暁の刻

煉獄薙

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alive

fuzzy

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「…えっと………総司がご飯を作る担当になるの?しばらくって……いつまで?」
「えーっと、土方さんからの罰だから、いつまでになるかは分かんないんだよね」
ニコッと笑い、総司は雫の頭に触れた。
「雫の手伝いをするから、僕にどんどん指示をしてね」
「…まぁ、いいけど…」
違和感はあれども、強く言うことではあるまいと、雫は気を取り直した。

ただ、総司に食事を教えるのはなかなか至難の技であることを知る。

野菜を切るのを頼めば、人参を半分にして返してきたり、包丁の扱いが危うかったり、味見を頼めば砂糖をいれようとしたり………

「もう!総司はそこで大人しくしてて!」
そして総司と一緒にやっていたときの5倍くらいの速さで料理を作り終えた。

「総司、これをみんなのところに持っていって?」
「…雫は?」
「私はここでご飯をつぐの。大変なら今日の当番の………山田さん?に手伝ってもらいなよ」 
結局ほとんど一人で作り終えた雫は、不思議な達成感に浸っていた。



「…洗濯もしてたんだ」
「…してたよ。だって暇だもん」
ご飯を食べ終えたら次は洗濯。

なぜかそこでも総司はやってきた。
今日は一番隊の平隊士と二人で洗濯当番となっているのだが……
「森さん、私が洗うので、全て干してもらってもいいですか?」
「はい。わかりました」
森は総司の下で稽古をしてるからか、それなりに強い剣士だ。
だが、普段は暁月にも敬語を使ってしまうような気の弱……優しい人柄なのだ。
一番隊のメンバーは、総司の小姓としての最初の課題だったため、雫は一番隊の人間の名前はきちんと覚えている。

そして意外にも相性の良い二人。

「今日は森さんのおかけで早く終わりました。お茶でもしませんか?」
「いいですね!…隊長もいかがですか?」
「………あ、まだいたんだ」
 少し冷たい声だけど、沖田を毛嫌いしているのではなく、純粋にどこかにいっていると思っていたからだ。
「…総司も、お茶する?」
だけど、こういった態度は、少しだけ距離を感じる。
まるで出会った時のような…
「…うん、もらってもいい?手伝うから」

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