言う。
「一緒に言ってやるから」
乙女が呼吸を忘れるような美男子の微笑み。
それは、薄い硝子のように危うく脆いことを知っている。
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