32 / 54
32 変わる関係、変わらない関係
しおりを挟む
花壇の花の植え付けをしていると、建物の二階の窓から若奥様がこちらを覗いているのが見えた。
旦那様から受けた冤罪騒動から数ヶ月、見かける事も無かったのに珍しい。そう思って若奥様へと視線をやると、その事に気が付いたらしい若奥様が部屋の奥へと入ってしまった。
あの後、旦那様と若奥様の関係が良くなったかと言うと、アルフ曰く前と変わらないらしい。
俺が、実は若奥様は旦那様を慕ってて嘘を吐いてまで旦那様の気を引こうとした、って教えたってぇのに、旦那様は依然、若奥様にどう接していいのか分からずモダモダしているらしい。あのヘタレが!
まぁ、若奥様は最近俺に近づいて来ないし、冤罪を着せようとしても旦那様はもう信じないだろうし、俺に害さえなければ二人がどうなろうと知ったこっちゃねぇ。
ちなみに、親方の方は俺に対する扱いが悪いって旦那様に相当注意されたらしく、暴言と鉄拳制裁は変わらないしスゲェ睨まれてるけど、冤罪騒動の逆恨みで殺される事も職を失う事も無く今まで通り働けている。
それに関しては、ありがとう! 旦那様! 職を失う事が何よりも一番怖いからな。
いやぁ、良かった良かった。これにて一件落着……って、なれば良かったんだけどな。
この平穏を手に入れる為にある弊害が生まれ、今はそれが目下の悩みだ。
「おい、今日は家に来るのか?」
「この前行ったばっかだろ、行かねぇよ」
これだよ。これが当て馬フラグを折った引き換えに生まれた弊害だ。
今日もサンドウィッチ片手に現れたアルフの出会い頭の第一声がこれだ。
あんな事があったにも拘らず、変わらず昼飯を持って来てくれるのはありがたいんだけどさ。どういうつもりか、事ある毎に家に俺を誘いやがる。
そして、家に行くとあの日の様に俺を押し倒して性欲を暴走させるんだから訳が分らん。お前、賢者タイムで自己嫌悪とかにならなかったのか?
それ以上に性欲を発散出来た事が良かったのかも知れないけどさ。俺みたいな男なら、女や可愛い男と違って後腐れ無いだろうし、成り行きとは言え恋人設定にしちまったから丁度良かった、ってのもあるんだろうしな。
俺は、別に? 気持ちいい事が好きだったみてぇだし、嫌じゃねぇから良いんだけどよ。ただ困った事にヤる度に指でケツの穴弄られて、最近じゃケツの穴でイク事まで覚えちまったのがなんとも……。このままだとケツを掘られる日も遠くないかも知れん……
本番まではいって無くても、これってセフレってやつなのか?
「だったら、俺の家に住めよ」
「なんでそうなるんだよ」
まだ諦めて無かったのかよ。
この、隙あらば引っ越しを勧めて来るのも弊害の一つだな。
「俺の家なら広いし風呂もある。キッチンは無いが暖炉があるから簡単な煮炊きは出来るし寒い時期は暖かい。治安は良いしお屋敷にも街にも近くて利便性も抜群だ。なんの文句があるんだ?」
「俺には格が高過ぎるし賃料も高過ぎる。分不相応なんだよ。それに、お前と一緒に住んだら毎日ヤりそうで身がもたない」
「そんなもん、誰も気にしねぇし、家賃は取らないって言ってんだろ。それと……お前が嫌だって言うなら、毎日はヤらない」
言わなきゃ毎日ヤんのかよ。という言葉をグッと飲み込む。
そうは言われてもなぁ。なんでそんなに俺をあの部屋に住まわせたいのかは知らんが、そんな話に俺は乗らねぇ。
確かに条件だけを聞くと最高だが、コイツは今住んでる部屋について「いつまでも住む訳じゃない」と言っていた。
今だけって、いつまでだ? 一年後? 二年後? 下手すりゃ二~三ヶ月後か? 俺が今住んでいる場所を引き払って引っ越した後、アルフがあの部屋から出て行くってなった時、どうなる? 俺はもう一度部屋を探さなきゃいけなくなるんだぞ? 孤児の貧乏人が部屋を借りるのがどれだけ大変か分かってんのか? この金持ちの坊ちゃん野郎。
あの貧民街のボロボロの屋根裏部屋だって俺にとっては、やっと借りれたまともな部屋だ。おいそれと手放す訳にはいかねぇんだよ。
「物事はそんなに簡単じゃねぇんだよ。恋人設定だとかヤりたいだとかなら今の状態でも充分だろ」
「…………そんなんじゃねぇし……充分じゃない」
「ガキか」
顔を俯かせてボソッと拗ねた様に言うアルフには呆れる。お前は、初めてのお友達に依存しちまってるガキかってんだ。まぁ、俺はセフレだけどさ。
旦那様から受けた冤罪騒動から数ヶ月、見かける事も無かったのに珍しい。そう思って若奥様へと視線をやると、その事に気が付いたらしい若奥様が部屋の奥へと入ってしまった。
あの後、旦那様と若奥様の関係が良くなったかと言うと、アルフ曰く前と変わらないらしい。
俺が、実は若奥様は旦那様を慕ってて嘘を吐いてまで旦那様の気を引こうとした、って教えたってぇのに、旦那様は依然、若奥様にどう接していいのか分からずモダモダしているらしい。あのヘタレが!
まぁ、若奥様は最近俺に近づいて来ないし、冤罪を着せようとしても旦那様はもう信じないだろうし、俺に害さえなければ二人がどうなろうと知ったこっちゃねぇ。
ちなみに、親方の方は俺に対する扱いが悪いって旦那様に相当注意されたらしく、暴言と鉄拳制裁は変わらないしスゲェ睨まれてるけど、冤罪騒動の逆恨みで殺される事も職を失う事も無く今まで通り働けている。
それに関しては、ありがとう! 旦那様! 職を失う事が何よりも一番怖いからな。
いやぁ、良かった良かった。これにて一件落着……って、なれば良かったんだけどな。
この平穏を手に入れる為にある弊害が生まれ、今はそれが目下の悩みだ。
「おい、今日は家に来るのか?」
「この前行ったばっかだろ、行かねぇよ」
これだよ。これが当て馬フラグを折った引き換えに生まれた弊害だ。
今日もサンドウィッチ片手に現れたアルフの出会い頭の第一声がこれだ。
あんな事があったにも拘らず、変わらず昼飯を持って来てくれるのはありがたいんだけどさ。どういうつもりか、事ある毎に家に俺を誘いやがる。
そして、家に行くとあの日の様に俺を押し倒して性欲を暴走させるんだから訳が分らん。お前、賢者タイムで自己嫌悪とかにならなかったのか?
それ以上に性欲を発散出来た事が良かったのかも知れないけどさ。俺みたいな男なら、女や可愛い男と違って後腐れ無いだろうし、成り行きとは言え恋人設定にしちまったから丁度良かった、ってのもあるんだろうしな。
俺は、別に? 気持ちいい事が好きだったみてぇだし、嫌じゃねぇから良いんだけどよ。ただ困った事にヤる度に指でケツの穴弄られて、最近じゃケツの穴でイク事まで覚えちまったのがなんとも……。このままだとケツを掘られる日も遠くないかも知れん……
本番まではいって無くても、これってセフレってやつなのか?
「だったら、俺の家に住めよ」
「なんでそうなるんだよ」
まだ諦めて無かったのかよ。
この、隙あらば引っ越しを勧めて来るのも弊害の一つだな。
「俺の家なら広いし風呂もある。キッチンは無いが暖炉があるから簡単な煮炊きは出来るし寒い時期は暖かい。治安は良いしお屋敷にも街にも近くて利便性も抜群だ。なんの文句があるんだ?」
「俺には格が高過ぎるし賃料も高過ぎる。分不相応なんだよ。それに、お前と一緒に住んだら毎日ヤりそうで身がもたない」
「そんなもん、誰も気にしねぇし、家賃は取らないって言ってんだろ。それと……お前が嫌だって言うなら、毎日はヤらない」
言わなきゃ毎日ヤんのかよ。という言葉をグッと飲み込む。
そうは言われてもなぁ。なんでそんなに俺をあの部屋に住まわせたいのかは知らんが、そんな話に俺は乗らねぇ。
確かに条件だけを聞くと最高だが、コイツは今住んでる部屋について「いつまでも住む訳じゃない」と言っていた。
今だけって、いつまでだ? 一年後? 二年後? 下手すりゃ二~三ヶ月後か? 俺が今住んでいる場所を引き払って引っ越した後、アルフがあの部屋から出て行くってなった時、どうなる? 俺はもう一度部屋を探さなきゃいけなくなるんだぞ? 孤児の貧乏人が部屋を借りるのがどれだけ大変か分かってんのか? この金持ちの坊ちゃん野郎。
あの貧民街のボロボロの屋根裏部屋だって俺にとっては、やっと借りれたまともな部屋だ。おいそれと手放す訳にはいかねぇんだよ。
「物事はそんなに簡単じゃねぇんだよ。恋人設定だとかヤりたいだとかなら今の状態でも充分だろ」
「…………そんなんじゃねぇし……充分じゃない」
「ガキか」
顔を俯かせてボソッと拗ねた様に言うアルフには呆れる。お前は、初めてのお友達に依存しちまってるガキかってんだ。まぁ、俺はセフレだけどさ。
応援ありがとうございます!
23
お気に入りに追加
2,401
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる