スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木

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第80話 死闘!激闘!パーティの戦いです #4

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「ここは俺が出よう」
「ネッガー……」
「やれるの?」
アーシュの問いにネッガーは少し考え、小さく首を振った。
「倒すのは難しいだろう。時間を稼ぐからその間に次の手を考えてくれ」
「……分かった、気を付けるのよネッガー」

そしてネッガーとアニキゴブリンの第2ラウンドが始まった。
今回はどちらも最初から全力全開、目で追うのがやっとの高速戦闘だ。そしてもう一つの違いはネッガーが剣を手にしているって事。今のアニキゴブリンはそれ程危険な相手って事なのか……

「ノルト、何か作戦ある?」
「――今考え中」
「分かったわ」

きっと今のノルトは【シンク】スキルを全開にしているんだろう。頭の中では凄い速さでいろんな事を考えてるんだろうな。
ネッガー、作戦が決まるまでもう暫く頑張って!!
そんな僕達の前で、ネッガーとアニキゴブリンの戦いはますます激しくなっていく……



「うん!」
ノルトの表情がパッと明るくなった。もしかして何か閃いた?
「カルア君、ひとつ訊きたいんだけど、君の【結界】って展開した後からでも形とか変えられる?」
「出来るよ。スーツとかその応用だし」
「よし! じゃあ作戦決定だ。いいかいみんな、まず――」

そしてノルトからその作戦を聞いたんだけど……
凄い! これなら絶対いけるっ!!

「さあ作戦開始よ! カルア!」
「うんっ! 【結界】」
反対の壁一面に【結界】を展開。やりたい放題の逆向き――つまり外から中への一方通行で!

「ネッガー! 剣を棒にチェンジ! 奴を向こうの壁に撥ね飛ばしなさい!」
「おうっ!!」
アーシュからの指示にネッガーは一瞬のステップから剣を鋭く横に薙ぐ。虚を突かれたアニキゴブリンは腹に迫る剣を避け切れないと踏み、胴体の魔力を鎧のように固めてそれを受けようとする――
が、ネッガーは素早く【共通ボックス】を発動すると、握った剣をそのまま撲撲ボコボコ棒にチェンジっ!!

「ナニッ!?」
撲撲棒は完全に振り切るまでその動きを止める事はない。
魔力の鎧ごと吹き飛ばすあり得ない衝撃は、アニキゴブリンをうしろの壁まで弾き飛ばした。そしてその壁には僕の【結界】が展開されている。外から中への一方通行のその【結界】へ。

「次! 行けワルツっ!!」
「おおぉ」
【結界】に吸い込まれていったアニキゴブリンの後を追うように、ワルツの氷が【結界】の中に撃ち込まれる。その大きさはワルツが作れる最大サイズ。でもその氷塊が飛んで行った先はアニキゴブリンの場所とはかけ離れた【結界】の隅だった。

「今よカルア、【結界】を縮めて!」
「了解っ!」
アニキゴブリンの体より少し大きい程度までサイズ変更っ!
立ち上がったアニキゴブリンの足元にはワルツの氷が転がっていき、そして――
「【激☆加熱】」
――結界の中に静かな大爆発が巻き起こった。
と言っても外に漏れ出さないだけで、あの中ではとんでもない音が鳴り響いてるんだろうけど。

そして結界の内側には揺らめく緑の影が……
「ワルツ、あの中の温度をこっちと同じくらいまで下げて」
「りょ、程よく、【冷却】」
「いくらあいつでも流石にこれなら……ってまだ生きてるの? ゴブリンの癖にゴキブリ並みの生命力ね。これからアイツの事ゴキブリンって呼ぼうかしら」

アーシュ、それは流石に可哀想じゃないかな。
なんてちょっと場違いな感想を持った僕だったけど、ノルトからの提案に我に返る。
「でもかなりギリギリっぽいし、もう【スティール】出来るんじゃないかな。カルア君、やってみてよ」
オッケー、じゃあ――
「【スティール】」

これでようやくアニキゴブリンは動かなくなり、そして僕達は奴の魔石を手に入れた。
「解除」
結界の解除と共に中に閉じ込められていたバケツ2杯分の水が床に広がってゆき、その真ん中には自慢のスーツが欠片も残っていないアニキゴブリンの裸の死骸がポツンと横たわっている。

「よし、こいつもお持ち帰りっと……あ」
収納を終えたアーシュが急に表情を曇らせた。何かに気付いたって感じ。
「そうだ、こいつら全部カルアの【スティール】で倒してるのよね。魔石を見せろとか言われたらどうしよう……帰ったらお祖母様に相談しなきゃ」

ああ、言われてみれば確かに。
僕もこういうところに気付くようにならなくっちゃ!
――って、なれるのかなぁ?

「ふふん、今回はパーティ全員で掴み取った勝利ね。あーーでも疲れたぁ!」
笑顔で大きく伸びをするアーシュ。そんなアーシュに僕達も笑顔で応える。
「本当に強敵だった」
「ナイス爆発、トゥミー」
「ははっ、そうだね」
「ノルトもナイス作戦」

そして――
「みんな、ここで食事してたっぷり休憩! 下に行くのは完全回復してからよ! 次はもっと強い奴が出てくるかもしれないんだから!!」

そうだ、次はいよいよ『真なる最下層』の最下層だ。
確かアニキゴブリンは『本部』って言ってたっけ。
どんな所だろう、もの凄く強いボスとか出てくるのかな……



▽▽▽▽▽▽
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