スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第52話 回復魔法の訓練がはじまりました #1

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「みんなーっ、今日もお勉強がんばりましょうねーーーっ」
「「「「「はーーーーい」」」」」
「あとぉ、カルアくんたちのチームはぁー、午後の実技はこの教室で受けてくださーーい。じゃあよろしくねーー」

レミア先生が教室を出ていくと、授業が始まるまでの短い時間を埋めるかのように、みんな思い思いの相手と雑談を始める。
それは僕達も同様で――

「ねえ、さっきのって何だと思う? やっぱり『アレ』かな?」
「うん、そうだねアーシュ。僕も回復魔法の授業の事だと思うよ。ねえカルア?」
「だろうね。――今からレミア先生に確認しに行く気力は残ってないけど」
「大丈夫。カル師ならやれる。応援する」
「すみません勘弁してくださいワルツさん」
「おお、カル師の切り返しが氷魔法」

いやもうホント勘弁して欲しい。
気を緩めると強制的に童心に返らされるとか、黒歴史のページが増える未来しか想像出来ないよ。

「ははっ、でも正直回復魔法は楽しみだ。【身体強化】に取り入れられるところがあるかもしれないしな」
常に【身体強化】ファーストなのがネッガーだ。そのうち『2代目バーサク』を襲名したりして。



という事で午前の授業はささっと終了し、やってきました魔法の実技。
さあ今日は回復の時間! ……だよね?

教壇に立っているのは優し気な男の先生――年齢はモリスさんとかと同じくらいかな。
「皆さん、ぼくが回復の受業を担当するバリーです。リカバリーのバリー先生って覚えて下さい」

よかった。やっぱり回復魔法の授業だった。
て言うかバリー先生、名前ネタの方向性がミッチェルさん……

「それでは早速授業を始めます。質問は都度受け付けますから、気になる点があったらいつでもどうぞ」
そして授業開始が始まった。
僕の回復魔法は見よう見まねだから、実はこの授業を結構楽しみにしてたんだ。

「それではまず回復魔法の考え方から……。回復魔法は一般的に時空間魔法に分類されています。これは何故かと言うと、回復魔法は魔力によって体を治す魔法ではなく、体が治ったという未来の現象を先取りする魔法と言われているからです」

このあたりは前に聞いたとおり。
みんなも知ってたみたいで、うんうんと頷いている。

「なので、回復魔法によって体が治った人は、必ずその後に自分で体を治す必要があります。でも体はもう既に治っている訳ですね。ではここで必要となるのは何なのでしょうか。ええと……じゃあネッガー君、どう考えますか」
「む、簡単な話だ。体が治っているんだ、ならすべき事と言えば当然筋トレだろう」

うん、ネッガーなら絶対そう言うと思って――いや信じてた。
期待通りの答え、ありがとう!

「そうですね、確かに筋トレは大事です。しかし、それはもう少し後にしましょう。なぜなら、摂取した栄養が全て治った部分に吸収されるため、どれだけトレーニングしても新しい筋肉にならないからです」
「とっ、トレーニングしても筋肉が付かない!? そんな恐ろしい事が……」

愕然とするネッガー――と、魔力トレーニングの空振りを思い出したらしきワルツ。

「という事で、回復魔法を受けた後に必要――と言うより『絶対行わなければならない』のは、先取りした【回復】が使用する栄養の摂取――つまり食事なんです。だからネッガー君、君の筋肉の為にも怪我には十分気を付けて下さい」
「はいっ! 死ぬ気で気を付けます!」
「ええ、その意気です」

おおっ、ネッガーの天然な回答をニッコリ笑って自然なスルー。バリー先生……出来る!!
って言うか、今のってネッガーのナチュラルボケを誘導した? ――いやまさか、ね。

「次に説明するのは回復魔法の種類――と言うより『グレード』と言った方が分かり易いでしょうか。回復魔法には【回復】【中回復】【大回復】の3種類があり、これらは回復の度合いにより分類されています」

ただの回復から、中、大とグレードアップしていくのか。確かに分かり易い。

「では、それぞれの効果とその違いを説明しましょう。まずは【回復】から。止血と浅めの傷、多少の内臓ダメージと軽度の病気を治します。あくまで自然治癒の先取りなので、傷跡は残ります」
「――あの、怪我だけじゃなくって病気も治るんですか?」
ノルトが軽く手を上げてそんな質問をした。

「ええ。全ての病気が治るという訳ではありませんけどね。【回復】で治る病気は、【回復】と同時の投薬によって体内の毒素や病気の元などを根絶・排出できるもののみです。ただ病気により受けたダメージ自体には効果がありますので、進行の遅い病気であればその進行を押しとどめる効果はあります」

軽い病気だったら【回復】で治せるのか。怪我の事しか知らなかった。
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