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detox
しおりを挟む目の前で諦めた雫は、どこか遠くを見ていた。
今夜は決行の日だ。
雫に気取られる訳には行かない。
「…総司、もう大丈夫だよ。私、土方さんに呼ばれてるから…」
「なら連れてってあげるー」
「いや、だから下ろしてって言ってんの!!」
切れの良い突っ込みをもらいつつ、土方さんの部屋まで送り届けた後、一くんの部屋にやって来ていた。
一くんは瞑想して、呼吸を整えていた。
その横にしれっと山崎君もいた。
「お待たせ。じゃあ、最終確認をしようか」
総司は戸を閉めた。
*****
「…それで?今日は何で私を呼んだんですか?」
雫はお菓子をぽりぽりと食べながら、楽な体勢をとっていた。
雫お手製のかりん糖だ。
「…お前なぁ……もうちっと敬意を払って…まぁいい。今日はお前に仕事を手伝ってもらおうと思ってな。算術は得意か?」
「算術?……あぁ、数学のことか。得意ですよ。未来では皆が習うことですから」
そう答えると、なら、とここ2ヶ月の金の出入りを計算するように言いつけた。
足の悪い雫は、しばらくは今までやっていた仕事から離れている。
「……はーい。」
仕方ないようにパパパッと計算をする。
暗算程度ならお手のものだ。
計算をしつつ、土方の邪魔にならないように声をかける。
「…それで、総司と私を引き離して何をするつもりなんですか?山崎さんと一緒にいるのかな?」
「…なんのことだ」
「…惚け方が下手くそです。顔がひきつってますよ」
総司から雫にバレないようにしたいと言われていたから頑張っていたが、ここまで見抜かれていれば意味がないと諦め、ため息をついた。
「…これも未来の書物に載っていたのか?」
「いえ、教科書ではこんな小さな出来事は教えてくれません。昔図書館で色々な文献を漁っていたことがあって偶々見つけました。日下部さんと上田さんですよね?」
会話しながらも計算は続けていた。
「…といっても、今日がその日だとは知りませんでした。書物には何月だったかということしか書いていませんでしたから。………総司は私に似ていますから、笑顔がいつもと違ったんですよ。それが決め手でした」
繕うように、説明を続けた。
土方は筆を置き、雫の方へと身体を向ける。
「…お前の洞察力にはいつも驚かされる。……その、記憶力はどのくらい優れているんだ?」
考え込む仕草をした後、
「普通がわからないんですけど、とりあえず文字として書き起こされたものでしたらその書物五冊分くらいは完璧に覚えていられます」
指差した書物は、100枚の紙綴りになったノートだった。
土方は驚きを隠せないまま、雫の顔を凝視していた。
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