4 / 30
「イヤ」と「スキ」
しおりを挟む
第1話 イヤなのにウケる
朝いちばんの光がガラス越しに差し込む。
開店準備の音と一緒に、エスプレッソマシンの蒸気が立ち上がる。
カウンターの中で、結花は今日も黙ってミルクを泡立てていた。
ドアのベルが鳴る。
「おはよう、結花ちゃん。今日も笑顔がいいねぇ」
声の主は中尾さん。毎朝8時ちょうどに来る常連の男性。
68歳、退職後はカメラと散歩が趣味で、最近はSNSを始めたばかりだという。
結花は反射的に笑った。
「ありがとうございます」
マニュアルどおりの笑顔。それ以上のものは出したくなかった。
けれど中尾さんは、注文のあと必ずスマホを構える。
「今日も撮っていいかな?」
「……どうぞ」
断る勇気は、まだない。
シャッター音。
白い湯気の中で笑う自分の顔が、きっとまたどこかに投稿される。
昼すぎ。休憩中にスマホを開くと、
「#かわいいバリスタさんシリーズ」
がトレンド入りしていた。
まさかと思って開いたら、やっぱり――。
中尾さんの投稿。自分の写真が何枚も。
コメント欄は「おじいちゃん可愛い!」「癒やし」「理想の朝」
いいねは一万を超えていた。
――何が癒やしだろう。
あのシャッター音が、どんなに嫌だったか知らないくせに。
指先でコメントをスクロールするたび、
「素敵な関係」「こんな世代交流いいなぁ」と、
知らない誰かの“善意”が刺さる。
いいねの数が、彼の投稿を「いい話」に変えていく。
夕方。片付けの最中、店主が笑いながら言った。
「結花ちゃん、人気者だねぇ。あの人、ほんと嬉しそうだったよ」
「……そうですか」
「嫌じゃないでしょ? ああいう人に好かれるのは」
嫌じゃない、って言葉。
そう言われること自体が、いちばん嫌だった。
夜、家に帰ってから、
結花は鏡を見つめながらスマホを握りしめた。
自分の笑顔がどれも他人の視線に汚されている気がした。
「#かわいいバリスタさん」を検索して、
ひとつずつ通報ボタンを押していく。
けれど通知は止まらない。
フォローリクエスト、「DMいいですか?」
「癒やされました」「どこのお店ですか?」
もう、どこにも“私”はいなかった。
画面の中では、見知らぬ人たちが「スキ!」を連打していた。
翌朝。
「おはよう、結花ちゃん。昨日、すごい反響だったね!」
中尾さんは嬉しそうにスマホを差し出す。
結花は、一瞬だけ口角を上げた。
「……そうですか。私には、ちょっと“イヤ”でしたけど」
老眼鏡の奥で、中尾さんの目がぱちぱちと瞬いた。
沈黙のあと、彼は笑って言った。
「そっか。ま、照れ屋さんなんだね」
その笑い声の向こうで、マシンの蒸気が勢いよく噴き上がった。
今日も湯気は、すべてを曖昧に包み込む。
「イヤなのにウケる」――この街では、それが普通の朝だった。
第2話 スキなのに引かれる
凪(なぎ)は、スマホのカメラを逆に向けて、自分を映す。
レンズの向こうで、光が跳ね返る。
白いシャツのボタンを一つ外し、首もとを少しだけ見せる。
それだけで、“フォロワー数”が増えるのを、凪はもう知っていた。
SNSのハンドルネームは〈nagixx〉。
フォロワーは十万人。
「自分を好きでいる練習中」というプロフィール。
動画では性別をぼかした服装で踊ったり、化粧をしたり、時々泣いたりもする。
フォロワーのコメント欄はいつも賛否両論だった。
> 「あなたみたいな人、ほんと救われます!」
「その肌の見せ方、フェミ的にどうなん?」
「スキって自由じゃないの?」
凪は毎回、スクロールしながら心の中で笑っていた。
“正解”なんてどこにもない。
でも、「スキ」って言葉を使うと、いつも誰かが怒る。
ある夜、凪は祖父――中尾さんの投稿を見つけた。
「#かわいいバリスタさんシリーズ」
そこには、あの喫茶店の若い店員の写真が並んでいた。
コメント欄にはハートと平和の絵文字。
「うわ、マジでじいちゃん……」
凪は頭を抱えた。
善意の笑顔、柔らかい言葉、その奥にある「距離の無神経さ」。
SNSではそれすら“美談”として消化されていく。
祖父に悪気がないのは知っている。
でも、悪気がないからこそ、タチが悪い。
結花さん――その名前だけを、投稿の中で凪は覚えた。
翌週、凪は動画を撮った。
背景は白壁。
タイトルは《“スキ”って、いつから怖くなった?》
「好きな服を着る。好きな人に会う。
好きなものを語る――それだけで『調子乗ってる』『刺激が強い』って言われる。
なのに、“おじいちゃんの愛”は『ほほえましい』で済むの?
“スキ”って、誰の都合で決まるんだろう」
投稿から数時間で、コメント欄が燃えた。
> 「世代叩きやめろ」
「その服装で語るの草」
「でもわかる」「声を上げてくれてありがとう」
再生数が跳ね上がる。
その通知音の中で、凪の胸は不思議と静かだった。
“スキ”を言葉にするたびに、心のどこかがすり減っていく。
深夜。
祖父からLINEが来た。
〈凪、おまえ、あの動画……じいちゃんのこと言ってるのか?〉
〈ごめん。〉と打とうとして、やめた。
言葉にした瞬間、また誰かが“解釈”していく気がしたからだ。
代わりに、短く返した。
〈じいちゃん、バリスタさんの写真、消してあげて〉
既読がついて、返事はなかった。
翌日。
カフェのSNSページから、すべての写真が消えていた。
代わりに、ひとつだけ残された投稿。
> 「笑顔を撮らせてもらった彼女に、ありがとう。
そして、ごめんなさい。」
凪はその投稿を静かにスクショして、ストーリーズに上げた。
背景には一言だけ。
> 「“スキ”を、やり直せたらいいね。」
第3話 なんとかしなきゃ!?
白いスタジオに、淡い照明が落ちていた。
床には銀色のレール。
カメラが滑らかに動くたび、出演者の笑顔をなめるように追っていく。
ローカル局のトーク番組『わかりあえたら!』。
テーマは「世代でちがう、“イヤ”と“スキ”」。
司会は、軽妙な口調で人気の中堅タレント・坂東。
「はい今日も、なんとかしなきゃ!? のコーナーです!」
スタジオの笑い声。
観覧客が拍手を送る。
結花は、まぶしいライトに目を細めた。
カウンター越しではない誰かの視線を、こんなに浴びるのは初めてだった。
横には凪が座っている。
そして少し離れた席には、中尾さん。
白いシャツにジャケットを羽織り、ネクタイの結び目を気にしている。
「いや~、今日のテーマ、SNS世代間ギャップということで!」
坂東が笑う。
「若い人は“スキ”をすぐ言葉にして発信する。
でも上の世代は“そんなこと公に言うのは恥ずかしい”と思う。
この差、どう埋めたらいいんでしょうねぇ?」
観客が頷く。
スクリーンには、ハッシュタグ「#わかりあえたら生放送」が流れ始めた。
> 「バリスタさんかわいい!」
「おじいちゃん素敵」
「凪くん今日も神」
コメントがリアルタイムで踊る。
それを背に、結花はマイクを握った。
「……“スキ”って、言われるほうが困るときもあるんです」
「困る?」と坂東。
「はい。撮られたくないのに笑ってる写真が“ほほえましい”って言われる。
嫌って言ったら、今度は“冗談なのに怖い子”って言われる。
それが一番、怖いです」
会場の空気がわずかに揺れた。
中尾さんが、膝の上で指をもてあそぶ。
「わしは……」と口を開きかけて、途中で止まった。
凪が代わりに言った。
「“スキ”って、自己表現でもあるけど、同時に力にもなる。
それを振り回す側になっちゃうこともある。
たとえば、“いいね”の数で、誰かの“イヤ”を消すみたいに」
スタジオの隅で、スタッフがタイムキーパーのカードを掲げる。
坂東が笑顔を取り戻し、空気を整えた。
「深いねぇ~!
いや~でも、こういう話を明るくできる時代になったのはいいことですよ!」
笑い声。拍手。
その軽さが、結花の耳に金属のように響いた。
番組のラスト。
坂東がまとめに入る。
「結局ね、“イヤ”も“スキ”も、話し合えばわかりあえる――
そういうことですよね!」
拍手が起こる。
観客席のどこかで誰かが小さくつぶやいた。
> 「やっぱ、こういう女の子が一番かわいいよね」
音声マイクが、その声を拾わなかった。
けれど結花には、はっきり聞こえた。
カメラがズームアウトする。
ライトの光がやわらぎ、エンドロールが流れる。
番組の公式アカウントには、すぐに投稿が上がった。
> 「感動した」「世代を超えて共感」
「いい番組」「朝から泣いた」
そのコメントの中で、凪がスマホを閉じた。
そして小さく笑った。
「“なんとかしなきゃ”って言ってるうちは、
たぶん、まだ“なんともできてない”んだよね」
結花は頷いた。
その横顔を、中尾さんは黙って見ていた。
笑顔でも、謝罪でもない。
やっと、沈黙のまま見つめるということを覚えた顔だった。
スタジオの照明が落ちる。
モニターの隅に、再生回数の数字が静かに増えていく。
“イヤ”と“スキ”――どちらのボタンを押すかは、
今日も、誰かの指先次第だ。
🕊️あとがき風メモ
> 「好き」という言葉が、他人の快楽に使われるとき、
「嫌だ」という感覚は、空気の中で薄まっていく。
――けれど、その薄まった場所にしか、生き残れない笑顔もある。
朝いちばんの光がガラス越しに差し込む。
開店準備の音と一緒に、エスプレッソマシンの蒸気が立ち上がる。
カウンターの中で、結花は今日も黙ってミルクを泡立てていた。
ドアのベルが鳴る。
「おはよう、結花ちゃん。今日も笑顔がいいねぇ」
声の主は中尾さん。毎朝8時ちょうどに来る常連の男性。
68歳、退職後はカメラと散歩が趣味で、最近はSNSを始めたばかりだという。
結花は反射的に笑った。
「ありがとうございます」
マニュアルどおりの笑顔。それ以上のものは出したくなかった。
けれど中尾さんは、注文のあと必ずスマホを構える。
「今日も撮っていいかな?」
「……どうぞ」
断る勇気は、まだない。
シャッター音。
白い湯気の中で笑う自分の顔が、きっとまたどこかに投稿される。
昼すぎ。休憩中にスマホを開くと、
「#かわいいバリスタさんシリーズ」
がトレンド入りしていた。
まさかと思って開いたら、やっぱり――。
中尾さんの投稿。自分の写真が何枚も。
コメント欄は「おじいちゃん可愛い!」「癒やし」「理想の朝」
いいねは一万を超えていた。
――何が癒やしだろう。
あのシャッター音が、どんなに嫌だったか知らないくせに。
指先でコメントをスクロールするたび、
「素敵な関係」「こんな世代交流いいなぁ」と、
知らない誰かの“善意”が刺さる。
いいねの数が、彼の投稿を「いい話」に変えていく。
夕方。片付けの最中、店主が笑いながら言った。
「結花ちゃん、人気者だねぇ。あの人、ほんと嬉しそうだったよ」
「……そうですか」
「嫌じゃないでしょ? ああいう人に好かれるのは」
嫌じゃない、って言葉。
そう言われること自体が、いちばん嫌だった。
夜、家に帰ってから、
結花は鏡を見つめながらスマホを握りしめた。
自分の笑顔がどれも他人の視線に汚されている気がした。
「#かわいいバリスタさん」を検索して、
ひとつずつ通報ボタンを押していく。
けれど通知は止まらない。
フォローリクエスト、「DMいいですか?」
「癒やされました」「どこのお店ですか?」
もう、どこにも“私”はいなかった。
画面の中では、見知らぬ人たちが「スキ!」を連打していた。
翌朝。
「おはよう、結花ちゃん。昨日、すごい反響だったね!」
中尾さんは嬉しそうにスマホを差し出す。
結花は、一瞬だけ口角を上げた。
「……そうですか。私には、ちょっと“イヤ”でしたけど」
老眼鏡の奥で、中尾さんの目がぱちぱちと瞬いた。
沈黙のあと、彼は笑って言った。
「そっか。ま、照れ屋さんなんだね」
その笑い声の向こうで、マシンの蒸気が勢いよく噴き上がった。
今日も湯気は、すべてを曖昧に包み込む。
「イヤなのにウケる」――この街では、それが普通の朝だった。
第2話 スキなのに引かれる
凪(なぎ)は、スマホのカメラを逆に向けて、自分を映す。
レンズの向こうで、光が跳ね返る。
白いシャツのボタンを一つ外し、首もとを少しだけ見せる。
それだけで、“フォロワー数”が増えるのを、凪はもう知っていた。
SNSのハンドルネームは〈nagixx〉。
フォロワーは十万人。
「自分を好きでいる練習中」というプロフィール。
動画では性別をぼかした服装で踊ったり、化粧をしたり、時々泣いたりもする。
フォロワーのコメント欄はいつも賛否両論だった。
> 「あなたみたいな人、ほんと救われます!」
「その肌の見せ方、フェミ的にどうなん?」
「スキって自由じゃないの?」
凪は毎回、スクロールしながら心の中で笑っていた。
“正解”なんてどこにもない。
でも、「スキ」って言葉を使うと、いつも誰かが怒る。
ある夜、凪は祖父――中尾さんの投稿を見つけた。
「#かわいいバリスタさんシリーズ」
そこには、あの喫茶店の若い店員の写真が並んでいた。
コメント欄にはハートと平和の絵文字。
「うわ、マジでじいちゃん……」
凪は頭を抱えた。
善意の笑顔、柔らかい言葉、その奥にある「距離の無神経さ」。
SNSではそれすら“美談”として消化されていく。
祖父に悪気がないのは知っている。
でも、悪気がないからこそ、タチが悪い。
結花さん――その名前だけを、投稿の中で凪は覚えた。
翌週、凪は動画を撮った。
背景は白壁。
タイトルは《“スキ”って、いつから怖くなった?》
「好きな服を着る。好きな人に会う。
好きなものを語る――それだけで『調子乗ってる』『刺激が強い』って言われる。
なのに、“おじいちゃんの愛”は『ほほえましい』で済むの?
“スキ”って、誰の都合で決まるんだろう」
投稿から数時間で、コメント欄が燃えた。
> 「世代叩きやめろ」
「その服装で語るの草」
「でもわかる」「声を上げてくれてありがとう」
再生数が跳ね上がる。
その通知音の中で、凪の胸は不思議と静かだった。
“スキ”を言葉にするたびに、心のどこかがすり減っていく。
深夜。
祖父からLINEが来た。
〈凪、おまえ、あの動画……じいちゃんのこと言ってるのか?〉
〈ごめん。〉と打とうとして、やめた。
言葉にした瞬間、また誰かが“解釈”していく気がしたからだ。
代わりに、短く返した。
〈じいちゃん、バリスタさんの写真、消してあげて〉
既読がついて、返事はなかった。
翌日。
カフェのSNSページから、すべての写真が消えていた。
代わりに、ひとつだけ残された投稿。
> 「笑顔を撮らせてもらった彼女に、ありがとう。
そして、ごめんなさい。」
凪はその投稿を静かにスクショして、ストーリーズに上げた。
背景には一言だけ。
> 「“スキ”を、やり直せたらいいね。」
第3話 なんとかしなきゃ!?
白いスタジオに、淡い照明が落ちていた。
床には銀色のレール。
カメラが滑らかに動くたび、出演者の笑顔をなめるように追っていく。
ローカル局のトーク番組『わかりあえたら!』。
テーマは「世代でちがう、“イヤ”と“スキ”」。
司会は、軽妙な口調で人気の中堅タレント・坂東。
「はい今日も、なんとかしなきゃ!? のコーナーです!」
スタジオの笑い声。
観覧客が拍手を送る。
結花は、まぶしいライトに目を細めた。
カウンター越しではない誰かの視線を、こんなに浴びるのは初めてだった。
横には凪が座っている。
そして少し離れた席には、中尾さん。
白いシャツにジャケットを羽織り、ネクタイの結び目を気にしている。
「いや~、今日のテーマ、SNS世代間ギャップということで!」
坂東が笑う。
「若い人は“スキ”をすぐ言葉にして発信する。
でも上の世代は“そんなこと公に言うのは恥ずかしい”と思う。
この差、どう埋めたらいいんでしょうねぇ?」
観客が頷く。
スクリーンには、ハッシュタグ「#わかりあえたら生放送」が流れ始めた。
> 「バリスタさんかわいい!」
「おじいちゃん素敵」
「凪くん今日も神」
コメントがリアルタイムで踊る。
それを背に、結花はマイクを握った。
「……“スキ”って、言われるほうが困るときもあるんです」
「困る?」と坂東。
「はい。撮られたくないのに笑ってる写真が“ほほえましい”って言われる。
嫌って言ったら、今度は“冗談なのに怖い子”って言われる。
それが一番、怖いです」
会場の空気がわずかに揺れた。
中尾さんが、膝の上で指をもてあそぶ。
「わしは……」と口を開きかけて、途中で止まった。
凪が代わりに言った。
「“スキ”って、自己表現でもあるけど、同時に力にもなる。
それを振り回す側になっちゃうこともある。
たとえば、“いいね”の数で、誰かの“イヤ”を消すみたいに」
スタジオの隅で、スタッフがタイムキーパーのカードを掲げる。
坂東が笑顔を取り戻し、空気を整えた。
「深いねぇ~!
いや~でも、こういう話を明るくできる時代になったのはいいことですよ!」
笑い声。拍手。
その軽さが、結花の耳に金属のように響いた。
番組のラスト。
坂東がまとめに入る。
「結局ね、“イヤ”も“スキ”も、話し合えばわかりあえる――
そういうことですよね!」
拍手が起こる。
観客席のどこかで誰かが小さくつぶやいた。
> 「やっぱ、こういう女の子が一番かわいいよね」
音声マイクが、その声を拾わなかった。
けれど結花には、はっきり聞こえた。
カメラがズームアウトする。
ライトの光がやわらぎ、エンドロールが流れる。
番組の公式アカウントには、すぐに投稿が上がった。
> 「感動した」「世代を超えて共感」
「いい番組」「朝から泣いた」
そのコメントの中で、凪がスマホを閉じた。
そして小さく笑った。
「“なんとかしなきゃ”って言ってるうちは、
たぶん、まだ“なんともできてない”んだよね」
結花は頷いた。
その横顔を、中尾さんは黙って見ていた。
笑顔でも、謝罪でもない。
やっと、沈黙のまま見つめるということを覚えた顔だった。
スタジオの照明が落ちる。
モニターの隅に、再生回数の数字が静かに増えていく。
“イヤ”と“スキ”――どちらのボタンを押すかは、
今日も、誰かの指先次第だ。
🕊️あとがき風メモ
> 「好き」という言葉が、他人の快楽に使われるとき、
「嫌だ」という感覚は、空気の中で薄まっていく。
――けれど、その薄まった場所にしか、生き残れない笑顔もある。
0
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
お姫様は死に、魔女様は目覚めた
悠十
恋愛
とある大国に、小さいけれど豊かな国の姫君が側妃として嫁いだ。
しかし、離宮に案内されるも、離宮には侍女も衛兵も居ない。ベルを鳴らしても、人を呼んでも誰も来ず、姫君は長旅の疲れから眠り込んでしまう。
そして、深夜、姫君は目覚め、体の不調を感じた。そのまま気を失い、三度目覚め、三度気を失い、そして……
「あ、あれ? えっ、なんで私、前の体に戻ってるわけ?」
姫君だった少女は、前世の魔女の体に魂が戻ってきていた。
「えっ、まさか、あのまま死んだ⁉」
魔女は慌てて遠見の水晶を覗き込む。自分の――姫君の体は、嫁いだ大国はいったいどうなっているのか知るために……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる