竜人嫌いの一匹狼魔族が拾った竜人を育てたらすごく愛された。

そら。

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竜人嫌いの魔族、竜人の子供を育てる

19.魔王の素質

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「…え?シロが親分?」

ルカが思わず身を乗り出しキバに尋ねた。

「そうだ!シロは強いからな!俺の親分にしてやるんだ」

「おい、キバ。お前はどこまで馬鹿なんだ?普通そこは子分になれって言うんだぞ」

先ほどまで「怒らせないように気を付けろ」と言ってたルカは、憐れむ口調と顔でキバを見た。

「はっはっはっ!馬鹿はお前の方だぞ、人間!まあ、お前ごときじゃシロの凄さは分からないだろうなぁ。こいつはなぁ、魔王になる素質があるんだよ。お前ら凡人には分からねぇだろうけど、俺みたいな上級魔族には分かるっ!」

キバはフフンッと鼻を鳴らし胸を張って答えた。

「魔王の素質?シロは竜人だから竜人聖騎士の素質じゃないか?なぁ。」そう言ってルカがシロを見た。

「僕には魔王も聖騎士も無理だよ。弱いもん」

「あー?お前は自分の闇魔力の強さを分かってねぇんだな。ったく、愚鈍なヤツだぜ。まあ、いいさ。とにかく今日からお前は俺の親分だ。何か困った事があれば俺に言え。じゃあな!」

そう言ってキバはさっさと教室を出て行った。

「愚鈍なヤツって…。本当にシロのことを親分にしたいと思ってるのかしら」

アリスは腕を組んで呆れたように肩をすくめた。

「完全にシロを下に見ている言い方だったよな。あいつの親分の認識どうなってんだよ。つか、今時親分なんて言うヤツいないよな。シロもキバのことはほっとけよ」

「うん…。でも僕、少しキバと話してくる」

キバの言った『魔王の素質』という言葉にひっかかったシロはキバの後を追いかけた。



「キバっ!ちょっと待ってよ」

呼び止めるとキバはすぐに足を止めて振り返った。

「おお、なんだよ。早速、困り事か?」

「いや、そうじゃなくて…。キバはこの間の事覚えてるの?その、僕が魔力暴走起こしかけた時の事…」

「ああ、アリーが忘却の魔法を使ったらしいが、お前の闇魔力を直接触れたせいか俺はしっかり覚えてるぜ」

「そっか。あの時はごめんね。僕、力を止められなくて…」

「あははっ、謝んな!お前の闇魔力は最高だったぜ。なんつーか、恐怖で心が満たされるっつーか、あの闇魔力で殺されるなら気持ち良いだろうなって思えたんだ。ふふっ、思い出しただけでもゾクゾクするぜ」

「…へ、へぇー、そうなんだ…」

キバが少し頬を染めながら語る姿にシロは若干引きつつ苦笑いをした。

「それよりさっき言っていた『魔王の素質』ってなに?」

「あ?そんな事も知らないのか。お前が闇魔力を使った時、俺は『この力に支配されたい』って思ったんだ」

「あー…そうなんだ」

「おい、引いた顔すんじゃねぇよ。
つまりお前の闇魔力は支配力があるってこと。魔王レベルの闇魔力じゃなきゃ支配力なんて使えない。その力は魔族にとっちゃ抗えない恐怖心でもあり同時に支配で満たされる喜びでもあるんだ。だから魔族はその力を持つ者を魔王とする。
それをお前はその年で無意識に使ったんだ。つまり『魔王の素質』があるってことだ。
じゃあ俺はもう行くけど、もっと詳しく知りたきゃドグライアスに行ってみろ。魔族の国に行けばお前の闇魔力が本物かどうか知る事ができるぞ。じゃあな!」

キバはそう言ってシロの背中を軽く叩き去って行った。

「魔族の国かぁ…」

前にルーフから少し聞いた事のある魔族の国ドグライアス。
自分の力が本物かどうかにはあまり興味が無いが、ルーフが生まれ育った国だと聞いたので興味がある。

「いつかルーフさん連れてってくれるかな…」

シロは小さく呟き、窓から見える大きな入道雲を見つめた。
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