純粋で一途な命の恩人を50年放置してたらグレた。

そら。

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70.僅かな希望

魔王がこの世界を去って3年が過ぎた。

魔王の力で暴徒化し多くの命を奪った魔族たちは、本来持っていた魔力さえ失い弱体化した。
おそらく必要以上の魔力を長年使ってきたせいで体に大きな負荷がかかってしまい、その反動が出ているのではないかと言われている。

そういった魔族たちは竜人が管理する『封印の牢』に閉じ込めることになった。

ドグライアス城は崩壊したまま立入禁止区域となり、その周りでは魔族たちの住みやすい環境を整えた街の建設にルイは奔走していた。
今までドグライアスにはなかった魔法学校や公共施設、病院などを建設している。
また何人かの竜人や人間も派遣され、公共事業も進められている。

反対や批判の声も多いが、今まで学ぶ場所がなかった魔族の子供が楽しそうに学校へ通っている姿を見かけると未来への希望が持てる。

今日もドグライアスへ訪れたルイは、学校へ向かう子供たちの様子を眺めていた。


「あっ、ルイだ!お前また来たのか?暇なやつだなぁ!」

「こらっ、ルインハルトさんは偉い人なんだ!呼び捨てしちゃダメなんだぞっ!反省するまでくすぐり攻撃してやるっ!」

「あははっ、やめろ!くすぐったい!」

「だめだ!反省しろっ!えいっ!あはははっ!」

ルイに気付いたウサギ魔族と竜人の子供たちが手を振ってきゃっきゃっと騒いでる。

「ふふっ、相変わらず仲良しだなぁ。君たちもふざけてないで気を付けて学校へ行くんだぞ!」

ルイも手を振って答える。

最近では、人間の住む地上や竜人の国アスディアで暮らす魔族も増え、少しずつ種族に関係なく暮らせるようになってきた。
それでも差別や種族による衝突が起きる時もある。
ルイが目指す『種族の差を無くす世界』へはまだまだ課題も多く努力も必要だ。

ルイは子供たちを見送るとドグライアス城の方へ移動した。

あれから3年、ルイは毎日グレイを探し続けている。

ジルドはグレイを殺したと言っていたが、それは真実なのだろうか。
ただのトカゲになったジルドは、もう喋る事も出来なくなり冬眠にでも入ったかのように眠り続けているため真実を聞き出す事は困難になった。
ただ、今冷静に考えると、ルイを精神的に攻撃するための嘘だったのではないだろうか。
それにルーフは、「気配がなくなった魔族はドグライアスからいなくなったか死んだかのどっちかだ。」と言っていた。
もしかしたらグレイはジルドから逃げるためにドグライアスから出て行った可能性もある。

まだ諦めたくない。
ルイは僅かな希望を持ち、探し続ける。

「グレイ、どこにいるんだよ…。
ちゃんと、元気でいるよな?」

ルイは青く晴れた空を見上げた。




そして月日はさらに流れ、40年が経った。

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