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1章

21話

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一郎はなるべくラミア達を刺激しないように、スケルトンに武装解除してその場に体育座りさせる。

ラミア達がスケルトンの奇妙な動きに戸惑っているところ、一郎はラミアの前に姿を現し声をかける。

いきなり襲ってくる可能性もあるので念のためレウスはじめとする護衛は引き続き自分の周りに控えてもらっている。

「すいません~、こちらの言葉わかりますか~?」

ラミアの一人がこちらの声に反応して手に持ったナイフを構えて返答する。

「貴様達何者だ、最近森のモンスターが減っていたので様子を見にきたら森にアンデッドが大量に発生しているこれは貴様の仕業なのか?」

あぁなるほど

最近アクティブデフェンスの一環で村周辺の森をスケルトンの集団で蹂躙していたのを彼女らは見ていたようだ。

また急速に発展しつつあるリバーウッドの様子を遠くから観察していたのだろう。

今回はラミア達の縄張りにスケルトンが不容易に入ってしまったらしく攻撃されたと予想される。

「私たちはこの川の向こう岸の森にあるリバーウッドの住人です。こちらに攻撃の意思はありません。スケルトンは私が使役しているのでどうか安心してください」

一郎はスケルトンの包囲を解除してラミア達に近づく、改めて近くで見るラミア達は息を飲むほど美人揃い、どこかの芸能人かモデルと言われてもふしげではない顔立ちである。

上半身は獣の皮で作った服を着ているのだが露出度がやけに高く官能的である。

そして対照的に迫力のある蛇の下半身、ラミアの3/4を占める下半身の模様は個々で異なり興味深い。

そのラミア達の中でリーダーらしき長髪の妖艶なラミアが話し出す。

「この森に現れ始めたスケルトンは、あなたの支配下のようですね。
優秀な魔法使いさんあなたの名前は?」

「自己紹介遅れて申し訳ございません。私は鈴木 一郎というしがない傭兵です。この度は森で不審な人影の目撃情報が出ていたので調査で参りました。おさがわせして申し訳ございません。もし怪我しているようでしたら傷薬等を提供します」

「こちらは特に被害は出ていないから大丈夫よ。私はこの小隊のリーダーのマホガニー親切な対応ありがとう。
ヒューマンは傲慢で好戦的と族長に聞いていたけどあなたは違うようね」

「そのようですね。ヒューマンにも色々いますので、私の場合はマホガニーさん達と無益な争いは避けたいと思っています」

「わかった私達に危害を加えるので無いのなら争う必要は無いわ。
ところで最近川の向こうの森が以前と変わって来ているようだけどあなた方の影響かしら?」

最近の急激な村拡張の件だろう。となれば言葉で説明するより見学してもらった方が理解しやすいだろう。

「最近リザードマンの集落の受け入れを行いまして村の規模してることだと思います。もしよろしければ見に来ますか?」

「族長と話し合って決めたいので3日後ここで会いましょう」

いくつか言葉を交わした後、ラミア達は森の中に消えていった。

一郎一同はギルドに結果を報告したのち村長に相談しに行く。

「ふむあの森の奥にラミア族が住んでいたとは今まで知らなかったな」

村長は腕組みして考え事をしていた後、

「よし一郎ラミア達の見学の段取りはお主に任せた!村の住民にはわしから説明しとくので任せろ」

えぇまた私に丸投げですか。

まぁ接触した人がそのまま行った方が向こうの警戒も薄れるのでいいのだが・・・

呆れながらもラミア達に村を案内を引き受けた一郎であった。

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