骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

２章

71話

その後ソルトロックの最後の戦いはあっけなく幕を閉じた。

その一因は殲滅系傭兵部隊「ジェノサイド」の予想以上の戦果である。

シウバは言動と見た目に反し100の騎馬隊で敗走途中のモンスターを蹴散らしながら、

くさび形の陣形を取り、敵陣の後方に突撃した。

その後そのまま力押しするのかと思いきや騎兵の進撃速度が遅くなったタイミングで、
進撃方向を変え敵陣から一時離脱。そしてまたスピードが乗ったところで２回目の突撃を行った。

その間、後方では馬車から躍り出る大盾と槍を持った部隊が防衛線を構築し始めた。

次は騎馬隊が３つに分かれ息のあったタイミングで多方向から敵陣に突撃を繰り返し敵を切り崩していく。

負傷したジェノサイドの傭兵はすぐさま後方の馬車に連れて行かれ治療を受けて戦線に復帰する。

一郎は異世界におりてまともな戦術を見ていた。

シウバは先頭立って突撃しているのでおそらく後方の防衛戦に一郎と似た様な能力を持っている参謀がいるのだろう。

機会があれば会って戦術の話をしたいものである。

しばらくするとソルトロックに侵入したモンスターはあらかた倒され上位種のオーク含めた主力部隊も残り100程度減っていた。

ジョーンズ達は遊撃を行いモンスターを各個撃破してた為、一郎は上位種のオークの場所を遠隔指揮で場所を伝達し、

エクスプロの遠距離魔法の砲撃が始まる。

周りのモンスターが魔術師が呪文を唱え遠距離を魔法の壁の様なもので、

上位種オークを防いでいるが周りのモンスターは力量の差が出始め周りのモンスターが倒されていく。

モンスター達はジェノサイドの攻撃で少しずつ浜辺の方向に追いやられていく。

「おっ指揮官のオークが周りのモンスターを置いて海岸に逃走し始めましたね。これでこの戦はおしまいですね」

一番外側の門で遠隔指揮をしていた一郎がニヤリと笑う。

数人のお供を連れて上位種のオークが海岸へ逃走する。

波打ち際まで来たモンスター達は足元から出現した槍に対応できず次々と数を減らす。

先ほど浜辺に埋まっていたスケルトンゴブリンの待ち伏せがうまくいった様だ。

悪運の強い上位種のオークはスケルトンゴブリンの攻撃を対応しながら海に飛び込んだ。

おそらくこれで助かったと思ったのだろう。

安心するのはまだ早い。

上位種のオークが海中で目にしたのは海底で待ち受けていたブラックスケルトンのながい腕だった。

そして上位種オークは生きて海から出ることはなかった。

その後指揮官を失ったモンスターの軍団は崩壊して行く。

ソルトロック内は堀に死体が埋まり、外の門ではジェノサイドとエクスプロに追い回されやっとの思いで外門にたどり着くと鉄条網で道を塞がれ通過できず傭兵が待ち構えている。

午後になる頃にはソルトロックの広場の戦の後始末に明け暮れる傭兵達の姿があった。