骸の王～異世界勇者召喚に巻き込まれました。骸を使ってしたたかに生きていきます。

３章

90話

その後廃村のゴブリン退治は多少の被害が出たが無事に終わった。

ジェノサイドのエレナの指揮の元、奇襲をかけることになったのだが、作戦が始まる前に問題が発生した。

エレナの作戦は村周辺を包囲した後、多方向から奇襲をかけて短期間でに殲滅するというものであった。

敵の兵力はゴブリン約200匹正面から攻撃しても勝つ事は可能だが被害を減らす為、油断せずに各部隊のリーダーを集めて作戦会議を行った。

ジェノサイドは馬車の護衛と村の裏門から奇襲他の傭兵部隊は崩れた外壁からタイミングを合わせて突撃である。

一郎は増援の警戒と逃走するゴブリンを狩ることになった。

一郎お得意の樽爆弾やイオウダケ作戦はさはその後の復興に影響することから却下された。

考えてみれば一郎が主導で行なった作戦は高確率で戦場跡が地獄絵図になる。

肉片が飛び散り、至る所にマキビシが散乱している場所で誰も住みたくはないだろう。

復興を考えてる場所では良い作戦ではない。

エレナの作戦で決まり夜が明ける前に各部隊が所定の位置に着き、あとはエレナからの攻撃の合図を待つのみになっていた。

ところがここでカイン率いる部隊が大声を上げ勝手に突撃した。

彼らは戦闘能力が乏しことから倒し損ねたゴブリンの掃討の役割のはずなのだが、まさかの突撃である。

村の外からわざわざ声を張り上げ敵に察知され、また入り口近くで乱戦を始め、他の部隊の侵攻の邪魔をした。

そして敵が集まり囲まれる始末。他の部隊が間に合わなかったら全滅である。

彼ら曰く、戦果を挙げてリバーウッドの報酬の土地を少なくしたかったらしい。

カイルの部隊のお陰で奇襲が失敗しこちらに多少の負傷者が出たが、戦力に大差があった為、戦死者が出なかったことが幸いである。

ジウバはカイン派の解放軍の行動に対し、「カインとは馬が合わないから今後の協力はできねぇな」
と支援離脱を表明した。

その後、村の広場の中心で解放軍のリーダーカインが演説を行い宴が始まったそうだ。

一方、一郎はジャンヌと解放軍の一部のメンバーとジェノサイドと離れた場所で話し合っていた。

盆地での新国設立である。

常に行動で示していたジャンヌに対し、ジェノサイドのジウバは「条件は悪くねぇあんたの為になら力を貸してやる」と意欲を示した。

馬鹿騒ぎをしているカイン派とは別にジャンヌ派は着実に話を進めていくのであった。

翌日廃村復興の為に村の周りに鉄条網で囲い、村の周りの外壁を急ピッチで修復を進めていく。

石積みの壁であった為、石材と土を使って補修を進めた。

「おっご苦労さん我々の拠点の進み具合はどれくらい進みましたか？」

カイン派は相変わらず酒の匂いを残しボサボサの頭を掻きながら訪ねてきた。

「寝起きですか？まぁいいですが…修復作業は順調ですよ。
外壁の状態は予想以上よかったのでこれなら2、3日で目立った穴は塞げそうです。
その後約束通り報酬の村の中央の土地を頂き各ギルドの出張所を作りたいと思います」

「あぁそのことだが考えが変わった。村の中心は城と解放軍の施設を建てるから外壁の外に立ててくれ
後城を建てる建築資材と作業員の協力お願いな」

「話が違いますね。そんな条件飲めるはずないでしょう！」

一郎は声を荒げて反論したがカインはヘラヘラ笑いながら答えた。

「政策の変更はつきものさ。あんたらは支援してくれればそれで良い」

その後の反論を聞かずカイルは立ち去った。

「話にならない。これは一度リバーウッドに戻って相談しないけないな…」

今回の一件で支援内容を大きく変更する事考える一郎であった。