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3.死なないギリギリ
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魔術で眠らせた2人をそのまま馬車にぶち込んでビエンコ伯爵家まで送りつけてやろうかとも思いましたが、それではなんの解決にもならないでしょう。
ことは貴族と貴族の婚姻なのでそう簡単ではないのです。
面倒です。
こんなことなら父が持ってきた縁談なんていつも通り断ればよかったです。
私ももう今年で17になりますので貴族の令嬢としての賞味期限はギリギリですから、少し焦りが出ましたね。
いざとなったら適当な分家筋から養子でも貰えばいいのですから、そんなに焦って私が結婚する必要もなかったのです。
今まで断った中には絶対に今回のあの男よりもマシな相手がいたはずなのに、なぜ私はこんな相手を引いてしまったのでしょうね。
本当に運が悪い。
「お嬢様、御父上が呼んでおいでです。手紙が返ってきたようです」
「そうですか。今行きます」
どうやら父に頼んでいた相手の実家への問い合わせが返ってきたようですね。
私はこの面倒な状況にようやく進展がみられることに少しだけ期待をして父のもとへ向かいました。
「お父様、失礼いたします」
「クレア、悪かったなあの男の相手などさせて。疲れてないか?」
「疲れましたよ。なんなんですあの男」
「すまんな。父さんもあんなのだとは聞いてなくてな。まさか愛人連れで婿入りなんて非常識にも程がある」
非常識という言葉で片付けられるレベルではない気もしますがね。
もう頭がおかしいとしか思えません。
「実はな、ビエンコ伯爵もあの息子には手を焼いているようでな。誰かに押し付けたかったみたいなのだ。手紙でもなんとか貰ってくれないかと書かれているのだ」
「無理です」
「だよな。これから父さんちょっと向こうの家まで行って交渉してくるから、あとちょっとだけ待っててくれないか」
「わかりました。あの2人の相手は苦痛ですが、まあいざとなったら魔術で眠らせます」
「あまり強いのはかけないようにな。起きなくなっちゃったらさすがにまずい」
わかっていますよ。
死なないギリギリを攻めますね。
ことは貴族と貴族の婚姻なのでそう簡単ではないのです。
面倒です。
こんなことなら父が持ってきた縁談なんていつも通り断ればよかったです。
私ももう今年で17になりますので貴族の令嬢としての賞味期限はギリギリですから、少し焦りが出ましたね。
いざとなったら適当な分家筋から養子でも貰えばいいのですから、そんなに焦って私が結婚する必要もなかったのです。
今まで断った中には絶対に今回のあの男よりもマシな相手がいたはずなのに、なぜ私はこんな相手を引いてしまったのでしょうね。
本当に運が悪い。
「お嬢様、御父上が呼んでおいでです。手紙が返ってきたようです」
「そうですか。今行きます」
どうやら父に頼んでいた相手の実家への問い合わせが返ってきたようですね。
私はこの面倒な状況にようやく進展がみられることに少しだけ期待をして父のもとへ向かいました。
「お父様、失礼いたします」
「クレア、悪かったなあの男の相手などさせて。疲れてないか?」
「疲れましたよ。なんなんですあの男」
「すまんな。父さんもあんなのだとは聞いてなくてな。まさか愛人連れで婿入りなんて非常識にも程がある」
非常識という言葉で片付けられるレベルではない気もしますがね。
もう頭がおかしいとしか思えません。
「実はな、ビエンコ伯爵もあの息子には手を焼いているようでな。誰かに押し付けたかったみたいなのだ。手紙でもなんとか貰ってくれないかと書かれているのだ」
「無理です」
「だよな。これから父さんちょっと向こうの家まで行って交渉してくるから、あとちょっとだけ待っててくれないか」
「わかりました。あの2人の相手は苦痛ですが、まあいざとなったら魔術で眠らせます」
「あまり強いのはかけないようにな。起きなくなっちゃったらさすがにまずい」
わかっていますよ。
死なないギリギリを攻めますね。
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