君の隣は、蛍火と夜

名雪

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付き合えるもんなら付き合いてぇよ

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「なぁ、一ノ瀬ってさ」

「んー?」

「B組の間宮と付き合ってんの?」

「……っはぁ!?」

俺が、蛍火ケイカと付き合ってる? そんなわけねぇ。

むしろ、嫌われてる。

「俺が、アイツと付き合ってるわけないだろ!……ったく、誰が言い出したんだ?」

「お前らが一緒に帰ってるの、見たやつがいるらしい」

「それだけで、付き合ってるって……?アイツは、ただの幼馴染!」

「ふぅん、つまんねーの」

俺だって、付き合えるもんなら付き合いてぇよ。

こっちの気も知らずに、外野は好き勝手騒ぎやがる。

間宮――間宮 蛍火ケイカとの出会いは、十年前。
あの夏から、十年も引き摺ってる。


♢♢♢


蛍火はいつも、一人でいた。

親の姿も見たことがない。

遊び相手に丁度いいから誘った。ただ、それだけ。

「けーちゃん!けーちゃん!今日も遊ぼう!」

「りょーちゃん」

夏の日差しは、目を射るほど眩しく、それでいて心地よかった。

「今日は俺ん家来いよ。爺ちゃんがスイカもらってきたんだ」

「えっ、本当に? 僕、スイカ食べたことない」
 
「はぁ!? まじかよ!」

蛍火は、人と違ってた。

俺や皆にとっての当たり前は、蛍火にとっての当たり前じゃなかった。

スイカの味も知らない蛍火。
特大のスイカを半分こにして、一緒に食べた。

夏祭りに行ったことがない蛍火。
明るい屋台が並ぶ夜道を、手を引いて二人で歩いた。
 
ハロウィンの仮装、雪合戦、春には四葉のクローバー探しもやった。

何をやっても、蛍火は新鮮そうな目で笑ってた。

いつからだろう。
蛍火の知らないこと、俺が教えてやらなきゃって思うようになってた。

アイツが笑ってたら、俺も嬉しいから。

それを恋っていうのは、あの頃まだ、知らなかったけれど。
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