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4話

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埋まっていた棺に戻ると先ほどの倦怠感が嘘のように亡くなった。

どうやら陽の光に晒されると倦怠感が発生するようだ。

よって狭い棺の中でこれからのことを考える。

初めに考えたことは自分をこのような姿に変えた男への復讐である。

続いて舐めたことをしてくれた傭兵ギルドそして貴族果てには蔑んだ教会の者共も復讐対象だ。

街の中にいる人間達は特に興味がないので邪魔だったたらその都度対処するかな…

次は今後についての方針だ。

アンデッド化したことにより日の光はどうやら苦手になってしまったので今後の生活拠点を考えなければならない。

今自分が埋まっている場所は街の外壁がと森が見えた為、街の外に埋められているのだろう。

太陽が昇ってきた方角からここはちょうど街の外壁の外北側の共同墓地に葬られているようだ。

以前、大規模クエストで死者が多く出た時に、埋めていたのを遠目で眺めていたことをうっすらと思い出す。

あの時は心の中で手を合わせたが、まさかこんなにも早く自分が厄介になるとは思わなった。

暗闇の中で一人苦笑いする。

自分自身を鑑定結果は明らかにモンスターよりだ。

この姿でのこのこ街に入ろうとしたらモンスターの襲撃だと思われ消滅させられてしまうだろう。

自己再生能力があるとはいえ回復スピードから考えると、絶え間なく攻撃された場合、何もできず無駄死にする危険がある。

アンデッドになっても死を意識するのもおかしなことだが、復讐を達成するまでは死ぬに死ねない。

当面は復讐の下準備ををする為、拠点の確保が最優先である。

幸い近くに慣れ親しんだ北の森である。

以前からゴブリンの駆逐を行なっていたので庭のように地形を熟知している。

陽が沈んだら早速行動に移ろうとするムクロであった。

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