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二章
re.《412》ハチミツ
しおりを挟む「知らないでしょう」
あまりにも理解し難いセリフだ。
否、意味はわかる。けれども、全く理解できない言語にすら聞こえる不気味さだ。
「·····ジェロ·····?」
伸びてきた手がそっと頬に触れる。
怒っているようにも聞こえたのに、触れられると、それはと少し違うとわかる。
彼を傷つけた気がした。
その男にしてはとても珍しく、戸惑うように離れてゆこうとする手。
彼はもしかしたら、自分が思うよりもずっと自分のことを見ていたのかもしれない。
それはどうして?
冷たい手にすり寄ってみせたのは、彼を慰めたいと思った。
それだけだ。
「ミチル様は、とても魅力的なお方です」
彼が伝えたかったのは、最後のそれだけに尽きるということを分かってしまえば、もう何も反抗できない。
その日の自室は、はちみつを溶かしたような暖かさだった。
───その部屋には、時折一人の声が零れた。
ベットへ仰向けになって、何やらブツブツ言っている青年のものだ。日が暮れる前にもかかわらず、それはどこか不気味だった。
他人から見れば独り言───然し、実際は少し違っていた。
「あぁ·····気が付かれるはずがない·····」
呆然と宙を眺めながら、シアンと桜色の瞳が揺らめく。
一瞬混ざりあったフチが、薄い紫を帯びる。
それは悪魔の色だ。
「あはは」
思わずというようにこぼれた笑みは無邪気だった。
今日は中々愉快だ。可愛い母親と昼食を共にできなかったのは残念だが、代わりにそれなりの収穫があった。
それはそうと、バスケットいっぱいに入ったお菓子やパンや、ケーキなんかを思い出す。
あれをどんな思いで詰め込んだのだろう。
きっと可哀想な我が子を思いながら、小さな手がせっせこ握りしめたに違いない。
「あー·····」
一緒に食べるのなんかを想像しただろうか。
自分の気に入っている物を食べて欲しくて、好物ばかり·····───。
「はぁ·····♡」
想像だけで昂った雄を、あの膣壁に擦り付けるのを夢見て扱く。
こちらをいたわる慈愛のこもった眼差しを見つめながら、戸惑い逃げ出してしまおうとする両手や両脚なんかを拘束して、動物の交尾のように腰を打ち付け、種付けするのだ。
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