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第51話 『氷』+『錬成』=『新魔法』? #3
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あっ、先生戻ってきた。思った通り校長先生を連れて……
さっき大きな声で『校長ーー!』って言ってたからなぁ。
「急に場を離れてしまいすみません。先ほど聞いた君の魔法――【加熱】【冷却】が新魔法に該当する可能性があり、確認のため校長先生に来ていただきました。今からその魔法を私と校長先生に見せて貰えますか」
「あっはい、分かりました」
新魔法……って、モリスさんが前に言ってた『単なるイメージのトリガー』の事かな?
「じゃあまず、この氷を溶かしますね」
水よ、ちょっとだけ賑やかに――よし。
「溶けた……」
「ええ、溶けましたね」
「ここからもう少し熱くしてみます」
もうちょっと賑やかになれーー。
「さっきはもっと熱くしたら爆発したので、これくらいで止めておきますね」
「ふむ――でしたら二人ともちょっと下がって下さい」
僕と指導員の先生が数歩下がると、校長先生はテーブルの周りを広めにぐるっと囲うように障壁を展開した。
「さあこれで大丈夫。折角なので爆発するところも見せて貰えますか」
なら――
もっと賑やかになれーー。
「爆発しませんねえ。ちょっと器を揺らしてみましょうか?」
そう言って校長先生が魔法でテーブルを軽く揺らした瞬間、バフって感じの音が聞こえ、障壁の中は一瞬で霧がかかったみたいになった。
「これは水蒸気? カルア君、魔力を停止して下さい。二人とも、障壁を解除しますからもう少し下がって」
校長先生が障壁を解除すると、湯気はもわっと上に上がって――あれ? 後ろから風が……
「ふむ、魔法で水を加熱すると衝撃で一気に蒸発するのか……? よく分からないな。まあそれは後にしましょう。それでカルア君、先ほどは石も【加熱】したとか」
「はい。じゃあ次はそれをやってみますね」
今度はテーブルを焦がさないように始めから石を浮かせて――っと。
賑やかになれーー。
石はだんだん赤くなって白くなって、そしてドロドロに。
「これはやはり溶岩で間違いないですね。つまり【加熱】によって石が溶ける程の高温に達した訳ですか」
「じゃあ冷やしますね」
あ、折角だから錬成で形を整えながら――
静かになれーー。
よし、綺麗なまん丸。表面もちょっとツヤツヤしていい感じ。
「こんな感じです」
すっかり冷えた石を手に取って、そのまま校長先生へ。
「ほう、これは……」
校長先生は受け取ったその石を手の上で転がしたり日に翳してみたり。
「形を整えたのは錬成魔法ですか?」
「そうです。ただ冷やすだけっていうのもどうかなーって思って」
「ははは、そういうところもカルア君らしいですね。ふむ、錬成魔法との連携もこれ程スムーズに……。それもまた錬成魔法に含める理由となりそうです」
「それで校長、如何でしょうか……?」
「新魔法――と言って良いでしょうね。それにしても、長年『氷魔法』と呼ばれていたものが実は『錬成魔法』の一部だったとは……。カルア君、参考までに聞かせて下さい。君はどのような経緯でこの発想を得たのですか?」
経緯って、そんな大した事じゃないですよ?
「ええっとですね、パーティメンバーのワルツに氷魔法を見せて貰ったんですけど、ワルツの氷魔法って、水魔法を出してそれを凍らせる魔法と、直接相手を凍らせる魔法のふたつだったんです。それを見て、『あれ? これって物質への干渉じゃ?』って思ったのがきっかけです。あ、『物質への干渉』って考え方はオートカさんに教えて貰ったんですよ」
「なるほど。それともう一点。『静か』とか『賑やか』といったイメージ、もう少し具体的に表現できますか?」
「ええっと、さっきの感じは……、『静か』の方は水の粒が暗い場所で両足を手で抱えてじっと座ってるイメージ、『賑やか』の方は水の粒が手を振り回して賑やかに踊り回るイメージ――かな?」
校長先生は僕の話を訊いて大きく頷いた。
「なるほど、よく分かりました。それでは今回のこの新魔法、発見・開発者をカルア君として学校から発表を行います。資料作成や各種手続き等はこちらで行いますから、追加で何か発見した際には、その都度すぐに教えて下さい。それでいいですね?」
「あっはい、分かりました」
「――では今日のところは以上とします」
校長室への帰り道、ラーバルは一人呟く。
「しかし、時空間魔法の新しい使い方に続いて氷魔法の新解釈ですか。しかも、もし公開したら大変な事になりそうな錬成魔法と土魔法の軍事転用技術までをも……。それでいて本人は一介の冒険者のつもりなんだから困ったものです。はあ、一度マリアベル氏に相談しておきましょうか」
そして――溜息と共に心の内を吐き出した。
「――そのまままた校長を代わってくれないかな」
そんな感じでドタバタしたけど、それからは特に何事もなく授業は終了となった。
「カルアーー-! あたしはもう水魔法の制御は完璧に出来るようになったわよ! ふふん、凄いでしょう。 あんたは今日の授業、どうだった?」
「ええっと――新魔法を開発して登録される事になった……かな?」
「はえっ!?」
「ふおおおおっ!?」
ええっと、アーシュ? そんな怖い顔で……人を指差しちゃダメだよ?
あとワルツはそんなキラキラした瞳でこっちを見ないで……
「なっ、ななな、何よそれーーーーーーーーーっ!!!!」
「カル師ーーーーーーーっ!!!!」
▽▽▽▽▽▽
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さっき大きな声で『校長ーー!』って言ってたからなぁ。
「急に場を離れてしまいすみません。先ほど聞いた君の魔法――【加熱】【冷却】が新魔法に該当する可能性があり、確認のため校長先生に来ていただきました。今からその魔法を私と校長先生に見せて貰えますか」
「あっはい、分かりました」
新魔法……って、モリスさんが前に言ってた『単なるイメージのトリガー』の事かな?
「じゃあまず、この氷を溶かしますね」
水よ、ちょっとだけ賑やかに――よし。
「溶けた……」
「ええ、溶けましたね」
「ここからもう少し熱くしてみます」
もうちょっと賑やかになれーー。
「さっきはもっと熱くしたら爆発したので、これくらいで止めておきますね」
「ふむ――でしたら二人ともちょっと下がって下さい」
僕と指導員の先生が数歩下がると、校長先生はテーブルの周りを広めにぐるっと囲うように障壁を展開した。
「さあこれで大丈夫。折角なので爆発するところも見せて貰えますか」
なら――
もっと賑やかになれーー。
「爆発しませんねえ。ちょっと器を揺らしてみましょうか?」
そう言って校長先生が魔法でテーブルを軽く揺らした瞬間、バフって感じの音が聞こえ、障壁の中は一瞬で霧がかかったみたいになった。
「これは水蒸気? カルア君、魔力を停止して下さい。二人とも、障壁を解除しますからもう少し下がって」
校長先生が障壁を解除すると、湯気はもわっと上に上がって――あれ? 後ろから風が……
「ふむ、魔法で水を加熱すると衝撃で一気に蒸発するのか……? よく分からないな。まあそれは後にしましょう。それでカルア君、先ほどは石も【加熱】したとか」
「はい。じゃあ次はそれをやってみますね」
今度はテーブルを焦がさないように始めから石を浮かせて――っと。
賑やかになれーー。
石はだんだん赤くなって白くなって、そしてドロドロに。
「これはやはり溶岩で間違いないですね。つまり【加熱】によって石が溶ける程の高温に達した訳ですか」
「じゃあ冷やしますね」
あ、折角だから錬成で形を整えながら――
静かになれーー。
よし、綺麗なまん丸。表面もちょっとツヤツヤしていい感じ。
「こんな感じです」
すっかり冷えた石を手に取って、そのまま校長先生へ。
「ほう、これは……」
校長先生は受け取ったその石を手の上で転がしたり日に翳してみたり。
「形を整えたのは錬成魔法ですか?」
「そうです。ただ冷やすだけっていうのもどうかなーって思って」
「ははは、そういうところもカルア君らしいですね。ふむ、錬成魔法との連携もこれ程スムーズに……。それもまた錬成魔法に含める理由となりそうです」
「それで校長、如何でしょうか……?」
「新魔法――と言って良いでしょうね。それにしても、長年『氷魔法』と呼ばれていたものが実は『錬成魔法』の一部だったとは……。カルア君、参考までに聞かせて下さい。君はどのような経緯でこの発想を得たのですか?」
経緯って、そんな大した事じゃないですよ?
「ええっとですね、パーティメンバーのワルツに氷魔法を見せて貰ったんですけど、ワルツの氷魔法って、水魔法を出してそれを凍らせる魔法と、直接相手を凍らせる魔法のふたつだったんです。それを見て、『あれ? これって物質への干渉じゃ?』って思ったのがきっかけです。あ、『物質への干渉』って考え方はオートカさんに教えて貰ったんですよ」
「なるほど。それともう一点。『静か』とか『賑やか』といったイメージ、もう少し具体的に表現できますか?」
「ええっと、さっきの感じは……、『静か』の方は水の粒が暗い場所で両足を手で抱えてじっと座ってるイメージ、『賑やか』の方は水の粒が手を振り回して賑やかに踊り回るイメージ――かな?」
校長先生は僕の話を訊いて大きく頷いた。
「なるほど、よく分かりました。それでは今回のこの新魔法、発見・開発者をカルア君として学校から発表を行います。資料作成や各種手続き等はこちらで行いますから、追加で何か発見した際には、その都度すぐに教えて下さい。それでいいですね?」
「あっはい、分かりました」
「――では今日のところは以上とします」
校長室への帰り道、ラーバルは一人呟く。
「しかし、時空間魔法の新しい使い方に続いて氷魔法の新解釈ですか。しかも、もし公開したら大変な事になりそうな錬成魔法と土魔法の軍事転用技術までをも……。それでいて本人は一介の冒険者のつもりなんだから困ったものです。はあ、一度マリアベル氏に相談しておきましょうか」
そして――溜息と共に心の内を吐き出した。
「――そのまままた校長を代わってくれないかな」
そんな感じでドタバタしたけど、それからは特に何事もなく授業は終了となった。
「カルアーー-! あたしはもう水魔法の制御は完璧に出来るようになったわよ! ふふん、凄いでしょう。 あんたは今日の授業、どうだった?」
「ええっと――新魔法を開発して登録される事になった……かな?」
「はえっ!?」
「ふおおおおっ!?」
ええっと、アーシュ? そんな怖い顔で……人を指差しちゃダメだよ?
あとワルツはそんなキラキラした瞳でこっちを見ないで……
「なっ、ななな、何よそれーーーーーーーーーっ!!!!」
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