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atlas
cling
しおりを挟むあれから1週間が経った。
「…総司、…これ……」
雫の声も徐々に戻ってきていた。
声が出なくなった理由を、彼女は「恐怖を味わったから」だと説明していたが、あの現場の近所に住んでいた人間は、雫が男と戦っていたと言った。
雫に戦闘力があるのかを確認はしていない。
そんな力があるような手をしていなかったからだ。
「…はい。僕が持っていくから無理はしちゃダメだよ?」
雫から洗濯物を受けとり、干しに行く。
足を怪我したようで、まだ一人で歩くことは難しい。
どこかへ移動するときはほぼ誰かの力を借りなければいけない状態になっているのだ。
元々人を頼らない雫に、人に頼るというのは想像できなかったが、総司だけには頼ることがある。
山崎くん曰く、もう数日で治るだろうとのことだった。
「…雫、ぼーっとしてどうかしたの?」
雫は手を止めて総司を見ていた。
干し方が変だったのかな?
雫は何でもないと言って、顔をそらした。
「まだ熱があるんじゃないの?顔、赤いよ?」
おでこに手を当ててみるが、少し熱いようだった。
「…ち、か……」
「…ん?」
恥ずかしそうにうつむいた。
そして洗い終わった着物を無理矢理渡す。
「…これ………お願い」
あまりにも照れるものだから、ニコッと微笑んで受け取った。
「…終わったねー!雫、休憩しようか!」
「…なら、お茶……とってくる」
いつものように立とうとしたが、足の痛みから体勢を崩してしまう。
「…おっ、っと。…大丈夫?」
総司が受け止めたのだが、雫はもたれかかったまま、動こうとしなかった。
「…ん?どうしたの?どこかぶつけた?」
「………」
雫はゆっくりと体勢を戻すと、何も言わずに炊事場へと足をひきながら歩いていった。
*****
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!
総司から見えなくなった所で、雫は顔に手を当て先程のことを恥じていた。
総司を見ると顔が熱くなる。
「…この感情はまやかしだ。違う違う……私は、ずっと一緒にはいられない!」
自分に言い聞かせ、気持ちを落ち着ける。
「…あ、やっぱりまだいた。ほら、無理矢理動くと治りが悪くなるよ」
ひょこっと出てきてひょいっと抱える。
「やめろ……」
「はーい、何言ってるかわかりませーん」
聞こえないふりをして、総司は笑って歩いた。
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