昼夜逆転転生異世界生活〜夜に強いヴァンパイヤになりました

パブロフ

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街に到着からの夜のご馳走

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ハイ。街に無事たどり着き、今ベッドで横になってます。


街には2時間程で到着した。

問題なく森を抜けることができ来たのは、俺の感覚が鋭くなっていたおかげだ。

夜になってもまるで昼間のように見える。聴覚も鋭くなっているようで耳をすませば、森に生息している獣の息遣いもわかる程だ。

危険そうな大きな生き物の息遣いのする方向を避け、森を移動する。

女性は途中で足をくじいた為、今は俺が背負って移動している。

「背負ってもらってありがとう。もし生き残れたら必ず、お礼をします」

「いえいえ、気になさらずに…」

背中に当たる柔らい感触が堪能できているのだから、こちらがお礼をしたいくらいだ。

そんな下衆なこと考えながら森を抜けると、遠くに街灯りが見える。

彼女にも見えたらしく安堵のため息聞こえた。

「なんとかお互い助かりそうですね。急いで行きましょうか」

俺は彼女を背負ったまま駆け足で進む。

しかし、人を背負って長時間移動しても、疲労感が全くない。

見た目以上に筋力もあり、色々と確かめたいこと増えてきた。

門の前までついたがここで問題が発生した。

門に木製の格子が降ろされ、当然出入りができない。

「おい!そこの不審者!こんな時間に何をしている」

周りを見てもいるのは俺と背負ったエマのみ。どうやら呼び止められてのは俺達で間違いない。

さて、困った。流れで街まで来てしまったが、自分の身分がはっきりしていない。

ヴァンパイヤってそもそも人間なのか?能力的にはモンスターの類に近い様な気がしてならない。

「私はエマと言います。この度こちらの冒険者ギルドに派遣された職員です。こちらの方はタロウさん。道中、ゴブリンに襲われ洞窟に連れて行かれたところで出会った命の恩人です。私が身元を保証します」

エマは俺の背中から離れ、腰に着いた雑囊から封筒を兵士に渡す。

兵士は一礼した後、無事街に入ることができた。

「エマさん偉い人だったんですね」

「いえいえ、それよりここまで連れてきて有難うございました。用事をすませたら少し付き合ってほしいのですが……」

頬を染めて微笑むエマの姿を見てテンションの上がった俺だった。


ハイ。俺の考えは甘かった様です。

てっきり夜のお楽しみかと思ったのですが、只今ギルドの受付にいます。

エマさんは冒険者ギルドに話をした後、俺の冒険者登録が始まりました。

どうやらここまでの道中で俺の行動を高く買っての推薦とのことだ。

能力というか種族の差の様な気もするが、都合が良いので黙ってこう。

「冒険者ギルドにとって優秀な斥候は貴重ですから……」

「ところで冒険者って何をするんですか?」

「「え?」」

エマさんと受付の女性が声を揃えて首を傾げた。

なんかおかしなことを聞いただろうか?

話を聞くと冒険者ギルドは様々な仕事の斡旋所だった。

内容は店の手伝いから溝掃除の日雇い仕事から、近隣のモンスター退治や遺跡の調査などファンタジーな内容まであった。

「遺跡や街の外での活動は戦闘能力を重要ですが、それと同時に周囲の状況を察知できる斥候やレンジャーが重宝されます」

「なるほど勉強になります。教えていただき、有難うございます」

素直に頭を下げると二人はキョトンとしているが、また変なことをしただろうか?

その後、エマさんがお礼としてギルドに併設された宿を一週間ほど使える様に手配してくれた。そして、夕食もギルド併設の酒場でご馳走になった。

内容はエールとステーキに温野菜のサラダ。

肉厚のステーキはナイフで切るとジュワッと肉汁が溢れ、口に入れると旨味が口いっぱいに広がった。

野菜は素朴な味、エールはう~ん微妙だった。この料理には赤ワインの方が合う様な気がする。

エマさんは色々と質問して来たが、俺はここで転生者のことや種族の事を隠した。

自分は今まで重い病にかかり、人生の大半を病室で過ごしていたと、病室で聞いた外の世界へ憧れ旅を始めた。という設定にしておいた。

俺も設定を盾に、一般の社会常識をそれとなく質問して、知識を深めた。

先程から、多方向から視線を感じながらも、エマさんと食事と会話を楽しむ。

様々な深夜バイトを掛け持をしていた為、女性と対面しての食事は久しぶりだった。この点では神様に感謝だなぁ。

程なくして夕食は終わりそのままエマさんとは別れる。

流石にギルド併設の宿にギルド職員を連れ込むのは気が引けた。成否に関わらず、今後のことを考えると無謀にもほどがあるからね。

転生初日の寝床はなんと個室。

室中はベット、机、鍵付きの木の箱、シンプルな作りで快適だ。

俺はベッドに横になりその柔らかさを確認する。

うん。少し硬いが問題ないだろう。

俺は明日からのことを考えながら寝ようと目を閉じた。
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