スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
88 / 278

第51話 『氷』+『錬成』=『新魔法』? #1

しおりを挟む
ワルツが加わった事で僕達パーティは以前よりもずっと強くなっている気がする。
って言うか強くなった。
いまいち実感が湧かないけど、クーラ先生がそう言ってるんだから間違いない。でも実感が湧かないのもそのクーラ先生のせい。毎回一方的にボコボコにされてるから。

だからそろそろ冒険者登録する前にやらなきゃならないもうひとつの課題にも手を付けなきゃ。そう――生きて帰る為の命綱、『回復魔法』の習得をね。
パーティによっては【回復】に特化した『回復役』を立てる場合もあるらしいけど、僕はパーティ全員に回復魔法を覚えさせ、自分や仲間を【回復】出来る力を持たせたいと思ってる。

だって――
突然の事故で自分以外のパーティメンバーが動けなる可能性だってあるから。
全ての狩りに毎回パーティ全員が参加するとは限らないから。
一人でいる時に突然危険な目に遭う事だってあり得るから。
こういう考え方って、やっぱりずっとソロでやってきたから――なんだろうなあ。

でも別に『回復役』を否定するつもりはない。むしろ、パーティで活動するのならば効率のいい回復方法だと思う。
でもそれはそれとして、みんな自分の身は自分で守れるように回復魔法を覚えとこうよって事。
――命だいじに。

という事だからさ――
「そろそろ、回復魔法の勉強を始めなきゃね」
「そっか。そういえば回復魔法も冒険者登録に必要って話だったわね。でも、回復魔法の授業っていつやるんだろ? ねえ、誰か知ってる?」
アーシュが話を振ると、みんな首を振ったり肩をすくめたり。

でもそこで案を出してくれるのがノルト。地味に頼れる男。
「じゃあ今日の放課後、訓練の時にクーラ先生に訊いてみない?」
「いいかもな。冒険者クラスだったら間違いなく回復魔法の訓練もやるだろう」
ネッガーも賛成。確かに冒険者クラスは在学中にみんな冒険者登録するだろうから、回復魔法の授業は早い段階でやってそう。
「じゃあそうしましょう。あ、でもその前に午後の実技の先生にも訊いてみるわよ。属性別の指導にも追加してもらえるかも」
それもそうだ、流石は陰ってない『陰のリーダー』アーシュ……



お昼も終わり、今日も午後の実技授業がスタート!
「それでは今日も、希望する属性に分かれて下さい」
クラスのみんながそれぞれに散っていく中、僕達は先生の元へと集まった。
「先生すみません、僕達は回復魔法を覚えたいんですけど、その場合はどうしたらいいですか?」
「ああ、回復魔法ですか。魔法師クラスの回復魔法の授業はもう少し後に予定されていますが……そうか、あなたたちは冒険者登録したいのでしたね」
「そうなんです。夏頃に登録したいと考えてるので、全員それまでに使えるようになりたくて」

「ふむ」
軽く顎に手を添えた実技の先生は、僕の言葉にちょっと考える様子。
「回復魔法はちょっと特殊な魔法なので、まずは座学できちんと仕組みを理解する必要があります。回復担当の先生に相談してみますので、今日のところは属性の訓練を進めていて下さい」

やった!
振り返ると、みんなもいい笑顔で頷いてる。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」



【身体強化】のネッガーはそのままこの場へ残り、ノルトは今日もやっぱり土魔法。
そして僕はちょっと考えるところがあって氷魔法を受ける事にした。
そして何と、アーシュはワルツと一緒に水魔法へ。てっきり今日もついて来ると思ってたから意外に思ってたら――
「制御出来ない魔法なんて、発動出来ないよりもたちが悪いわ! 見てなさい、水魔法だってきちんと制御が出来るようになって、あんたとの差を一気に広げてやるんだから!」
よかった、アーシュは今日もやっぱりアーシュだった。

そしてワルツはと言うと――
「目標コップ2杯」
一度に出せる水の量を増やしたいみたい。
うん、確かに氷のナイフが大きくなれば攻撃力が増すからね。
すっごくいい考えだと思うよ。



僕は氷魔法の指導員さんに声を掛けた。
「すみません、氷魔法のイメージについて教えて下さい」
他のみんながそれぞれ自分の訓練を始めて、指導員さんの手が空いた今がチャンス。
「はいいいですよ。君はえっと……ああカルア君か、あの――」

『あの』って一体どの!? すっごく気になるんですけど。
でも聞きたいような聞きたくないような……うん、訊かないに決めた。

「えっと……僕は錬成魔法を使うんですけど、錬成魔法の【凝固】と何が違うのかよく分からなくって。錬成魔法を教えてくれた人は、『錬成魔法は温度が変えられない』って言ってたんですけど、動きがそっくりだから逆にイメージしにくくって」

そう、気になったのは錬成と氷魔法の違い。
だって、この前ワルツが見せてくれた氷魔法、水魔法とか火魔法みたいに氷を出現させるんじゃなくって、そこにある水や鉄なんかを凍らせてたんだ。それって、前にオートカさんが言ってた『その場にある物質への干渉』だよね。だったら氷魔法と錬成の違いって……何?

「それは非常に高度で、そして素晴らしい疑問ですね。確かに錬成の【凝固】でも魔力を注いでいる間は氷と同じような状態になりますから。ではその違いは何かと言うと、『物質に対してどのように干渉するか』という事になります」

うん、ここまでは思った通りだ。

「錬成では状態変化の結果をイメージしますから、【凝固】の場合は魔力を注いでいる間は非常に不自然で不安定な状態を維持し、魔力を停止した瞬間に安定します。ですので本来氷となる温度ではない水の場合、魔力を停止すると【凝固】が解けてしまうんですね」

ふむふむ……逆に金属の場合は本来固まる温度だから安定するって訳か。

「一方で氷魔法ですが、こちらは水の小さな粒そのものの動きが非常にゆっくりになる――もしくは停止する、そんなイメージを対象とする水全体に注ぐんです。するとそのイメージを受けた水は徐々に温度を下げ、そして氷になります。これは水以外に対しても同じ事で、このイメージを『』持つ事が出来るようになると、氷魔法が上達するんです」

そうか……固まった状態をイメージするんじゃなくって、魔力に乗せたイメージで水そのものの温度が下がる、だから凍る。【凝固】と氷魔法ってイメージとしては全く逆なんだ!
「分かりました、やってみます!」
「はい。他にも質問がありましたらいつでもどうぞ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...