骸の王~異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

パブロフ

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1章

10話

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大規模戦緊急クエストは失敗に終わった。

寄せ集めの戦力で無能な指揮官の下、オークの軍勢を相手にした結果であった。

相手の戦力を分析せずに突撃する戦闘など無謀でしかない。

結局教会軍側の生き残りは1/4しかおらず散々な結果である。

一郎が久しぶりに傭兵ギルドに足を踏み入れると、依頼書が壁一面にぎっしりと貼られている。

どうやらオークは今回勝利に勢いづいて支配地域を広げこの街の付近まで出没しているらしい。

そのこともあってか傭兵ギルドではオークの討伐クエストが出ている。

一匹辺りの報酬から難易度の高い者だと以前の大規模緊急クエストと同じ砦のオークの軍勢の討伐まであった。

今回の砦のオーク討伐の依頼主は傭兵者ギルド直々で出すようだそれほど切迫している状況らしい。

成功報酬が金貨2000枚と高額なことからも伺える。

討伐を受ける資格が特に設けられていない為、一郎は砦のオーク軍討伐の依頼書を取り受付に持っていく。

受付嬢は依頼書の内容を見て思わず声を上げる。

「えっこのクエスト受けるのでですか?シルバーのランクの人ですら受けるのをためらっているのに本当に大丈夫ですか?」」

「えぇ、、、勝算がありますので受けさせていただきます。期間も1ヶ月間ありますので大丈夫です」

「因みにPTメンバーはどのくらいいますか?」

「私一人で行こうと思います。その方が何かと動きやすいので・・・」

受付嬢が難しい顔をした後奥の個室に促された。

一郎はその個室で待つとしばらくして受付嬢と眼鏡をかけた優男が部屋に入ってきた。

優男がこちらを一瞥した後おもぐろに口を開く
「私はギルドマスターのビンセントと言います。一郎さんが受けようとしている依頼はこの街の未来を左右する重要な依頼です。
あなたが依頼をいたずらに伸ばすと取り返しのつかないことになりかねない。
ましてや一郎さんはつい先日アイアンになったばかり、到底依頼は達成できないでしょう。
事と次第によっては傭兵ギルドの追放だけでは済まされませんよ?」

もっともな話である。一般的に大規模な討伐クエストを一人で受けるのは自殺志願者かギルドへの冒涜でしかない。

返答一つで追放になるかもしれない。

一郎は冷静に答える。「ギルドマスターの言うことはもっともです。普通に正面から挑むのならば依頼は達成できないでしょう。
しかし私はモンスターの集団を狩るのが得意な者で、現にゴブリンは1日で相当数討伐している実績があります」

ギルドマスターは受付嬢の持っている資料に目を通し少し考えた後、一つ提案してきた。

「確かにゴブリンの討伐数は群を抜いて良いですね・・・ゴブリンとオークでは難易度は全く違いますがわかりました。
こちらから依頼を放棄ししないか監視員を出します。また依頼が達成ができなかった場合、それ相応の処分を行うので覚悟しておいてください」

「わかりました。それでは早速明日の朝から討伐に向かうので宜しくお願いします」

一郎は返答するとギルドを後にした。

明日から長丁場になる為食料と野営の装備を大量に買い込み明日に備えるのであった。


翌日の朝傭兵ギルドに寄り監視員と一緒に街を出る。

監視員は黒の皮鎧を身につけ頭を黒に布で巻きつけた二人組だった。

外見からまさに暗殺者そのもので影が薄い。

このまま暗がりに行ったら消されそうな感じである。
妙な緊張感があたりに漂わさながら一郎たちは街を出て砦に向かう。一郎は街に十分に離れてから立ち止まり監視員の二人組に声をかける。

「すいません。私を監視員は2人だけということで良いですか?この周囲にいる隠れている2人はギルドとは無関係なら敵とみなして武力を行使したいのですが・・・」

監視員の二人は一瞬目を見開き顔をあわせる。あわてた口調で一人が答えた。

「なっ何故わかった。隠密能力に長けた者をついてきているはずなのに・・・・」

一郎は笑顔で答える。

「企業秘密です。では前方の森に潜んでいるオークの斥候を減らしたいので。
前方に隠れている監視員さんどいて頂いてもよろしいですか?」

一郎は最近自分の周囲100mにそれとなく小動物のスケルトンを配置している。

接近戦素人の一郎は奇襲されるとひとたまりもない為、常に屍の索敵網を展開しているのがデフォルトになっていた。

一郎は前方で潜んでいた監視員が移動したのを確認した後バッグに手を入れひっくり返す。
周りの監視員一同に驚いた。

おそらくマジックバッグであろうカバンから赤い骨の山が目の前に積まれていた。

マジックバッグは高価でアイアンなりたての傭兵ではとても手を出すことは難しい。

そして取り出したのは骨…不気味である。

そして一郎が呪文を唱えるとそれはカタカタと動き出し、瞬く間に赤黒いスケルトンが20体整列している。

手には片手斧と小型のバックラーを装備している。

一郎はスケルトンの召喚が終了すると近くの木陰に座り込み、何やら手を宙に動かしている。

次の瞬間赤黒いスケルトンは散開し疾風の如く森に侵入して行った。

オーク狩りの始まりである。

「あれ?監視員の人たちは森の様子みなくても良いんですか?すでに砦の攻略はじめてますけど・・・

ちなみにオークの斥候はフォレストウルフ引き連れているので匂いでバレかもしれません。

森の入ったら注意してくださいね・・・」

一足遅れて監査員の半数が森に向かった。

一郎はいつの間にか取り出したお茶を飲みながらブラッドスケルトンを所定の位置に潜伏させる続いて普通のスケルトンを数体森の中を徘徊させる。

オークの斥候は森の中でスケルトンが単体でプラプラ歩いてるのを発見し油断して近づいて来た所、逆に待つ伏せしているブラッドスケルトンの集団に奇襲を受け成す術も無く亡骸になって行った。

一時間ほどで斥候を5組襲撃したところで付近の森の警戒網に穴が空いた。

一郎はスケルトンに戦利品となるオークとフォレストウルフを回収させて新鮮な状態でマジックバッグに突っ込んでいる。

監視員達は一郎の戦い方を理解が追いつかなかった。

一般的な戦闘とは数人又は数十人でPTを組み各々の役割を決めて動きモンスターを狩るものである。

モンスターの攻撃する前衛それをサポートする中衛そして火力を支援する魔法職などの後衛である。

しかし一郎の戦闘スタイルはたった一人でスケルトンの集団を操り複数の戦闘を並行して行っていた。

そして本来雑魚扱いのスケルトンが格上のオークをいともたやすく狩っている。

また本来鈍足な種族のスケルトンのはずだが一郎の召喚したスケルトンは一般的な傭兵の動き並みに速かった。

報告で一郎は度々ゴブリンを大量に討伐してかなりの成果を上げていたがこのスタイルであればゴブリンなどただの歩く小銭入れのようなものである。

監視員が唖然としていたが、一郎は亡骸をマジックバッグに突っ込み終わると森に足を進めるのであった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いつも私の文章を読んでいただきありがとうございます。
急な順位上昇に驚きを隠せません・・・・汗
お気に入りをしていたでいた読者さんも増えてきているので期待答えられる様、
コツコツ投稿させていただきます。
今後とも宜しくいたします。
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