3 / 28
1章
3話 準備 〔前編〕
しおりを挟む
異世界転生して初めての朝だ。
雲一つない快晴!
幸先がいい。
朝食は魚にした。和風に。
美味しいんだよなあこれが。
塩は、名前は違えどこの国にもあるそうだ。
魚の塩焼きをこっちで食べられるなんて思っていなかった。
「全・回・復!」
リーノア
「おー!
明日が決戦の日ですね!
私共も最善を尽くして頂きたいと思っていますので、何か私たちにできるようなことがあれば何なりと申し付けください!
応援しています!」
「あー。転生最高だぁ。
目が覚めたら最強になって、かわいい女の子に応援されるとかまじで俺幸せ者すぎるな~。」
リーノア
「ちょっと何言ってるかわっかんないです。あっははっ!」
守りたいこの笑顔。
今日は、ある程度自分の力について、明日に響かない程度に調べていこうと思っている。
さすがにリーノアにも見られるのは良くないと思うから、どこか人目につかないところを探さないといけないなあ。
「リーノアさんは、この辺りであまり人目につかない場所とか知っていますか?」
リーノア
「うーん。このあたりだとあまりないと思います。
魔術結界ではだめなんですか?」
「・・・あー魔法結界ねーはいはい。そういえば忘れてたやー。」
リーノア
「一応確認なんですけど・・・魔術結界についてご存じですか?」
「・・・」
リーノア
「魔術の基本中の基本の技みたいなものです!
自分の魔術式で自分を覆うことで、術式空間内を外界とは完全に隔離させることができます。
自分の術式の耐久性次第ですが、それによっては中で訓練もできると思いますよ!」
「明日に武道会を控える身で言うのは気が引けるんだけど、魔術についての一切を知らないんだ!
とりあえず一から教えてくれないか?」
リーノア
「私はただの受付嬢なので大した魔術、魔法は使えませんが、私なんかで良ければもちろんです!」
可愛いが過ぎるのに、優しいが過ぎる。
「ありがとう。本当に助かるよ。」
リーノア
「いえいえ、全然気にしないでください!
私も暇なので!
それでは、始めましょう!
それじゃあ、まずは魔術、魔法についてからお話ししようと思います。
このあたりの話は全くご存じない、ということでよろしいですか?」
「恥ずかしながら・・・。」
リーノア
「大丈夫です!私が一から教えるので、任せてください!」
あらやだ惚れそう。
リーノア
「ではまずは、魔法、魔術のそれぞれについて解説していきます!
そもそも、世界にはマナというものが漂っています。
そして、それを使って何かを作ったり、衝撃を与えるのが魔法です。
発動者は魔法発動時に体内に備わった【マナの楔】というものを介して魔法を発生させるのですが、その楔の行使に体力や集中力を必要とします。
一方、魔術はそれらとは大きく異なるもので、この魔という字は、魔人という言葉が由来です。
魔人とは、私たちエルフや、貴方たち人間など、この世の全ての種族の能力を優に凌駕する能力をもつ存在のことです。
その昔、この世界に魔人が存在していてたらしく、その中でも一際優れた能力をもつ魔人が魔人族の長となりました。
しかし、それに納得がいかなかったほかの魔人たちが、ある日大勢で魔人の長を殺害しようとします。
ところが魔人の長はほかの魔人とは比にならない力を持っているので、大勢で襲われても、たった一人でその軍勢と互角かそれ以上の力を発揮します。
ですがその戦いの最中、魔人の長は自分の死後、この魔人たちがこの世界をあってはいけない形にするかもしれないということを危惧し、その場で戦うのを止め、後に生まれる生命に命の危機が訪れた際、それぞれがそれぞれの力でその危機を脱出できるよう、残る全ての力を振り絞って魔法を発動しました。
この時に必要としたマナの量はこの世全てのマナだったと言われています。
この魔法の発動対象が、後世を生きるすべての生命というあまりにも莫大なものでしたので、その反動で魔人の長は灰となり命を落としてしまいます。
しかし、その魔法のおかげで、こうして後世を生きる私たちの体にはその魔人の力の一部が受け継がれている、というわけです。
ちなみに、その魔人の長を襲った魔人たちは同種族間で争いを起こし、結果として全滅してしまいました。
また、その魔人の中には長のことを良く思っていた人たちも多くいたそうですが、彼らは長の墓を作った後、
『我々の長と共に』という言葉を残して自害してしまったと言われています。
このお話は国を問わず有名ですが、ご存じありませんか?」
「いやぁ。ほんと山奥の小さな村で育ったから、外の話とか全然分からないんですよ。
でも、理解はできました。
いい話・・・ってわけでは無いですけど、何かこう、心にジーンとくるものがありますね。」
リーノア
「わかります!私このお話、良くお母さんにしてもらってたんです!」
「・・・でも、なんでその場で全滅させなかったんだろう。
互角以上の力があるのであれば、全滅させればほかの魔人たちが原因の悪事は起きないとおもうんです。」
リーノア
「うーん、そんなに頭が回らなかった、とかですかね?
すいません、私もそのあたりのことは分からないです。
・・・あ、その魔人たちみたいに力でほかの存在を貶めようとするものから守るためなんじゃないですか?」
「・・・確かにそれは一理ありますね。
そもそも、この話は事実なのでしょうか・・・。
ほら、作り話だった、とか。
まあ、僕がするべきなのは他なんですけどね!」
リーノア
「あっははは!
そうですね!私たちは明日に向けて頑張るんですもんね!
それじゃあ、あとはまず実践してみてから考えましょう!」
「そうですね!頑張ります!」
一層やる気が増した。
明日、明後日に向けてできるだけのことはしよう。
雲一つない快晴!
幸先がいい。
朝食は魚にした。和風に。
美味しいんだよなあこれが。
塩は、名前は違えどこの国にもあるそうだ。
魚の塩焼きをこっちで食べられるなんて思っていなかった。
「全・回・復!」
リーノア
「おー!
明日が決戦の日ですね!
私共も最善を尽くして頂きたいと思っていますので、何か私たちにできるようなことがあれば何なりと申し付けください!
応援しています!」
「あー。転生最高だぁ。
目が覚めたら最強になって、かわいい女の子に応援されるとかまじで俺幸せ者すぎるな~。」
リーノア
「ちょっと何言ってるかわっかんないです。あっははっ!」
守りたいこの笑顔。
今日は、ある程度自分の力について、明日に響かない程度に調べていこうと思っている。
さすがにリーノアにも見られるのは良くないと思うから、どこか人目につかないところを探さないといけないなあ。
「リーノアさんは、この辺りであまり人目につかない場所とか知っていますか?」
リーノア
「うーん。このあたりだとあまりないと思います。
魔術結界ではだめなんですか?」
「・・・あー魔法結界ねーはいはい。そういえば忘れてたやー。」
リーノア
「一応確認なんですけど・・・魔術結界についてご存じですか?」
「・・・」
リーノア
「魔術の基本中の基本の技みたいなものです!
自分の魔術式で自分を覆うことで、術式空間内を外界とは完全に隔離させることができます。
自分の術式の耐久性次第ですが、それによっては中で訓練もできると思いますよ!」
「明日に武道会を控える身で言うのは気が引けるんだけど、魔術についての一切を知らないんだ!
とりあえず一から教えてくれないか?」
リーノア
「私はただの受付嬢なので大した魔術、魔法は使えませんが、私なんかで良ければもちろんです!」
可愛いが過ぎるのに、優しいが過ぎる。
「ありがとう。本当に助かるよ。」
リーノア
「いえいえ、全然気にしないでください!
私も暇なので!
それでは、始めましょう!
それじゃあ、まずは魔術、魔法についてからお話ししようと思います。
このあたりの話は全くご存じない、ということでよろしいですか?」
「恥ずかしながら・・・。」
リーノア
「大丈夫です!私が一から教えるので、任せてください!」
あらやだ惚れそう。
リーノア
「ではまずは、魔法、魔術のそれぞれについて解説していきます!
そもそも、世界にはマナというものが漂っています。
そして、それを使って何かを作ったり、衝撃を与えるのが魔法です。
発動者は魔法発動時に体内に備わった【マナの楔】というものを介して魔法を発生させるのですが、その楔の行使に体力や集中力を必要とします。
一方、魔術はそれらとは大きく異なるもので、この魔という字は、魔人という言葉が由来です。
魔人とは、私たちエルフや、貴方たち人間など、この世の全ての種族の能力を優に凌駕する能力をもつ存在のことです。
その昔、この世界に魔人が存在していてたらしく、その中でも一際優れた能力をもつ魔人が魔人族の長となりました。
しかし、それに納得がいかなかったほかの魔人たちが、ある日大勢で魔人の長を殺害しようとします。
ところが魔人の長はほかの魔人とは比にならない力を持っているので、大勢で襲われても、たった一人でその軍勢と互角かそれ以上の力を発揮します。
ですがその戦いの最中、魔人の長は自分の死後、この魔人たちがこの世界をあってはいけない形にするかもしれないということを危惧し、その場で戦うのを止め、後に生まれる生命に命の危機が訪れた際、それぞれがそれぞれの力でその危機を脱出できるよう、残る全ての力を振り絞って魔法を発動しました。
この時に必要としたマナの量はこの世全てのマナだったと言われています。
この魔法の発動対象が、後世を生きるすべての生命というあまりにも莫大なものでしたので、その反動で魔人の長は灰となり命を落としてしまいます。
しかし、その魔法のおかげで、こうして後世を生きる私たちの体にはその魔人の力の一部が受け継がれている、というわけです。
ちなみに、その魔人の長を襲った魔人たちは同種族間で争いを起こし、結果として全滅してしまいました。
また、その魔人の中には長のことを良く思っていた人たちも多くいたそうですが、彼らは長の墓を作った後、
『我々の長と共に』という言葉を残して自害してしまったと言われています。
このお話は国を問わず有名ですが、ご存じありませんか?」
「いやぁ。ほんと山奥の小さな村で育ったから、外の話とか全然分からないんですよ。
でも、理解はできました。
いい話・・・ってわけでは無いですけど、何かこう、心にジーンとくるものがありますね。」
リーノア
「わかります!私このお話、良くお母さんにしてもらってたんです!」
「・・・でも、なんでその場で全滅させなかったんだろう。
互角以上の力があるのであれば、全滅させればほかの魔人たちが原因の悪事は起きないとおもうんです。」
リーノア
「うーん、そんなに頭が回らなかった、とかですかね?
すいません、私もそのあたりのことは分からないです。
・・・あ、その魔人たちみたいに力でほかの存在を貶めようとするものから守るためなんじゃないですか?」
「・・・確かにそれは一理ありますね。
そもそも、この話は事実なのでしょうか・・・。
ほら、作り話だった、とか。
まあ、僕がするべきなのは他なんですけどね!」
リーノア
「あっははは!
そうですね!私たちは明日に向けて頑張るんですもんね!
それじゃあ、あとはまず実践してみてから考えましょう!」
「そうですね!頑張ります!」
一層やる気が増した。
明日、明後日に向けてできるだけのことはしよう。
0
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる