スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

文字の大きさ
90 / 278

第51話 『氷』+『錬成』=『新魔法』? #3

しおりを挟む
あっ、先生戻ってきた。思った通り校長先生を連れて……
さっき大きな声で『校長ーー!』って言ってたからなぁ。
「急に場を離れてしまいすみません。先ほど聞いた君の魔法――【加熱】【冷却】が新魔法に該当する可能性があり、確認のため校長先生に来ていただきました。今からその魔法を私と校長先生に見せて貰えますか」
「あっはい、分かりました」

新魔法……って、モリスさんが前に言ってた『単なるイメージのトリガー』の事かな?

「じゃあまず、この氷を溶かしますね」
水よ、ちょっとだけ賑やかに――よし。
「溶けた……」
「ええ、溶けましたね」

「ここからもう少し熱くしてみます」
もうちょっと賑やかになれーー。
「さっきはもっと熱くしたら爆発したので、これくらいで止めておきますね」
「ふむ――でしたら二人ともちょっと下がって下さい」

僕と指導員の先生が数歩下がると、校長先生はテーブルの周りを広めにぐるっと囲うように障壁を展開した。
「さあこれで大丈夫。折角なので爆発するところも見せて貰えますか」
なら――
もっと賑やかになれーー。
「爆発しませんねえ。ちょっと器を揺らしてみましょうか?」
そう言って校長先生が魔法でテーブルを軽く揺らした瞬間、バフって感じの音が聞こえ、障壁の中は一瞬で霧がかかったみたいになった。
「これは水蒸気? カルア君、魔力を停止して下さい。二人とも、障壁を解除しますからもう少し下がって」

校長先生が障壁を解除すると、湯気はもわっと上に上がって――あれ? 後ろから風が……
「ふむ、魔法で水を加熱すると衝撃で一気に蒸発するのか……? よく分からないな。まあそれは後にしましょう。それでカルア君、先ほどは石も【加熱】したとか」
「はい。じゃあ次はそれをやってみますね」

今度はテーブルを焦がさないように始めから石を浮かせて――っと。
賑やかになれーー。
石はだんだん赤くなって白くなって、そしてドロドロに。
「これはやはり溶岩で間違いないですね。つまり【加熱】によって石が溶ける程の高温に達した訳ですか」

「じゃあ冷やしますね」
あ、折角だから錬成で形を整えながら――
静かになれーー。
よし、綺麗なまん丸。表面もちょっとツヤツヤしていい感じ。
「こんな感じです」
すっかり冷えた石を手に取って、そのまま校長先生へ。

「ほう、これは……」
校長先生は受け取ったその石を手の上で転がしたり日にかざしてみたり。
「形を整えたのは錬成魔法ですか?」
「そうです。ただ冷やすだけっていうのもどうかなーって思って」
「ははは、そういうところもカルア君らしいですね。ふむ、錬成魔法との連携もこれ程スムーズに……。それもまた錬成魔法に含める理由となりそうです」

「それで校長、如何でしょうか……?」
「新魔法――と言って良いでしょうね。それにしても、長年『氷魔法』と呼ばれていたものが実は『錬成魔法』の一部だったとは……。カルア君、参考までに聞かせて下さい。君はどのような経緯でこの発想を得たのですか?」

経緯って、そんな大した事じゃないですよ?

「ええっとですね、パーティメンバーのワルツに氷魔法を見せて貰ったんですけど、ワルツの氷魔法って、水魔法を出してそれを凍らせる魔法と、直接相手を凍らせる魔法のふたつだったんです。それを見て、『あれ? これって物質への干渉じゃ?』って思ったのがきっかけです。あ、『物質への干渉』って考え方はオートカさんに教えて貰ったんですよ」

「なるほど。それともう一点。『静か』とか『賑やか』といったイメージ、もう少し具体的に表現できますか?」
「ええっと、さっきの感じは……、『静か』の方は水の粒が暗い場所で両足を手で抱えてじっと座ってるイメージ、『賑やか』の方は水の粒が手を振り回して賑やかに踊り回るイメージ――かな?」

校長先生は僕の話を訊いて大きく頷いた。
「なるほど、よく分かりました。それでは今回のこの新魔法、発見・開発者をカルア君として学校から発表を行います。資料作成や各種手続き等はこちらで行いますから、追加で何か発見した際には、その都度すぐに教えて下さい。それでいいですね?」
「あっはい、分かりました」
「――では今日のところは以上とします」



校長室への帰り道、ラーバルは一人呟く。
「しかし、時空間魔法の新しい使い方に続いて氷魔法の新解釈ですか。しかも、もし公開したら大変な事になりそうな錬成魔法と土魔法の軍事転用技術までをも……。それでいて本人は一介の冒険者のつもりなんだから困ったものです。はあ、一度マリアベル氏に相談しておきましょうか」
そして――溜息と共に心の内を吐き出した。
「――そのまままた校長を代わってくれないかな」



そんな感じでドタバタしたけど、それからは特に何事もなく授業は終了となった。
「カルアーー-! あたしはもう水魔法の制御は完璧に出来るようになったわよ! ふふん、凄いでしょう。 あんたは今日の授業、どうだった?」
「ええっと――新魔法を開発して登録される事になった……かな?」
「はえっ!?」
「ふおおおおっ!?」

ええっと、アーシュ? そんな怖い顔で……人を指差しちゃダメだよ?
あとワルツはそんなキラキラした瞳でこっちを見ないで……



「なっ、ななな、何よそれーーーーーーーーーっ!!!!」
「カル師ーーーーーーーっ!!!!」




▽▽▽▽▽▽
このお話が面白いと感じてくれた方、「いいね」をお願いします。
続きが気になる方、「お気に入り」登録はいかがですか。
作者に一言ツッコみたい方やモノ申したい方、「感想コメント」お気軽にどうぞ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

一流冒険者トウマの道草旅譚

黒蓬
ファンタジー
主人公のトウマは世界の各地を旅しながら、旅先で依頼をこなす冒険者。 しかし、彼には旅先で気になるものを見つけると寄らずにはいられない道草癖があった。 そんな寄り道優先の自由気ままなトウマの旅は、今日も新たな出会いと波乱を連れてくる。

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

極限効率の掃除屋 ――レベル15、物理だけで理を解体する――

銀雪 華音
ファンタジー
「レベル15か? ゴミだな」 世界は男を笑い、男は世界を「解体」した。 魔力も才能も持たず、万年レベル15で停滞する掃除屋、トワ。 彼が十年の歳月を費やして辿り着いたのは、魔法という神秘を物理現象へと引きずり下ろす、狂気的なまでの**『極限効率』**だった。 一万回の反復が生み出す、予備動作ゼロの打撃。 構造の隙間を分子レベルで突く、不可視の解体。 彼にとって、レベル100超えの魔物も、神の加護を受けた聖騎士も、ただの「非効率な肉の塊」に過ぎない。 「レベルは恩恵じゃない……。人類を飼い慣らすための『制限(リミッター)』だ」 暴かれる世界の嘘。動き出すシステムの簒奪者。 管理者が定めた数値(レベル)という鎖を、たった一振りのナイフで叩き切る。 これは、最弱の掃除屋が「論理」という名の剣で、世界の理(バグ)を修正する物語。気になる方は読んでみてください。 ※アルファポリスで先行で公開されます。

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

中年オジが異世界で第二の人生をクラフトしてみた

Mr.Six
ファンタジー
 仕事に疲れ、酒に溺れた主人公……。フラフラとした足取りで橋を進むと足を滑らしてしまい、川にそのままドボン。気が付くとそこは、ゲームのように広大な大地が広がる世界だった。  訳も分からなかったが、視界に現れたゲームのようなステータス画面、そして、クエストと書かれた文章……。 「夢かもしれないし、有給消化だとおもって、この世界を楽しむか!」  そう開き直り、この世界を探求することに――

平凡なサラリーマンが異世界に行ったら魔術師になりました~科学者に投資したら異世界への扉が開発されたので、スローライフを満喫しようと思います~

金色のクレヨン@釣りするWeb作家
ファンタジー
夏井カナタはどこにでもいるような平凡なサラリーマン。 そんな彼が資金援助した研究者が異世界に通じる装置=扉の開発に成功して、援助の見返りとして異世界に行けることになった。 カナタは準備のために会社を辞めて、異世界の言語を学んだりして準備を進める。 やがて、扉を通過して異世界に着いたカナタは魔術学校に興味をもって入学する。 魔術の適性があったカナタはエルフに弟子入りして、魔術師として成長を遂げる。 これは文化も風習も違う異世界で戦ったり、旅をしたりする男の物語。 エルフやドワーフが出てきたり、国同士の争いやモンスターとの戦いがあったりします。 第二章からシリアスな展開、やや残酷な描写が増えていきます。 旅と冒険、バトル、成長などの要素がメインです。 ノベルピア、カクヨム、小説家になろうにも掲載

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

不死王はスローライフを希望します

小狐丸
ファンタジー
 気がついたら、暗い森の中に居た男。  深夜会社から家に帰ったところまでは覚えているが、何故か自分の名前などのパーソナルな部分を覚えていない。  そこで俺は気がつく。 「俺って透けてないか?」  そう、男はゴーストになっていた。  最底辺のゴーストから成り上がる男の物語。  その最終目標は、世界征服でも英雄でもなく、ノンビリと畑を耕し自給自足するスローライフだった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  暇になったので、駄文ですが勢いで書いてしまいました。  設定等ユルユルでガバガバですが、暇つぶしと割り切って読んで頂ければと思います。

処理中です...