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2 前日譚
【主人公】さらに、
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かなり昔から、
私は便利に使われてきた。
家族から、
友人から、
かつての恋人から、
「流」されて……
相手が変わっても、作りは変わらない。
皆「無自覚な会話」しかしていない。
何なんだろう、これ。
家族は、
「心配してるだけよ」
「家族なんだから、これくらい普通でしょ」
「あなたが一番わかってると思って」
「他のきょうだいは、ちょっと頼りないから」
「昔から我慢強かったじゃない」
「文句言わない子だったでしょ」
「親に逆らう気?」
「そんな言い方するようになったの、誰のせい?」
「外ではいい顔してるくせに」
「家族には本音出していいのよ?」
「……前は、もっと素直だったのに」
――やりやすかったのは、
私が子どもでいる役を降りなかっただけです。
友人は、
「ごめん、今から行ける?」
「他に頼める人いなくてさ」
「あなたなら察してくれると思って」
「細かいこと気にしないタイプでしょ?」
「ノリでいこ、ノリで」
「え、そこ引っかかる?」
「冗談じゃん」
「そんな重く受け取らなくてもよくない?」
「空気悪くなるからさ」
「最近ちょっと変わったよね」
「前は、もっと話しやすかったのに」
――話しやすかったんじゃない。
踏み込まれても、笑ってただけ。
かつての
恋人は、
「信頼してるから言ってるんだよ?」
「好きだから甘えてるんじゃん」
「他の人には頼まないよ、君だから」
「察してほしいだけなのに」
「そんな言い方されると傷つく」
「愛情表現が下手なだけだって」
「忙しいって言ってるでしょ」
「理解してくれる人だと思ってた」
「それくらい我慢できない?」
「恋人なんだから」
「……前は、もっと優しかったのに」
――優しかったんじゃない。
境界線がなかっただけ。
でも、
今なら――
「わたし、何ひとつ自分から引き受けてないよ」
私は便利に使われてきた。
家族から、
友人から、
かつての恋人から、
「流」されて……
相手が変わっても、作りは変わらない。
皆「無自覚な会話」しかしていない。
何なんだろう、これ。
家族は、
「心配してるだけよ」
「家族なんだから、これくらい普通でしょ」
「あなたが一番わかってると思って」
「他のきょうだいは、ちょっと頼りないから」
「昔から我慢強かったじゃない」
「文句言わない子だったでしょ」
「親に逆らう気?」
「そんな言い方するようになったの、誰のせい?」
「外ではいい顔してるくせに」
「家族には本音出していいのよ?」
「……前は、もっと素直だったのに」
――やりやすかったのは、
私が子どもでいる役を降りなかっただけです。
友人は、
「ごめん、今から行ける?」
「他に頼める人いなくてさ」
「あなたなら察してくれると思って」
「細かいこと気にしないタイプでしょ?」
「ノリでいこ、ノリで」
「え、そこ引っかかる?」
「冗談じゃん」
「そんな重く受け取らなくてもよくない?」
「空気悪くなるからさ」
「最近ちょっと変わったよね」
「前は、もっと話しやすかったのに」
――話しやすかったんじゃない。
踏み込まれても、笑ってただけ。
かつての
恋人は、
「信頼してるから言ってるんだよ?」
「好きだから甘えてるんじゃん」
「他の人には頼まないよ、君だから」
「察してほしいだけなのに」
「そんな言い方されると傷つく」
「愛情表現が下手なだけだって」
「忙しいって言ってるでしょ」
「理解してくれる人だと思ってた」
「それくらい我慢できない?」
「恋人なんだから」
「……前は、もっと優しかったのに」
――優しかったんじゃない。
境界線がなかっただけ。
でも、
今なら――
「わたし、何ひとつ自分から引き受けてないよ」
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