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二章
re.《423》話したいこと
しおりを挟む「今日は、このままおねんねしようね」
「ヨハネス」
そんなわけには行かない。
マナを補給させるのは自分の責務だ。
何より、彼に話したいことがある。
名前を呼んだら、相手は嘘みたいに静止した。
それが何故か、こちらの言葉を阻むものは、全て排除しそうな気配を持つ。
ヨハネスのこういう所は、未だに慣れない。
「ルビーは、家族だよ」
語尾はちょっと震えた。
悪魔は皆無慈悲で強欲だと思っていた。そしてまさしくその通りだと思い知った。
ルビーも例に漏れず、悪魔の子だ。
親だって、家族だって関係ない。欲しければ底はなく、時には狡猾に、甘い餌で誘惑し、そして邪魔なものは手段を選ばず排除しようとする。
けれど、この自分に愛を望んでいる。
悪魔は誰かを愛し、慈しむ心があるのだ。
ヨハネスとルビーは、立派な親子関係なのだ。
それはかけがえのない存在。
憎しみ殺し合うなんて、間違っている。
「うさぎちゃんは、優しいね」
やがて、肯定でも否定でも、容認でも拒絶でもない返答がくる。
押し付けるようなキスを仕掛けて、じっと相手を見つめる。
驚いた顔は、むしろこちらが驚くほどあどけなく洗練された美貌だ。
すぐに臆病が顔を出すが、逃げることはしない。そっとフォークを取り上げられて、抱きしめられたままベットへ押し倒されていた。
「キスしていい?」
聞かなくても、許可なんて必要ないのは分かっているだろうに。
チラチラと視線をさ迷わせてから、小さく頷く。高い鼻は既に傾いていて、唇同士が擦れ合った。
啄むようなキス。やがてリップ音は濡れだして、舌で唇を拭われる。
恥ずかしい音に震えた手は、胸の前で握りしめる。
胃ゾワゾワするのに気持ちいい。緩んだ唇から入り込んだ舌が、そっとこちらの舌に絡んできた。
「ンン·····♡」
甘いキスに腰が痺れる。
撫でるように服を脱がされて、気がつけば全裸だ。
「にゃぅ♡」
恥じらうこちらを捕まえて、彼は温い口付けを続ける。
何度か唾液を飲み込んだ。
媚薬が含んでいるみたいだ。
へふへふと情けなく呼吸して酸素を取り込むたび、彼の匂いがする。
キスだけで、しばらくの時間を要していた。
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