暁の刻

煉獄薙

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lone leap

king and lore

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雫は部屋に入ると、その違和感に気づく。
「…もしかして、さっきまで誰かいました?」
「なんでだ?」
どうしてそう思ったのか、純粋に訊ねられたため、匂いがすると答えた。
そうすると、土方はフッと笑った。
そして天井を見上げる。
「…上に、いるんですか?」
「正解。おい、山崎…下りてこい」
スッと黒い影が落ちてきた。
「…俺、そんなに臭かったですかね?むしろ土方さんの煙管の臭いの方がキツいと思いますけどね」
少し訛りが強い青年は、黒という印象が強く感じるほど黒に染まっていた。
土方と少し談笑したあと、青年は雫を振り返り、ニコッと微笑んだ。
「…はじめまして、雫ちゃん。俺は山崎丞。君のことは土方さんから少し聞いとるよ?」
「…あの、えっと………」
どう返していいのか戸惑っていると、土方が二人に座るように指示をした。

「…それで?話ってなんだ?昨日の嘘の話か?」
「…嘘だって気づいてたんなら、なんで私なんかを入れたんですか?」
土方はほんの少し、誰も気付かないような、そんな小さく口角をあげた。
「…真実をお前の口から聞いてみたくてな…」
ただの好奇心の塊だったのかと、雫はため息をつき、タイムスリップの話をした。

自分はこの時代より後に生まれた存在で、新撰組のことは学校で習っている。
これからのことも全て知っている自分だが、住む場所と仕事がない。
昨日は総司が言ってくれたようだが、改めて自分の口からお願いしたい、と。
ただし、新撰組の未来も、幕府の未来も教えることはしない。
未来を変えてしまうようなことはしない、と。

最低な条件だとは思っていた。
何も持たぬ自分を雇え。唯一持っている情報は開示しない。だなんて……

「…お前はもうすでに総司の小姓として住み込みで雇ってある。何を今さら願うことがあるのか?」
不思議そうに首をかしげる土方に、雫は疑問を抱かずにはいられなかった。
「えっと、自分で言うのもなんですけど、タイムスリップの話って、ものすごく怪しいですよね?それを信じてるってことですか?土方さんは少し頭がおかしいんですか?」
「…俺はいたって正常だ。…………その、タイムスリップの話だがな、俺も山崎ももう知っている話だ。だから嘘だとは思わない」
土方さんはそう言ってお茶を一杯飲んだ。
山崎さんは相変わらず読めない顔をしている。
雫だけがキョトンとしていた。
「…??私以外にもタイムスリップをした人を知ってるんですか?」
「…あぁ。本人はそれを隠したがっているから教えはしないがな」
納得だった。明らかに怪しい自分をこうも易々と受け入れたこと。
住も働く場も与えてくれたこと。

自分の状況を理解してくれる人がいて、雫はホッとしていた。
「…お前が未来からきたというのはわかった。だが、仕事は仕事だ。きちんとしてもらう」
さすがに真面目な鬼副長。
こういうところにはきちんとしていた。

「雫ちゃんって料理とか得意?ここは男所帯やからみんな下手くそなんよねー」
ニコニコ笑っている山崎さんに、雫も自然と頬が上がる。
「…一応一通りの料理は出来ると思います!……あ、ただこの時代にどんな調味料があるかわからないので、自信はないですけど」
そう答えると、山崎さんはさらにニッコリと笑った。
「…大丈夫大丈夫!一通りの作業は俺も教えるし、料理に慣れてるなら安心できるわ!」

そんなこんなで、料理担当及び沖田総司の小姓という役回りがついた。
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